恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

8.遠距離

2007年06月11日 | 身近な恋
 飛行場は、人が多くて混雑している。
 第2ターミナル発、東京行き。私はこの飛行機で帰らなければならない。
 飛行場の中の喫茶店で、彼女とコーヒーを飲んでいた。
 「映画面白かったね。」
 「そうそう。最後意外な犯人だった。」
 「まさか。あの犯人だとはね。」彼女の家で見たDVDの話をしていた。外を見るとJALとANAと書かれてある飛行機を洗浄している男の人が見えた。この飛行機が空を飛ぶんだからたいしたものだ。
 「今度いつ会えるの?」
 「うん。仕事の都合でよく分からないけど、また電話するよ。多分、クリスマスには会えると思う。」
 「そっか。寂しいな。」
 「俺もだよ。毎日かなの事思っているよ。」
 「私も東京で働こうかな。」
 「それがいい。」それが出来ないのはよく分かっていた。カナの両親は、自営業で足が悪い父親の面倒をみていたからだ。これから先どうなるのだろうか。
 「もうそろそろ行かないと。」アナウンスで第2ターミナル発東京行き間もなく出発します。荷物検査場が混雑しますので早めの搭乗をお願いします。と流れていた。
 「もうそんな時間か。」二人とも立ち上がって、キャスター付バッグをコロコロと転がした。
 搭乗口の前。
 人がバーゲンセールの様に並んでいた。何をそんなに並んでいるのだろうか。早めに来たのに時間がかかりそうだ。
 彼女がソファの所で立って、見ていた。
 私が入り口に差し掛かって、彼女が私の所に来た。
 「今度はクリスマスだね。絶対逢おうね。」
 「もちろん。その時は、プレゼントを持ってくるから。」
 「うれしい。楽しみ。」彼女と軽く抱き合って、別れを惜しんだ。クリスマスソングが聞こえて来て、雪も降りだしそうな飛行場を想像した。
 今は夏になる前だと言うのに彼女がクリスマスプレゼントを喜ぶ姿が想像できた。この距離さえなければ、毎日会えるのに、手を振る彼女がせつなかった。
 荷物検査場の機械を通ると、ピーと反応があった。
 若い男の検査員がこちらへお願いしますと誘導して、ベルトを外された。
 もう一度機械を通るとやはりピーとなる。
 私の気持ちを察しているかのようだった。
 
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