矢田寺
矢田山金剛寺と称し、西山浄土宗の寺である。はじめ五条坊門付近にあったが、文和年間(1352~56)下京区矢田町に移り、天正7年(1579)現在の地に移った。本堂に安置する本尊地蔵菩薩は、火焔を光背とする高さ2メートルの立像、今は、とれてしまって手前に置いてある。台座の下は地下室となり、火災の場合エレベーターによって下へ降りる仕掛けになっている。「元享釈書」によれば、閻魔大王から「菩薩が受ける戒律を授かりたいので、高徳の僧を紹介してほしい」と依頼された小野篁は、満慶上人を閻魔庁に案内し、上人は閻魔大王に菩薩戒を授けた。喜んだ閻魔大王は、そのお礼として上人に地獄めぐりをさせた。この地蔵尊は開祖満慶上人が冥途へ行き、そこで出会った生身の地蔵尊を写して造ったといわれ、「生身地蔵」(いきみ)俗に「代受苦地蔵」(だいじゅく)や「奈落化現地蔵」(ならくけげん)と呼ばれ、地獄で亡者を救う地蔵として人々の信仰を集めている。寺宝の紙本著色「矢田地蔵縁起」は、この霊験談をあらわしたものである。また、当寺の梵鐘は、六道珍皇寺の「迎え鐘」に対し「送り鐘」と呼ばれ、死者の霊を迷わず冥途へ送るために撞く鐘として人々から信仰され、1年を通じて精霊送りには、多くの参拝者で賑わう。
なお、旧鐘は応安5年(1372)の在銘。戦時中の金属回収によって供出。現在のは、昭和48年(1973)の鋳造。表面に「聖霊送鐘」と地蔵立像を陽刻されている。
かぼちゃ炊き
奉納額 明治12年8月(1879)
境内から 外を見たところ
絵馬
地獄で 地蔵さんに助けてもらっているところです
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