◆ ラベルが語る歴史風景 ◆
市民レポーターの浅野です。
今回もワインにこだわります。
ワインボトルを食卓に置いて、「今日はこのワインを飲みます、乾杯!」
というときボトルに貼ってあるラベルを見ますよね。
ワインラベルって、なんかカッコいいって思いません?
ワインラベルは紀元前の時代からありました。
ワインは欧州が発祥なので、今でもワインラベルの中に欧州を感じますよね。
では甲府市のワイナリーのラベルはどんな風でしょうか?
さっそく、甲府駅近くの有名なワイナリー(株)サドヤさんを訪ねてみました。
3代目今井さんに面会することができました。(古くから数えると何と8代目だそうです。)
サドヤさんは、ガヤガヤの市街地の中にありますが、
一歩構内に入るとヨーロッパの一角に来たような雰囲気に一変します。
▲これが甲府駅近くとは思えません!
1.肩ラベル 昭和8年ごろ・・・・
▲右から左に向かって書かれています。そのような時代です。
このラベルはボトルの肩に貼るラベルです
みるからに大正、昭和の時代のロマンを感じさせるデザインですね。
老舗ワイナリーだからこそのラベルです。
中央に「甲鐡葡萄酒」と書いてあります。
「甲鐡」はサドヤさんの登録商標になります。
その上段に、赤地に白文字で「畏れ多くも皇室ご用達」といった意味の表記があります。
これも時代背景が窺えます。
2.WHITE GRAPE JUICE 白葡萄液 昭和12年ごろ・・・
▲当時を想わせる宣伝
昭和12年12月発行の「甲府商業高等学校同窓会・会報誌」の裏表紙にある宣伝ページです
ワインラベルには、「WHITE GRAPE JUICE 白葡萄液」と書いてあって、
宣伝文(キャッチコピー)には「貴重なる天然の葡萄糖液」「葡萄糖の注射代用となる・・・」と書いてあります。
今流にいえば、薬事法違反なんてことにもなりそう
この当時は、ワインはまだ一般的ではありませんでしたので、
鉄分や葡萄糖を補給する一種の薬用酒としての考え方が強かったそうです。
同じ酒でも、日本酒や焼酎とは随分ちがった流れですね。
3.シャトーブリヤン 1946年(昭和21年)ごろ・・・
▲今でも使えそうな宣伝パネル
この絵はワインの広告パネルです。
中世風な趣と、ヨーロッパの洞窟居酒屋のような雰囲気が漂っていますね。
このワインはサドヤさんが今に伝承している「シャトーブリヤン」です
この絵と、シャトーブリヤンという商品名にはちょっとしたしゃれっ気が入っています。
この絵の男性は、シャトーブリアンさんです。
19世紀、フランスの有名な政治家です。
彼が食べている肉はヒレ肉で、ブリアンといいます。
脂肪が少なく、肉質に優れた最高級のステーキで、
シャトーブリアンさんが料理人に命じて作らせたことから、
このような肉を今でも、「シャトーブリアンステーキ」と呼ぶのだそうです。
で、彼シャトーブリアンがブリアンを食べながら、ワイン・シャトーブリヤンを飲む、という絵です
ワインラベルにあるシャトーブリヤンのデザイン文字は現在使用しているラベルと全く同じです。
4.皇太子殿下御台臨記念 昭和45年 冬の国体・・・
▲これは実物を写させていただきました。
昭和35年産ワインですから52年前のものです。
皇太子殿下(今上天皇)御台臨記念として配られた赤と白のワインです。
ワインは肩ラベルから昭和35年ものであることが分ります。
ワインラベルのデザインは前の写真と全く同一です。
4.マッターホルンのデザインラベル 昭和22年ごろから・・・
▲昭和20年代にはどんな人たちに愛されたのでしょうか?
毎日食事の時に飲むテーブルワインで、「モンシェルバン」といいます。
昭和22年ごろから使い始めて、今でも使用中です。
マッターホルンは仏語でモンセルバンというので、
これをヒントに、登山が大好きな先代の社長さんが命名されたとのことです。
すばらしいデザインですね
毎日飲むワインということで、辛口タイプ、煮物や肉料理によく合うワインです。
ワインラベルは先人の夢を食卓に運んでくれますね。
5.現在の代表的なワインラベル
▲ワインはお酒だけではありません。 ラベルとも会話してみましょう!
左のラベルは「シャトーブリヤン」で、2002年にサドヤ農場で産出したカベルネ・ソーヴィニヨン種を使ったワインです。
長期熟成の優しさが特徴のワインだそうです。
右のラベルは「シャトーブリヤン・ミュール」です。
ミュールというのは仏語で果実が熟したという意味です。
複数年のブドウで熟成したワインを混ぜているそうです。
サドヤさんのご協力で、ワインラベルのお話を伺うことができました。
またワインが美味しくなりそうです 天国天国
日時:12月8日(土)午前10時~午後6時30分
会場:甲府中央商店街周辺