恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

12.新聞配達

2016年12月03日 | 冬の物語
 深夜3時、目覚まし時計が鳴り響いて止めた。寒くなってきて、起きるのが辛い。
 一時、ボケっとして、ダウンジャケットを着る。
 自分の原付に前と後ろに朝刊を載せて、家を回って、配る。
 凍てつく寒さに体が震える。軍手をはめていても、手がジンジンと響く。
 こんな寒いのに、新聞を待っている人もいる。
 新聞をポストに入れたと同時に向こう側で、引っ張る人がいてビクッとする。
 一時間くらい配ったところで、自動販売機の所で一息つくのが日課だ。
 細長い椅子が自動販売機の前にあり、灰皿が置いてある。
 自動販売機の前は、とても明るい。
 電気代がかかるだろうなと思った。
 煙草を一本つけると、澄んだ夜空に煙がスーと吸い込まれていく。
 目の前の家に飾られている光るサンタの飾りを見て、今日はクリスマスイブだなと思った。
 トナカイもいそうだなと思って見てると、家の中が電気がついた。
 若い父親が玄関からこっそり出てきて、ガレージに置いてある車から大きなプレゼントを母親に渡している。
 きっと、子供に用意していたのだろう。
 こういう家族は、きっと幸せだろうなと感じた。
 「よし、もうひと踏ん張り。」缶コーヒーを飲みほして、原付バイクにまたがり、ヘルメットをかぶる。
 冷たい風が、顔を横切った。
 
 
  

 
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