恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

15.サンタクロース

2005年12月20日 | 冬の物語
 「お兄ちゃん。サンタさんっているの?」私は彼女の部屋で、何気なくコタツでテレビを見ていたらトモヒロが近寄って来て言った。私は、サンタクロースがいるのかどうか知らなかったが、夢があるからいた方が良いかなと思って頷いた。
 「もちろん。いると思うよ。」
 「本当に。」
 「本当だよ。試しに何か欲しいプレゼント言ってごらん。きっとクリスマスイブの夜に持ってきてくれるよ。」
 「それじゃ。ガンダムのプラモデルが良い。」元気よくトモヒロが笑顔で言った。
 「分かった。サンタさんにお願いしといてやるよ。」
 「ありがとう。お兄ちゃん。」トモヒロがうれしくてはしゃいでいた。隣で彼女が本当に大丈夫なの?と口で言っていた。
 私は大丈夫だよとトモヒロに聞こえないように静かに答えた。
 クリスマスイブの日。
 私の家から彼女の家までクリスマスのイルミネーションがきれいだった。まるでサンタの国にいるみたいな感じだった。
 彼女の家にサンタクロースの格好をしてやって来た。ここまで来る間、警察から質問されたり、近所の家の犬から吠えられたりしたが何とかやって来た。
 彼女の部屋からそっと入った。彼女の部屋は二階にあり、隣がトモヒロの部屋だった。前もって彼女の窓を開けといてと言っておいたのだ。
 女の子らしい部屋に入ると彼女が気持ち良さそうにベットで寝ていた。起こさないようにそっと隣の部屋に入った。
 トモヒロもぐっすりと寝ていた。枕元に靴下が下がっていて、その中に言われた通りプレゼントを置いた。トモヒロが寝言でサンタさんと呼んでいた。私はトモヒロの頭を撫でるとそのまま彼女の部屋に行った。
 彼女も笑顔で寝ていた。サンタクロースの夢でも見ているのだろうか。彼女の枕元にもプレゼントを置いた。ブランドの財布だ。結構高かったが、バイトで貯めたお金を全部つぎ込んだ。彼女が喜んでくれたらそれだけでうれしい。
 彼女のおでこにキスの真似事をして、幸せな気持ちになって窓から出て行った。
 次の朝。
 トモヒロが「サンタさんが来たサンタさんが来た」と喜んでいた。私にも来たみたいだよと財布を見て一緒に喜んだ。
 彼氏に何をプレゼントしようかなと考えて、私のキスのプレゼントじゃ駄目かなと思うと更にうれしい気持ちで胸いっぱいになった。
 

 

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