私の町吉備津

岡山市吉備津に住んでいます。何にやかにやと・・・

雲幕にはまだまだご馳走が

2016-02-08 11:27:23 | 日記

 「厭」・「飫」、どちらも「飽きる」という意味です。沢山の料理が次から次へと用意され、食べるのが飽きるほどです。駱駝のこぶの肉(紫駞)など、贅を尽した料理が、大量に、雲幕の中に運び込まれるからです。だが、折角、料理人が心をこめて料理した(鑾刀縷切)のにもかかわらず、”空紛綸”、そこら辺りに乱れるように置かれて、誰も手をつけようとはしない状態です。それなのに 更に、杜甫は、これでもかこれでもかと、その場の贅を尽くした食事の賑わいを歌っております。

     “黄門飛鞚不動塵”   <黄門(こうもん) 鞚(たづな)を飛ばして塵を動かさず>
                   黄門とは、料理を運ぶ宦官です。彼等は料理した物が冷めないように馬を飛ばして、塵一つ立てずに、持って来ます。
    
     ”御廚絡繹送八珍”   <御廚(ぎょちゅう)絡繹(らくえき)として八珍(はっちん)を送る>   
           御厨とは、宮中での食べ物の調理場。大膳職。みくりやです。絡繹とは人馬などの往来が続くさま。連なり続くさま。 
           八珍とは八種の珍味です。当然、紫駞之峯や素鱗も入っていると思われますが、私の本には、その種類を

            ①淳熬②淳母③炮豚④炮羊⑤搗珍⑥漬熬⑦肝膋
 
  としてありますが、③、④を除いて、他はどんな食べ物かは分かりません。誰は教えてくださいませんか???

 

 どうでしょうは、大宝十三年頃の楊貴妃の一族、特に、楊国忠の権勢は絶大だったのです。この「麗人行」で杜甫は、その力を、上巳節を通して「雲幕」等という言葉を巧みに操りながら、上手に物語っているのです。