今日、第172回直木賞と芥川賞の受賞作が発表されました。
直木賞の予測を先日書きましたが、受賞はあるかもと思いましたが最終的には僕の受賞作予測から外した伊与原 新さんの『藍を継ぐ海』が選ばれました。
おめでとうございます。
とても描写がうまい作品です。
皆さん、是非お読みください。
僕の直木賞予測記事はこちらです。
第172回直木賞受賞作予測 - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)
今日、第172回直木賞と芥川賞の受賞作が発表されました。
直木賞の予測を先日書きましたが、受賞はあるかもと思いましたが最終的には僕の受賞作予測から外した伊与原 新さんの『藍を継ぐ海』が選ばれました。
おめでとうございます。
とても描写がうまい作品です。
皆さん、是非お読みください。
僕の直木賞予測記事はこちらです。
第172回直木賞受賞作予測 - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)
近年、趣味として直木賞と芥川賞の候補作が発表されると受賞作の予測を行ってきましたが、今回は時間的制約から直木賞に絞って予測を行うこととします。以下のコメントはあくまでも個人の感想です。
朝倉かすみ『よむよむかたる』(文藝春秋)
作品中に用いられる比喩がうまいので、比喩表現に関心がある作者と見受けられました。
受賞にはやや弱いかと思いました。登場人物の把握が難しかったです。
伊与原 新『藍を継ぐ海』(新潮社)
5つの作品を収めた短編集です。それぞれの作品の舞台になっている土地のことをよく調べ作品に取り入れていることがわかりました。また描
写も上手いと感じました。受賞はありうると思いました。
荻堂 顕『飽くなき地景』(KADOKAWA)
東京の歴史を踏まえた物語です。描写がうまい文章、しっかりした小説であると思いました。
実在の人物(作家を含む)も出てきてフィクション中のノンフィクションが面白かったです。
直木賞の有力候補と思いました。
木下昌輝『秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚」(徳間書店)
五章「蠅取り」では、箸で蠅を取る芸が出てきて、有名な宮本武蔵のエピソードを思い出しました。また一章「末期養子」では「阿波の藍か、
藍の阿波か」という言葉があります、などと歴史的描写はうまいと思いましたが、個人的問題ではあると思いますが、物語に入っていけない感
じがしました。
月村了衛『虚の伽藍』(新潮社)
候補作『飽くなき地景』が東京の歴史を踏まえた作品であるのに対し、こちらの作品は京都の仏教界(架空のものですが)を舞台にした作品で、
読んでいて面白かったです。架空の仏教宗派名、寺院名が用いられてはいますが、実在の世界にもこのような人間ドラマがあるだろうと思わせ
る描写力でした。
受賞の有力候補と思いました。
ということで、今回の僕の受賞作予測は、日本史の中で日本の重要な両都、京都と東京の歴史を踏まえた二作品、つまり、月村了衛『虚の伽藍』(新潮社)と荻堂 顕『飽くなき地景』(KADOKAWA)を挙げさせていただきたいと思います。
伊与原 新『藍を継ぐ海』(新潮社)も受賞可能性はあるかもしれませんが、次点とさせていただきます。
受賞作を2作にしているのは、最近の傾向を踏まえています。受賞作は(候補作も)、それだけ本の売り上げが増えるので、本の売り上げを伸ばすことを考える文学界の思惑が反映しているものと思っています。
受賞作の発表は2025年1月15日です。どうぞお楽しみに!
僕のこれまでの直木賞(および芥川賞)受賞予測についてはこちらをどうぞ。
第171回直木賞受賞作予測的中 - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)
第171回直木賞受賞作が発表されました。
一穂ミチ著の『ツミデミック』が受賞しました。
第171回直木賞受賞作予測(2024年7月) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)
の記事で、僕は一穂ミチの『ツミデミック』と岩井圭也の『われは熊楠』のダブル受賞を予測していましたので、「半分」ではありますが的中したことになります。
第170回では、僕は一つの作品の予測をしていましたが、それを含む二作品が受賞をしたので、予測が「半分」的中としましたが、今度はその逆で、僕は二作品の受賞を予測しましたが、そのうちの一つが受賞しました。
第170回直木賞予測的中(半分ですが…) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)
年に2回の直木賞の予測ゲーム、なかなか面白いのでこれからも続けようと思います。
第171回直木賞候補作5作が発表されました。
このところ、直木賞(と芥川賞)の受賞作の予測ごっこをしております。
今回も直木賞受賞作を予想します。
以下、読んだ順に短評を書きます。
青崎有吾(あおさきゆうご)著『地雷グリコ』KADOKAWA
最初の「地雷グリコ」は魅かれたが、途中からついて行くのが辛くなった。「宮本武蔵。遅れて登場した者が勝つ…」と巌流島の闘いの宮本武蔵のことが出てきておもしろい。僕の予想では直木賞の受賞はないと思う。
麻布競馬場著『令和元年の人生ゲーム』文藝春秋
あまり印象に残らなかった。「僕たちは不安だった。少なくとも大学までは悪くなかった人生が、就活での失敗を機に下降の一途を辿ることが、不安で仕方なかった」(p. 183)は修学・キャリア支援センター長を務める身としては気になった。
一穂ミチ著『ツミデミック』光文社
コロナ禍、コロナ後の社会描写にすぐれていてコロナ禍文学作品と呼べる、「さざなみドライブ」が特によかった。直木賞受賞予測
印象に残った描写2つ
最初こそ発作じみた喪失感と虚無感に襲われたが、すぐに「何であんなものに熱中してたんだろ?」と目が覚めた。手元に何も残らない、運営側の設定次第の架空世界で一喜一憂し、ログインボーナスや次から次に投入される期間限定イベント、あるいはコラボに血道を上げていた自分の愚かさを痛感し、以来、ゲームと名のつくものにはいっさい手を出さず、就職後は周囲から感心されるほどつつましく貯蓄に励んだ。(「ロマンス」p.48)
『立ち別れ いなばの山の峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む』
ようやく、ここが高校の教職員用駐車場だと気づく。片隅にぽつんと立っている松の木の中にはごくまれに三本松葉があり、それを見つけたらこの和歌とセットで木の根っこに置いて願を掛けると失くしたものが見つかる―というおまじないが伝わっていた。(「憐光」p.60)
岩井圭也著『われは熊楠』文藝春秋
南方熊楠の人生一代記が描かれる。直木賞受賞予測
印象に残った描写
「論文なんぞ関係ない。誰にも認められんで構わん。我の学問は、我だけが知っとればそれでええ」(p.138)
熊楠はくしゃみに関する俗信を思い起こしていた。江戸時代後期の風俗について記された『嬉遊笑覧』によれば、くしゃみはインドで不吉な兆候とされていたらしい。また、『トンガ諸島原住民についての報告』では遠出前のくしゃみは悪い予兆とされている。一方で清少納言の時代には、元旦のくしゃみは長寿を約束すると言われていた。結句、人の捉え方一つということである。(p.190)
柚木麻子著『あいにくあんためのめじゃない』新潮社
残念ながらあまり印象に残らなかった、一穂ミチの方がうまいかな。
ということで、僕の今回の直木賞受賞予想作は、一穂ミチ著『ツミデミック』と岩井圭也著『われは熊楠』の二作です。
このところ二作受賞が多いので今回もこの二作が受賞するのではないかと予測します。
一穂ミチの作品は、これまで『スモールワールズ』(2021)、『光のところにいてね』(2022)、『うたかたモザイク』(2023)を読んでいますが、ついに直木賞受賞なるか!
第170回直木賞の受賞予測記事と受賞作発表後の記事はこちらです。
第170回直木賞予測(2024年1月) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)
第170回直木賞予測的中(半分ですが…) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)