◆〜本と歩こう(46)〜◆
こんにちは。市民レポーターの 杉浦玲子 (すぎうら れいこ)です。
今回は3月13日(月)に行われた第49回藤村学校講座のご報告です♪
今回の講座は2部構成で行われました。
①「切手に描かれた甲州」
②「門守信仰と山崎方代」
第1部講師の中川清さん
甲府郵趣会の会報担当でもある中川さん。長年の趣味である切手収集をライフワークの一つとして、切手の楽しさや収集方法を伝える活動をされています。
はじめに、会場である「藤村記念館」も「旧睦沢学校校舎」として、1983年2月15日に60円切手(近代洋風建築シリーズ第7集)で発行されたことを紹介。
切手・はがきの歴史にふれ、甲州ゆかりの人物・風景・芸術などの切手、各地の名所や特産品を描いた郵便印など、バラエティ豊かにご紹介いただきました。
『甲府郵趣』にご興味のある方は、ぜひネットで検索してみてくださいね★
休憩をはさんで第2部へ。
講師は植松光弘さん。
私設郷土資料館「奈麻余美(なまよみ)文庫」主宰でもある植松さんは、歌人・山崎方代(ほうだい)の作品研究や朗読会もされています。
玄関にイワシの頭やヒイラギの葉を飾り、疫病神を退散させる「門守(かどもり)信仰」。
近年の山梨県では「ヨゲンノトリ」のお札が好例でしょうか。
かつて全国から甲州でも盛んにおこなわれ、方代の生まれ育った右左口村でもおなじみの風習でした。
植松さんは、そのような門守信仰の風習を基にした、方代の歌が多数詠まれていることを紹介。
「留守と言う札をかえすと留守であるそしていつでも留守の方代」
この札が功を奏して、押し売りも借金取りも退散したとか。
方代は次々と奇妙な「お札」を吊るします。
「封のまま女の手紙を束にして、軒に吊るして暮らしている」
人生の終盤は、鎌倉の住居小屋「方代艸庵」で過ごした方代。
きっと、その出入口には得体のしれないものがぶら下がって…。
歌と酒に生き、多くの人に愛された方代の人となりや暮らしぶりが伺えて、興味深いひとときでした。
★本と歩こう(46)★
『方代さん』
湯川晃敏写真
BeeBooks
光村印刷株式会社
1997年発行
※著者親族の許諾を得て書影を使用しています
―「生き放題死に放題」―
そんな父の願いで名づけられた、甲府市(右左口村)出身の歌人・山崎方代。
戦争で右目を失明。生還後は放浪生活に入り、姉の死で天涯孤独に。
若年より創作した短歌が認められ、58歳のとき、支援者の厚意により鎌倉へ転居。
本書には、方代63歳の夏から晩年までの写真が収録されています。
故湯川晃敏氏のカメラの前で見せた、「方代さん」の素顔の数々。
撮影者と被写体という関係を超えて、二人の深い友情と信頼でつくられた、魅力的な写真集です。
―取材へのご協力、ありがとうございました―