どんよりとした曇り空だった。もうそろそろ雨が降り続く梅雨に入るのだろうか。ジメジメとした日々をこれから過ごさなければならないかと思うと、ウンザリしていた。
「何か良い事ないかな」と呟いていると、踏切の遮断機が下りて立ち止まった。 この遮断機は一度下りたら二十分くらい開かない「開かずの踏切」で有名な場所だった。
カンカンカンカンと音が鳴り響いた。
踏切で待っている間、どんよりとした空を見ていると、リカコの事を思い出していた。
出会ったのは、三年前の六月に入る前で、丁度今日みたいな雨が降りそうな午後だった。
仕事帰りのリカコは、踏切を急いで渡っていた。この踏切が長いことを知っていたからだ。その時私は、反対側を歩いていて、リカコとすれ違う様に線路を渡っていた。
綺麗な人がいるなと思って、すれ違う時、後ろを振り向いた。その時、彼女がコンタクトが落ちたと叫んだ。
私は、「大丈夫ですか?」と聞いて一緒に探したのだ。線路の途中でコンタクトが落ちたので、電車がいつ来るかも分からない。ドキドキしながら、急いで周りを探した。
「大丈夫ですから。」とリカコは、何度もお礼を言っていた。私は、何が何でも探したかった。
一時たつと、電車が来る合図がカンカンカンカンと鳴り響いた。危ないから一度線路を出ましょうと言って、線路を出て、長い踏切を待った。
踏切が上がる間、色んな話しをしていた。コンタクトを最近買って、よく落とすという事や会社で嫌な上司がいる事。家に帰ったら一人暮らしで寂しい事。地元にいる父親が厳しい事。約二十分くらい話していた。
踏切が上がる頃になると、二人で大声を出して笑っていた。
「もう、コンタクトはあきらめます。」踏切が上がると爽やかな感じでリカコが言った。
「いいんですか。」私が聞き返した。
「また、買い直します。探してくれて、ありがとうございました。」リカコは深々と頭を下げた。
「私が家まで送っていきますよ。目があんまり見えないでしょうから。さっきの話しの続きも聞きたいし。」
「そうしてくれると助かります。」きっかけはどうであれ、出会ったのは、運命のような気がしていた。
その後に、話しが弾んでリカコの家でお茶をご馳走になった。それからもよく遊びに行くようになって、やがて付き合うようになった。
二年くらい付き合っただろうか。リカコの厳しい父親が亡くなったと訃報を聞いて、地元に帰って行った。
私もついて行くと行ったが、リカコは一人で大丈夫だからと言った。
それから、連絡がとれなくなった。
そういえば、一年くらい逢っていない。リカコは今頃どうしているだろうか。新しい彼氏でも見つかったのだろうか。
ボンヤリとリカコの顔を思い出していると、踏切がゆっくりと上がった。雨がパラパラと降り出して来た。
仕事帰りの人々が雨に濡れないように急いで踏切を渡っていた。
その中にコンタクトを一生懸命探しているリカコの姿が見えたような気がした。
「何か良い事ないかな」と呟いていると、踏切の遮断機が下りて立ち止まった。 この遮断機は一度下りたら二十分くらい開かない「開かずの踏切」で有名な場所だった。
カンカンカンカンと音が鳴り響いた。
踏切で待っている間、どんよりとした空を見ていると、リカコの事を思い出していた。
出会ったのは、三年前の六月に入る前で、丁度今日みたいな雨が降りそうな午後だった。
仕事帰りのリカコは、踏切を急いで渡っていた。この踏切が長いことを知っていたからだ。その時私は、反対側を歩いていて、リカコとすれ違う様に線路を渡っていた。
綺麗な人がいるなと思って、すれ違う時、後ろを振り向いた。その時、彼女がコンタクトが落ちたと叫んだ。
私は、「大丈夫ですか?」と聞いて一緒に探したのだ。線路の途中でコンタクトが落ちたので、電車がいつ来るかも分からない。ドキドキしながら、急いで周りを探した。
「大丈夫ですから。」とリカコは、何度もお礼を言っていた。私は、何が何でも探したかった。
一時たつと、電車が来る合図がカンカンカンカンと鳴り響いた。危ないから一度線路を出ましょうと言って、線路を出て、長い踏切を待った。
踏切が上がる間、色んな話しをしていた。コンタクトを最近買って、よく落とすという事や会社で嫌な上司がいる事。家に帰ったら一人暮らしで寂しい事。地元にいる父親が厳しい事。約二十分くらい話していた。
踏切が上がる頃になると、二人で大声を出して笑っていた。
「もう、コンタクトはあきらめます。」踏切が上がると爽やかな感じでリカコが言った。
「いいんですか。」私が聞き返した。
「また、買い直します。探してくれて、ありがとうございました。」リカコは深々と頭を下げた。
「私が家まで送っていきますよ。目があんまり見えないでしょうから。さっきの話しの続きも聞きたいし。」
「そうしてくれると助かります。」きっかけはどうであれ、出会ったのは、運命のような気がしていた。
その後に、話しが弾んでリカコの家でお茶をご馳走になった。それからもよく遊びに行くようになって、やがて付き合うようになった。
二年くらい付き合っただろうか。リカコの厳しい父親が亡くなったと訃報を聞いて、地元に帰って行った。
私もついて行くと行ったが、リカコは一人で大丈夫だからと言った。
それから、連絡がとれなくなった。
そういえば、一年くらい逢っていない。リカコは今頃どうしているだろうか。新しい彼氏でも見つかったのだろうか。
ボンヤリとリカコの顔を思い出していると、踏切がゆっくりと上がった。雨がパラパラと降り出して来た。
仕事帰りの人々が雨に濡れないように急いで踏切を渡っていた。
その中にコンタクトを一生懸命探しているリカコの姿が見えたような気がした。
いい女ほど、邪魔が入ります。男は振り回されるのです。
そこが男の性かもしれません。
ハッピーエンドの物語を書きたいというのはいつもありますが、最後になるにつれてせつない物語になっていきます。
現実がせつない事ばかりだからかもしれません。
どうしてそうやってすぐ邪魔者が入るんだろうね・・・。
もっとハッピーエンドのお話を、現実にも・・・、ね!!!
PS:キーボーさんの創作には、いつもいつも感じ入ってしまってます。あなたって、天才だね!!!