深夜、3時。皆が寝静まってから俺達の仕事がある。
道路の下で、下水管を通す為の穴掘りだ。大きなライトで照らし、穴全体を映し出している。その間、交通誘導員が道路工事の隅に立って、車を誘導している。
この寒い中、軍手をしているが、氷のように冷たい。
休憩中の唯一の楽しみが、コンビニで買って来た肉まんとホットコーヒーだ。
現場の人たちが手を休め、無邪気に話しながら、食べる肉まんとコーヒーは最高だ。
隣でホットレモンを飲んでいる親方が、女の話しをはじめた。
いつも決まって話す物語。いつしか本当の事なのではないかと錯覚をしていた。
「ありゃよ。わしが21歳の頃だぁ。穴の中から見ているとよぉ。工事現場で綺麗な女が歩いていたのよぉ。エビチャンどころじゃなく別嬪な女だ。その女が道路の脇道に入ろうとしていたら、すっとどこかに消えていっちまってな。わしはぞっとしてよぉ。そりゃ。美人過ぎて、わしは目もあてれねぇ代物よ。無我夢中で、追いかけていったが、誰もいなくてぇよ。そして後ろを振り返ったら、ほらお前の後ろにいた。」と言って親方が私の肩を揺すった。勢いで尻餅をついた。
「わははあ。驚いたろ。」まったく。いつもこの調子で人を驚かす。親方は話しがうまい。皆がケラケラと笑っている。その笑い声が道路の円で響いている。
「それじゃ。そろそろはじめるとするかぁ。」休憩が終わり、親方がタオルを巻いているヘルメットをかぶった。
誘導員が車を一台一台と通していく。
曖昧な地下の点滅しているランプを一つずつ見ていると、クリスマスが近づいている気がしていた。
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道路の下で、下水管を通す為の穴掘りだ。大きなライトで照らし、穴全体を映し出している。その間、交通誘導員が道路工事の隅に立って、車を誘導している。
この寒い中、軍手をしているが、氷のように冷たい。
休憩中の唯一の楽しみが、コンビニで買って来た肉まんとホットコーヒーだ。
現場の人たちが手を休め、無邪気に話しながら、食べる肉まんとコーヒーは最高だ。
隣でホットレモンを飲んでいる親方が、女の話しをはじめた。
いつも決まって話す物語。いつしか本当の事なのではないかと錯覚をしていた。
「ありゃよ。わしが21歳の頃だぁ。穴の中から見ているとよぉ。工事現場で綺麗な女が歩いていたのよぉ。エビチャンどころじゃなく別嬪な女だ。その女が道路の脇道に入ろうとしていたら、すっとどこかに消えていっちまってな。わしはぞっとしてよぉ。そりゃ。美人過ぎて、わしは目もあてれねぇ代物よ。無我夢中で、追いかけていったが、誰もいなくてぇよ。そして後ろを振り返ったら、ほらお前の後ろにいた。」と言って親方が私の肩を揺すった。勢いで尻餅をついた。
「わははあ。驚いたろ。」まったく。いつもこの調子で人を驚かす。親方は話しがうまい。皆がケラケラと笑っている。その笑い声が道路の円で響いている。
「それじゃ。そろそろはじめるとするかぁ。」休憩が終わり、親方がタオルを巻いているヘルメットをかぶった。
誘導員が車を一台一台と通していく。
曖昧な地下の点滅しているランプを一つずつ見ていると、クリスマスが近づいている気がしていた。
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