山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

英語教育、国際姉妹都市交流、ジョン・スタインベック、時事英語などの研究から趣味や日常の話題までいろいろと書き綴ります。

第168回直木賞受賞作予測

2023-01-09 13:14:26 | 日本文学
第168回直木賞の候補作が以下のように発表されました。

小川哲『地図と拳』
一穂ミチ『光のとこにいてね』
千早茜『しろがねの葉』
凪良ゆう『汝、星のごとく』
雫井脩介『クロコダイル・ティアーズ』

最近、直木賞や芥川賞の候補作を読んで、受賞作を(勝手に)予測するという「遊び」をしていますので

2022年上半期直木賞予測 - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

2022年度上半期直木賞予測的中! - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

今回も候補作を読んでみました。

まず読んだのは、小川哲(さとし)著『地図と拳』でした。
壮大な物語で、最初は正直言って食指があまり動きませんでしたが、読み進めるうちに物語にさしはさまれるエピソードに魅力をおぼえました。
僕が研究するジョン・スタインベックの『エデンの東』のようだと思いました。
この時点では、まだ他の候補作品は読んでいませんでしたが、この作品が有力候補作であると思いました。

次に呼んだのは、千早茜著『しろがねの葉』でした。
これは、本格的には訪問したことはないながらも居住地に比較的近い石見銀山が舞台となっていて、そこの銀採掘人にまつわる一人の女性の壮大な物語でした。
一人の女性の生と性を石見銀山という舞台にして描いていはいるけれども、それがけっして石見だけの話ではなく普遍性をもって描かれているので、これも直木賞有力候補であると考えました。これまでも2作同時受賞はありましたので、前述の『地図と拳』と2作同時受賞かなと思いました。

次は、雫井脩介(しずくい)著『クロコダイル・ティアーズ』
これは、横浜で学生時代を過ごした僕が何度も行った鎌倉やその周辺が舞台でおもしろかったです。
松本清張や宮尾登美子のような作風を感じました。

次に読んだのは、凪良ゆう著『汝、星のごとく』
これを読む前は、先ほど書いたように今回の直木賞は小川哲著『地図と拳』、千早茜著『しろがねの葉』の同時受賞かと考えていましたが『汝、星のごとく』がこの2作を上回りました(個人の感想です)。
やや現実感が欠けるかもしれませんが、登場人物をしっかりと描き切っていると思いました。
また、物語冒頭と最後で1世代の年月は経過していますが、娯楽の少ない瀬戸内の島の中で自分の家族が話題になっているという同じ描写を繰り返し、しっかりとした物語の枠組みとなっていると思いました。
登場人物の北原先生がよかったです。
先日、出張で今治に行く前に今治を舞台とした七月隆文著『天使は奇跡を希う』を読みましたが、この作品も今治周辺が舞台となっています。

そして、最後に読んだのは、一穂ミチ著『光のとこにいてね』でした。
この作品は残念ながら僕には他の候補作品に比べあまり入ってきませんでした。

ということで、勝手に予想する今回の直木賞受賞作は凪良ゆう著『汝、星のごとく』です。

選考結果は1月19日に発表されますので、楽しみにしています。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする