まったく何で俺がサンタクロースの恰好をしているんだ。男は、自分の姿を上から下まで見下ろして思った。こんな事なら、バーバリーのコートを持ってくればよかったと後悔した。
そもそものはじまりは、部屋の隣に住むかわい子ちゃんから、「あなたサンタクロースにならない?」なんて言われたからだ。
本当にする事ないだろうと嘆きつつ、子供達にプレゼントを配っていた。
プレゼントといっても小さな袋に詰めたお菓子だ。この公園のイベントに来る子供にお菓子を配ってお金がもらえるという画期的なシステムだ。
要するにアルバイトってな訳だな。
早くこんな所を抜け出して、街でナンパするしかないなと思った。そんな事を考えていると部屋の隣に住んでいる琴美ちゃんが目の前にやって来た。
「よく似合ってますよ。ウフフッ。」と笑窪を凹ませて笑った。その笑顔に見とれていた。
「そうかな。」男は照れた。
子供が近づいて来て、「メリークリスマス。」と男はサンタの真似をして、愛想良くプレゼントを渡した。
琴美が「それじゃまたね~。お疲れ様。」と言って手を振って向こうの方に行ってしまうと、男は子供に「しっし。あっち行け。」と小声で言った。
「なんだよこのサンタ。」と言って子供が、男のスネを蹴った。
「あいたたた。」男も負けじと子供の耳を引っ張った。それを見ていた母親が止めに入り、喧嘩が収まった。
そんな事を繰り返しているうちに周りがダンダン暗くなり、公園のイルミネーションが輝き始めた。
公園には人だかりが出来き、司会者の合図と共にクリスマスのイベントが始まった。
最初は外国人達が日本語できよしこの夜を歌った。その後、子供たちが真っ赤な鼻のトナカイを合唱していた。
琴美ちゃんも最後に歌を歌うと言っていたがそれまで時間がありそうだ。
近くではうっとりしているカップルがいて、男に見せつけていた。
「まったく。」男は、ポケットから煙草を取り出し、火をつけ、夜空に向かって煙を吐き出した。ふとブランコの所でこの場所に相応しくないドンヨリとした雰囲気で、学生服を着た女の子がいた。
クリスマスイブだというのになぜあんなに泣いているのだろうか。
男が気になって聞いた。
「お嬢さん。何でそんなに泣いているんだい?」
「別に。あんたには関係ないでしょう。」
「そんな事言ってもクリスマスイブなんだぜ。みんな楽しく歌っているし、光だって輝いているよ。そんなに泣いているとサンタのおじさんもびっくりだ。」男は音楽に合わせて踊って見せた。
「そんな踊ったって、男なんてみんな一緒よ。私のこと散々弄んで捨てていくんだ。」その女の子は泣き出した。男は、今までの事を考えて、胸に手を当てギクリとした。
「だけどいい男もいると思うぜ。俺みたいに。」サンタがいくらかっこつけてもかっこつかなかった。
「そんな恰好してよく言うわね。それじゃ~サンタさん。私の願い事聞いてくれる?」涙を拭きながら上目使いで男の顔を覗き込んだ。
「う~ん。クリスマスだから聞いてあげよう。」この子結構可愛いかもと思って、男は聞くことにした。
「彼氏が何で私と違う女の所に行ったのか聞いて、殴って来てよ。」女の子は掌をグーにして北斗の拳のラオウみたいに空にかざした。
「そんな事はサンタには無理だね。奇跡を見せるのが私の仕事だからね。ほら見てなって、もうすぐ彼氏が目の前に現れたりして。」男がウィンクすると、走って彼氏がやって来た。
「お前。探したんだぞ。あの女の人は違うって、ただのバイトの先輩で話していただけって言っただろう。」彼氏は息を切らしていた。
「私信じていいの。」また、あの上目使いだ。男はこれに弱いとツクヅク思った。
「あぁ。」二人とも泣き出した。丁度その時、山下達郎のクリスマスイブの前奏が流れはじめていた。
若い恋はそうやって何度もやり直しが効くからいいもんだ。
「それじゃ。メリークリスマス。」ブランコの二人に挨拶をして、すっかりサンタの仕事を忘れていたのを思い出した。
琴美ちゃんの英語バージョンの「クリスマスイブ」を聞きながら、子供たちにプレゼントを配った。
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そもそものはじまりは、部屋の隣に住むかわい子ちゃんから、「あなたサンタクロースにならない?」なんて言われたからだ。
本当にする事ないだろうと嘆きつつ、子供達にプレゼントを配っていた。
プレゼントといっても小さな袋に詰めたお菓子だ。この公園のイベントに来る子供にお菓子を配ってお金がもらえるという画期的なシステムだ。
要するにアルバイトってな訳だな。
早くこんな所を抜け出して、街でナンパするしかないなと思った。そんな事を考えていると部屋の隣に住んでいる琴美ちゃんが目の前にやって来た。
「よく似合ってますよ。ウフフッ。」と笑窪を凹ませて笑った。その笑顔に見とれていた。
「そうかな。」男は照れた。
子供が近づいて来て、「メリークリスマス。」と男はサンタの真似をして、愛想良くプレゼントを渡した。
琴美が「それじゃまたね~。お疲れ様。」と言って手を振って向こうの方に行ってしまうと、男は子供に「しっし。あっち行け。」と小声で言った。
「なんだよこのサンタ。」と言って子供が、男のスネを蹴った。
「あいたたた。」男も負けじと子供の耳を引っ張った。それを見ていた母親が止めに入り、喧嘩が収まった。
そんな事を繰り返しているうちに周りがダンダン暗くなり、公園のイルミネーションが輝き始めた。
公園には人だかりが出来き、司会者の合図と共にクリスマスのイベントが始まった。
最初は外国人達が日本語できよしこの夜を歌った。その後、子供たちが真っ赤な鼻のトナカイを合唱していた。
琴美ちゃんも最後に歌を歌うと言っていたがそれまで時間がありそうだ。
近くではうっとりしているカップルがいて、男に見せつけていた。
「まったく。」男は、ポケットから煙草を取り出し、火をつけ、夜空に向かって煙を吐き出した。ふとブランコの所でこの場所に相応しくないドンヨリとした雰囲気で、学生服を着た女の子がいた。
クリスマスイブだというのになぜあんなに泣いているのだろうか。
男が気になって聞いた。
「お嬢さん。何でそんなに泣いているんだい?」
「別に。あんたには関係ないでしょう。」
「そんな事言ってもクリスマスイブなんだぜ。みんな楽しく歌っているし、光だって輝いているよ。そんなに泣いているとサンタのおじさんもびっくりだ。」男は音楽に合わせて踊って見せた。
「そんな踊ったって、男なんてみんな一緒よ。私のこと散々弄んで捨てていくんだ。」その女の子は泣き出した。男は、今までの事を考えて、胸に手を当てギクリとした。
「だけどいい男もいると思うぜ。俺みたいに。」サンタがいくらかっこつけてもかっこつかなかった。
「そんな恰好してよく言うわね。それじゃ~サンタさん。私の願い事聞いてくれる?」涙を拭きながら上目使いで男の顔を覗き込んだ。
「う~ん。クリスマスだから聞いてあげよう。」この子結構可愛いかもと思って、男は聞くことにした。
「彼氏が何で私と違う女の所に行ったのか聞いて、殴って来てよ。」女の子は掌をグーにして北斗の拳のラオウみたいに空にかざした。
「そんな事はサンタには無理だね。奇跡を見せるのが私の仕事だからね。ほら見てなって、もうすぐ彼氏が目の前に現れたりして。」男がウィンクすると、走って彼氏がやって来た。
「お前。探したんだぞ。あの女の人は違うって、ただのバイトの先輩で話していただけって言っただろう。」彼氏は息を切らしていた。
「私信じていいの。」また、あの上目使いだ。男はこれに弱いとツクヅク思った。
「あぁ。」二人とも泣き出した。丁度その時、山下達郎のクリスマスイブの前奏が流れはじめていた。
若い恋はそうやって何度もやり直しが効くからいいもんだ。
「それじゃ。メリークリスマス。」ブランコの二人に挨拶をして、すっかりサンタの仕事を忘れていたのを思い出した。
琴美ちゃんの英語バージョンの「クリスマスイブ」を聞きながら、子供たちにプレゼントを配った。
ブランコでナンパされるの待ってみようと思います(笑)
でも私、クリスマス仕事なんです…
最近やる気満々で更新しています。やはり12月だからクリスマスの話しがウケルかなと思ってますけどね(笑)
コメントがある限り続けようと頑張っていますが、うまくいかない物語もあるかと思いますが、そこはスルーして下さいね。
リンさん。クリスマス仕事って、まさかサンタクロースじゃないよね?
何の仕事か聞きたい所ですが、深みにはまりそうなので止めておきます。
それで何の仕事なんですか?(笑)
仕事は…普通にアルバイトしてます☆
深みにハマってみて下さい♪
何のバイトですか?
私も早く正社員になりたいです。
りんさんは、どこに住んでるんですか?
機会が会えばお話ししたいですね。
彼氏いたりなんかして?
まぁそれは置いておいて素敵な人との出会いに感謝します。