今さらこれを書くのかという感がありますが、ドナルド・トランプ大統領が2017年1月20日に大統領に就任し、就任演説を行いました。
早くも書店には、その就任演説が英語教材化された書籍が並んでいます。
就任演説は、日本時間の夜中でしたので、僕は録画して視聴しました。
実は、僕自身、この演説、なかなかいいなと思い、そのことを投稿しようと思っていたら、トランプ大統領が次々と過激な言動をしているとの報道が続きますので、このスピーチが素晴らしいと書きにくくなって、忙しいことも相まって、ここまで投稿が遅くなりました。
トランプ大統領の演説は、聞いていてわかりやすく、英語が小学生程度だとか言われたり書かれたりしています。
確かにとてもわかりやすいです。
でも、外国人として英語を話す場合、凝った言い方はなかなかできませんので、どうしても自分の守備範囲内の優しい英語を中心に話すことになってしまいます。
ということで、僕たちのように外国語として英語を学んでいる場合には、トランプ大統領の英語は、とても参考になります。
演説の最初のほうで、政権交代とオバマ前大統領夫妻への感謝の言葉が述べられていますが、この部分を引用してみます。
Every four years, we gather on these steps to carry out the orderly and peaceful transfer of power, and we are grateful to President Obama and First Lady Michelle Obama for their gracious aid throughout this transition. They have been magnificent. Thank you.
(4年ごとにわれわれはここに集まり整然と平和裏に権力を移行する。オバマ前大統領とミシェル夫人に感謝する。政権移行を丁重に支援してくれた。彼らは素晴らしかった。ありがとう。)
*翻訳は、手元にある、山陽新聞(2017年1月22日第6面)掲載のものを使わせてもらっています。どなたの訳かは残念ながら記載されていませんでした。
外国人だから言えるのかもしれません。当事者ではないので言えるのかもしれません。が、あえて言いたいと思います。
この政権交代は、クーデターなどの暴力的なものでもなく、独裁政治や軍事政権が始まったわけでもなく、トランプ大統領も言うように、「整然と平和裏に権力を移行」(carry out the orderly and peaceful transfer of power)したものなのです。
そして、もちろんトランプ大統領は、アメリカ大統領選というのは非常にユニークな方法ではありますが、民主主義の下での正当な選挙という手段で選ばれた大統領なのです。
トランプ大統領の英語を小学生の英語程度だという人もいますが、今のアメリカ社会を(少なくともマスコミを通じて)見ていると、アメリカ社会が小学校のクラスのように見えます。学級会で何かを多数決で決め、接戦だったので、負けた側が、潔く負けを認めず、まだ何かワイワイガヤガヤ文句を言っている、そんなようにも見えてしまいます。
トランプ大統領が米国第一主義(America First)を唱えていることを批判する人もいます。
でも、アメリカ合衆国という国の最高責任者なのですから、自分の国を最優先するのは、ある意味当然のことではないでしょうか。
演説では、中盤で次のように述べられています。
We will seek friendship and goodwill with the nations of the world, but we do so with the understanding that it is the right of all nations to put their own interests first. We do not seek to impose our way of life on anyone, but rather to let it shine as an example -- we will shine -- for everyone to follow.
(われわれは世界の国々との友好、親善関係を求めていく。ただし、国益を最優先する権利が全ての国にあるという考えに基づき、実行していく。われわれの流儀を(他国に)押しつけたりはしない。むしろ規範として追随されるように、われわれを輝かせよう。)
確かに、「国益を最優先する権利が全ての国にある」のだと思います。
日本だって日本の国益を最優先しているじゃないですか。
国際交流を推進している立場の僕としては、We will seek friendship and goodwill with the nations of the world,(われわれは世界の国々との友好、親善関係を求めていく。)とトランプ大統領が言ってくれているのは、とてもありがたいことです。
そして、将来に向けては、次のようにも言っていました。
We stand at the birth of a new millennium, ready to unlock the mysteries of space, to free the Earth from the miseries of disease, and to harness the energies, industries, and technologies of tomorrow. A new national pride will stir our souls, lift our sights, and heal our divisions.
(宇宙の謎を解き、地球上から病の苦しみをなくし、未来のエネルギー、産業、技術を活用する新たな時代が始まったばかりだ。国への新たな誇りがわれわれの魂を揺り動かし、視野を広げ、分断を修復してくれるだろう。)
宇宙開発、病の根絶、エネルギー革命や産業革命などに期待を持たせてくれます。
また、「国への新たな誇り」(a new national pride)が「分断を修復してくれる」(heal our divisions)とも述べています。
ここからは、大雑把な比喩なので不確かなこともあるかもしれませんが、たとえ話で書きます。
また、このたとえ話は、アメリカのことを日本の小学校のクラスにたとえるのですから、あまり当てはまらないかもしれません。
クラス委員に選ばれたトランプ君、隣のクラスから、いたずらな子もいい子も含めて、自分のクラスに入って来ないように壁を作ると言っています。自分のクラスが再びナンバーワンになれるように、自分のクラスの利益を最優先してクラス運営をすると言っています。トランプ君もクラス委員に選ばれたからには、頑張っていいクラスにしようと思っています。でも、クリントンさんを学級委員にしようと思っていた人たちや、どちらにも学級委員をやってもらいたくないと思っていた人たちなどが、なかなか言うことを聞いてくれません。
さあ、こんな場合、どのようにクラスの雰囲気を高めていくのがいいでしょうか。アメリカ合衆国は、君主制や天皇制ではないので、担任の先生はいません(もし、君主制や天皇制であったら、そのような存在が担任の先生的な役割を果たすことができるかもしれないということ)。
クラスがまとまるためには、トランプ君がクラス委員なんだから言うことを聞こうぜと言ってくれる人の存在がクラス内に必要かもしれません。あるいは、もっと乱暴には、他のクラスから、あるいは他の学校から攻められて、クラスがまとまらざるを得ないという状況が必要なのかもしれません。(これは、現実に戻して考えてみると、他のクラスから攻められることは戦争を表します、そして他の学校から攻められるということは、宇宙からの侵略などを表します。)戦争や宇宙からの侵略などの解決法を待っていたら、本末転倒で、もっと暴力的な社会になってしまいます。ここは、トランプ君がクラス委員に選ばれたのだから、みんな、(少なくともトランプ君のクラス委員の任期だけでも)トランプ君のいうことを聞こうぜ、と言ってくれる存在の出現を待つのがいいのかもしれません。前クラス委員のオバマ君、あるいは、元クラス委員のブッシュ君やブッシュ君、クリントン君やカーター君でもいいです。はたまた、別の誰かでもいいでしょう。誰か、お願いします。
9月にアメリカで見たハロウィン用のトランプ大統領の若い頃に変装するためのかつら
今後も、アメリカ(文学や文化)を研究し、アメリカに行き続ける身としては、これからのアメリカ社会がどうなるかは、かなり影響があるでしょうし、とても関心があります。
ということで、ちょっと離れた校舎の別のクラスの教室から、様子を見守りたいと思っています。
ニューヨーク・マンハッタンのトランプタワー(5番街)
早くも書店には、その就任演説が英語教材化された書籍が並んでいます。
就任演説は、日本時間の夜中でしたので、僕は録画して視聴しました。
実は、僕自身、この演説、なかなかいいなと思い、そのことを投稿しようと思っていたら、トランプ大統領が次々と過激な言動をしているとの報道が続きますので、このスピーチが素晴らしいと書きにくくなって、忙しいことも相まって、ここまで投稿が遅くなりました。
トランプ大統領の演説は、聞いていてわかりやすく、英語が小学生程度だとか言われたり書かれたりしています。
確かにとてもわかりやすいです。
でも、外国人として英語を話す場合、凝った言い方はなかなかできませんので、どうしても自分の守備範囲内の優しい英語を中心に話すことになってしまいます。
ということで、僕たちのように外国語として英語を学んでいる場合には、トランプ大統領の英語は、とても参考になります。
演説の最初のほうで、政権交代とオバマ前大統領夫妻への感謝の言葉が述べられていますが、この部分を引用してみます。
Every four years, we gather on these steps to carry out the orderly and peaceful transfer of power, and we are grateful to President Obama and First Lady Michelle Obama for their gracious aid throughout this transition. They have been magnificent. Thank you.
(4年ごとにわれわれはここに集まり整然と平和裏に権力を移行する。オバマ前大統領とミシェル夫人に感謝する。政権移行を丁重に支援してくれた。彼らは素晴らしかった。ありがとう。)
*翻訳は、手元にある、山陽新聞(2017年1月22日第6面)掲載のものを使わせてもらっています。どなたの訳かは残念ながら記載されていませんでした。
外国人だから言えるのかもしれません。当事者ではないので言えるのかもしれません。が、あえて言いたいと思います。
この政権交代は、クーデターなどの暴力的なものでもなく、独裁政治や軍事政権が始まったわけでもなく、トランプ大統領も言うように、「整然と平和裏に権力を移行」(carry out the orderly and peaceful transfer of power)したものなのです。
そして、もちろんトランプ大統領は、アメリカ大統領選というのは非常にユニークな方法ではありますが、民主主義の下での正当な選挙という手段で選ばれた大統領なのです。
トランプ大統領の英語を小学生の英語程度だという人もいますが、今のアメリカ社会を(少なくともマスコミを通じて)見ていると、アメリカ社会が小学校のクラスのように見えます。学級会で何かを多数決で決め、接戦だったので、負けた側が、潔く負けを認めず、まだ何かワイワイガヤガヤ文句を言っている、そんなようにも見えてしまいます。
トランプ大統領が米国第一主義(America First)を唱えていることを批判する人もいます。
でも、アメリカ合衆国という国の最高責任者なのですから、自分の国を最優先するのは、ある意味当然のことではないでしょうか。
演説では、中盤で次のように述べられています。
We will seek friendship and goodwill with the nations of the world, but we do so with the understanding that it is the right of all nations to put their own interests first. We do not seek to impose our way of life on anyone, but rather to let it shine as an example -- we will shine -- for everyone to follow.
(われわれは世界の国々との友好、親善関係を求めていく。ただし、国益を最優先する権利が全ての国にあるという考えに基づき、実行していく。われわれの流儀を(他国に)押しつけたりはしない。むしろ規範として追随されるように、われわれを輝かせよう。)
確かに、「国益を最優先する権利が全ての国にある」のだと思います。
日本だって日本の国益を最優先しているじゃないですか。
国際交流を推進している立場の僕としては、We will seek friendship and goodwill with the nations of the world,(われわれは世界の国々との友好、親善関係を求めていく。)とトランプ大統領が言ってくれているのは、とてもありがたいことです。
そして、将来に向けては、次のようにも言っていました。
We stand at the birth of a new millennium, ready to unlock the mysteries of space, to free the Earth from the miseries of disease, and to harness the energies, industries, and technologies of tomorrow. A new national pride will stir our souls, lift our sights, and heal our divisions.
(宇宙の謎を解き、地球上から病の苦しみをなくし、未来のエネルギー、産業、技術を活用する新たな時代が始まったばかりだ。国への新たな誇りがわれわれの魂を揺り動かし、視野を広げ、分断を修復してくれるだろう。)
宇宙開発、病の根絶、エネルギー革命や産業革命などに期待を持たせてくれます。
また、「国への新たな誇り」(a new national pride)が「分断を修復してくれる」(heal our divisions)とも述べています。
ここからは、大雑把な比喩なので不確かなこともあるかもしれませんが、たとえ話で書きます。
また、このたとえ話は、アメリカのことを日本の小学校のクラスにたとえるのですから、あまり当てはまらないかもしれません。
クラス委員に選ばれたトランプ君、隣のクラスから、いたずらな子もいい子も含めて、自分のクラスに入って来ないように壁を作ると言っています。自分のクラスが再びナンバーワンになれるように、自分のクラスの利益を最優先してクラス運営をすると言っています。トランプ君もクラス委員に選ばれたからには、頑張っていいクラスにしようと思っています。でも、クリントンさんを学級委員にしようと思っていた人たちや、どちらにも学級委員をやってもらいたくないと思っていた人たちなどが、なかなか言うことを聞いてくれません。
さあ、こんな場合、どのようにクラスの雰囲気を高めていくのがいいでしょうか。アメリカ合衆国は、君主制や天皇制ではないので、担任の先生はいません(もし、君主制や天皇制であったら、そのような存在が担任の先生的な役割を果たすことができるかもしれないということ)。
クラスがまとまるためには、トランプ君がクラス委員なんだから言うことを聞こうぜと言ってくれる人の存在がクラス内に必要かもしれません。あるいは、もっと乱暴には、他のクラスから、あるいは他の学校から攻められて、クラスがまとまらざるを得ないという状況が必要なのかもしれません。(これは、現実に戻して考えてみると、他のクラスから攻められることは戦争を表します、そして他の学校から攻められるということは、宇宙からの侵略などを表します。)戦争や宇宙からの侵略などの解決法を待っていたら、本末転倒で、もっと暴力的な社会になってしまいます。ここは、トランプ君がクラス委員に選ばれたのだから、みんな、(少なくともトランプ君のクラス委員の任期だけでも)トランプ君のいうことを聞こうぜ、と言ってくれる存在の出現を待つのがいいのかもしれません。前クラス委員のオバマ君、あるいは、元クラス委員のブッシュ君やブッシュ君、クリントン君やカーター君でもいいです。はたまた、別の誰かでもいいでしょう。誰か、お願いします。
9月にアメリカで見たハロウィン用のトランプ大統領の若い頃に変装するためのかつら
今後も、アメリカ(文学や文化)を研究し、アメリカに行き続ける身としては、これからのアメリカ社会がどうなるかは、かなり影響があるでしょうし、とても関心があります。
ということで、ちょっと離れた校舎の別のクラスの教室から、様子を見守りたいと思っています。
ニューヨーク・マンハッタンのトランプタワー(5番街)