時代屋の女房/森崎東監督
何となく見覚えがある風景のような気がするところがあって、それが何なのか分からないまま観続けていた。終わった後にもそれは思い出せないでいたのだが、それなりに古くなってしまった映画の所為であるのと、やはりこの映画がつくられた時代の所為だということにやっと思い当たった。
実際にこの映画が上映されていたころよりも少し後になるのだが、高校生の頃アルバイトをしていた時に、ほとんど初めてと言っていい大人の世界を垣間見るという体験をしたように思う。大人の世界というのはズバリ男女関係で、飲食店で働く人々というのはそれなりに事情のある人が多くて、けっこうドロドロしていて驚いたものだ。自分自身の女性関係の乏しさというのもあるが、そういうものであってもそれなりに興味があって接していた。あんがい性的なものというのは、学校のそれとは違って、大人の世界では一般的な出来事なんだな、と思った事だった。その後は必ずしもそんなことでは無いと知る訳だが、まあ、流れ者の多い世界というのは、そんな感じということなんだろう。
猫のようにふらりとやってきて、そのまま居ついてしまう男女関係がそんなに多いとは思えないが、しかしこのような展開というのは、奥手な男には理想とするものかもしれない。まあ、普通はありえないよ、とは思うものの、戸惑いながら、どういう素性の人なのか聞けないというのも、何となく分からないでは無い。しかしそれがいつまでもということになると、それはよく分からない感じもして、時々ふらりと出て行ってしまうと、やけ酒を飲んだりして、どうにも情けない感じもする。今の関係は理想かもしれないが、微妙なバランスの上にかろうじて成り立っている。そういうバランスが壊れてしまうのが怖くて、そのミステリアスなところを解き明かせないということなんだろう。
作り手としては、このような男女関係を、新しい生き方のような、何となくそういうふうに讃美して表現しているようなところも感じた。今となっては古い感じがするので少しアンバランスに感じるが、縛られない関係というか、そういうことだ。しかしながらそれはそうかもしれないが、一緒に暮らして利害が一致したような、いわゆる夫婦ということになると、普通はそうも言ってられない。そういう縛られないような感覚から脱皮することで、多かれ少なかれ夫婦というものになっていくのではあるまいか。もちろん映画としても、そういう殻の破り方ということも表現しているようだ。
変なお話かもしれないが、どこか未熟でシャイなところあった時代ということも言えて、くすぐったいような恥ずかしいような感覚を味わいながら観たのであった。
何となく見覚えがある風景のような気がするところがあって、それが何なのか分からないまま観続けていた。終わった後にもそれは思い出せないでいたのだが、それなりに古くなってしまった映画の所為であるのと、やはりこの映画がつくられた時代の所為だということにやっと思い当たった。
実際にこの映画が上映されていたころよりも少し後になるのだが、高校生の頃アルバイトをしていた時に、ほとんど初めてと言っていい大人の世界を垣間見るという体験をしたように思う。大人の世界というのはズバリ男女関係で、飲食店で働く人々というのはそれなりに事情のある人が多くて、けっこうドロドロしていて驚いたものだ。自分自身の女性関係の乏しさというのもあるが、そういうものであってもそれなりに興味があって接していた。あんがい性的なものというのは、学校のそれとは違って、大人の世界では一般的な出来事なんだな、と思った事だった。その後は必ずしもそんなことでは無いと知る訳だが、まあ、流れ者の多い世界というのは、そんな感じということなんだろう。
猫のようにふらりとやってきて、そのまま居ついてしまう男女関係がそんなに多いとは思えないが、しかしこのような展開というのは、奥手な男には理想とするものかもしれない。まあ、普通はありえないよ、とは思うものの、戸惑いながら、どういう素性の人なのか聞けないというのも、何となく分からないでは無い。しかしそれがいつまでもということになると、それはよく分からない感じもして、時々ふらりと出て行ってしまうと、やけ酒を飲んだりして、どうにも情けない感じもする。今の関係は理想かもしれないが、微妙なバランスの上にかろうじて成り立っている。そういうバランスが壊れてしまうのが怖くて、そのミステリアスなところを解き明かせないということなんだろう。
作り手としては、このような男女関係を、新しい生き方のような、何となくそういうふうに讃美して表現しているようなところも感じた。今となっては古い感じがするので少しアンバランスに感じるが、縛られない関係というか、そういうことだ。しかしながらそれはそうかもしれないが、一緒に暮らして利害が一致したような、いわゆる夫婦ということになると、普通はそうも言ってられない。そういう縛られないような感覚から脱皮することで、多かれ少なかれ夫婦というものになっていくのではあるまいか。もちろん映画としても、そういう殻の破り方ということも表現しているようだ。
変なお話かもしれないが、どこか未熟でシャイなところあった時代ということも言えて、くすぐったいような恥ずかしいような感覚を味わいながら観たのであった。