入学式が間もなく始まろうとしている。体育館に集まっている全校生徒は、何人くらいいるだろうかとボンヤリと考えていた。
僕は急に思い出して、Aクラスのエリコを探していた。いつも髪を一つに結んでいて、あごが少し尖っていて、目がクリッとしていた。
同じ学年で入学式も一緒だった。顔を一目見て、かわいい子だなとこの時を心待ちしていた。
エリコと逢う時は、全校生徒が集まる時しかなかった。この入学式を逃したら、今度はいつ逢えるか分からない。
クラッシックの静かな音楽が流れてきた。マイクで入学生の入場ですと言っていた。
体育館の入り口から担任の先生と入学生が入場して来た。
僕達は大きな拍手で迎えた。
拍手をしながら、エリコを探すのに夢中になっていた。
探していると、隣にいたジュンが小さな声で話しかけてきた。
「お前さっきから、何を探しているだよ。」
「別に。」
「どうせ。運命の彼女とやらだろ?」
「違うよ。Aクラスのエリコがいないなと思ってね。」
「やっぱりな。今日は休みらしいぜ。」
「なんだ。そうなのか。風邪かな。」
「多分。じゃなかったら彼氏と遊んでたりして。」
「バカな事をいうなよ。」入学生が全員体育館に入ると、静まり、校長先生の話が始まった。毎回、同じ様な話しをする校長に飽き飽きとしていた。
その後に、入学生代表が挨拶をした。
「桜の花も満開で、私達入学生を迎えているように感じます。」これからの学校生活でのやる気満々の声が響いていた。隣にいるジュンが様子を見て、また話してきた。
「お前単純だな。エリコには彼氏がいるんだぜ。あきらめなって。先輩で、バスケ部のキャプテンらしいぜ。お前なんか相手になんないよ。」小さな声だったが、僕の心の中には大きく響いていた。
「そうだったのか。」ガクッと肩を落とした。僕だけ、重力がかかっているのかと思った。
「あきらめろとは言わないけど、背中を向けて去るというのが男だと思うぜ。」
「そんなもんかな。」ジュンが言っている事はよく分かっていた。しかし、頭で分かっていても、心の奥の方が分かってくれないような気がしていた。
「告白するとしたら、よく考えた方がいいと思うぜ。」
「そうだよな。あんなにかわいかったら、そりゃ彼氏いるだろうな。」体育館の天井を見ていた。壁のシミが所々あった。昔から、体育館というものは古くて、よく壊れないなと思った。
入学生が明るい音楽と共に退場をしていた。僕達は最後も拍手で送った。
入学式が終わると、体育館のイスをかたずけて、教室に戻り、先生の話が少しあって帰れた。
ジュンとは帰り道が同じなので一緒に帰っていた。
並木道の満開の桜が所々で散っていた。
さっきの話しの続きをしようかなと思ったが途中で止めた。
言った所で、どうする事も出来ないと思ったからだ。
桜を見ると、ジュンが鞄を置いて、学生服を脱いで、桜の木を揺らして、わざと散らしていた。
「ほら見てみろ。桜吹雪だ。」無邪気に枝を降っているジュンの姿を見て、とてもおかしかった。
別にそんな事をしなくてもいずれ散っていくだろうと思った。
僕は急に思い出して、Aクラスのエリコを探していた。いつも髪を一つに結んでいて、あごが少し尖っていて、目がクリッとしていた。
同じ学年で入学式も一緒だった。顔を一目見て、かわいい子だなとこの時を心待ちしていた。
エリコと逢う時は、全校生徒が集まる時しかなかった。この入学式を逃したら、今度はいつ逢えるか分からない。
クラッシックの静かな音楽が流れてきた。マイクで入学生の入場ですと言っていた。
体育館の入り口から担任の先生と入学生が入場して来た。
僕達は大きな拍手で迎えた。
拍手をしながら、エリコを探すのに夢中になっていた。
探していると、隣にいたジュンが小さな声で話しかけてきた。
「お前さっきから、何を探しているだよ。」
「別に。」
「どうせ。運命の彼女とやらだろ?」
「違うよ。Aクラスのエリコがいないなと思ってね。」
「やっぱりな。今日は休みらしいぜ。」
「なんだ。そうなのか。風邪かな。」
「多分。じゃなかったら彼氏と遊んでたりして。」
「バカな事をいうなよ。」入学生が全員体育館に入ると、静まり、校長先生の話が始まった。毎回、同じ様な話しをする校長に飽き飽きとしていた。
その後に、入学生代表が挨拶をした。
「桜の花も満開で、私達入学生を迎えているように感じます。」これからの学校生活でのやる気満々の声が響いていた。隣にいるジュンが様子を見て、また話してきた。
「お前単純だな。エリコには彼氏がいるんだぜ。あきらめなって。先輩で、バスケ部のキャプテンらしいぜ。お前なんか相手になんないよ。」小さな声だったが、僕の心の中には大きく響いていた。
「そうだったのか。」ガクッと肩を落とした。僕だけ、重力がかかっているのかと思った。
「あきらめろとは言わないけど、背中を向けて去るというのが男だと思うぜ。」
「そんなもんかな。」ジュンが言っている事はよく分かっていた。しかし、頭で分かっていても、心の奥の方が分かってくれないような気がしていた。
「告白するとしたら、よく考えた方がいいと思うぜ。」
「そうだよな。あんなにかわいかったら、そりゃ彼氏いるだろうな。」体育館の天井を見ていた。壁のシミが所々あった。昔から、体育館というものは古くて、よく壊れないなと思った。
入学生が明るい音楽と共に退場をしていた。僕達は最後も拍手で送った。
入学式が終わると、体育館のイスをかたずけて、教室に戻り、先生の話が少しあって帰れた。
ジュンとは帰り道が同じなので一緒に帰っていた。
並木道の満開の桜が所々で散っていた。
さっきの話しの続きをしようかなと思ったが途中で止めた。
言った所で、どうする事も出来ないと思ったからだ。
桜を見ると、ジュンが鞄を置いて、学生服を脱いで、桜の木を揺らして、わざと散らしていた。
「ほら見てみろ。桜吹雪だ。」無邪気に枝を降っているジュンの姿を見て、とてもおかしかった。
別にそんな事をしなくてもいずれ散っていくだろうと思った。
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