カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

何かの反抗か、そんな感じが青春か    旅の重さ

2019-06-08 | 映画

旅の重さ/斎藤耕一監督

 高橋洋子主演の伝説的映画。高橋は現在作家のようだが、出演当時、彼女のデビュー作でありながらいきなり脱いだことで、大変に話題になったという。そのようなエロ目的で見るというのもあるのかもしれないが、基本的には青春映画としての瑞々しさというのが、映画的には正しい見方かもしれない。実際そういう内容だし(しかしレズっぽいのもあったりして、どうなのか?)。
 劇中語られる主人公のモノローグから類推して、母親との確執(父の存在は分からない)のようなものがあって、家出して四国のお遍路さんに旅立つ。設定は16歳となっているし、そのような若い娘が一人で旅することで、大変な危険が伴っている風は感じられる。金もなさそうだし。お遍路なのでご厚意にも甘えながらなんとか食いつないでいるが、時には行き倒れのようなことにもなる。旅芸人一座との交流もある。まあ、ロードムービーなんで、行き当たりばったりいろいろなんである。
 主題歌の吉田拓郎の「今日までそして明日から」が映像とともに流れる。当時は実際そんなにヒットしたわけではなかったそうだが、映画としてはたいへんに印象に残る。そうして、その後も吉田の代表曲としては、歌い続けられている。単調で特に意味は良くわからないところもあるんだが、妙に教訓的でないところが、青春的でいいのかもしれない。
 また、この作品には原作小説がある。作者は素九鬼子(もとくきこ)という人だ。実はこの作品には逸話がある。昭和44年に由紀しげこという作家が亡くなった。遺品を整理していた編集者が、ノート5冊にまとめられた「旅の重さ」という作品を発見する。「素九鬼子」という署名はあるが、誰かわからない。広告などだして探しはするが、作者は見つからない。そのまま作品は発表され、話題になるにつれ、この作品をみたことがあるという人があらわれる。それで本人に筆跡などを確認し、発見されたのだという。本人は特に覆面作家を気取ってやったわけではなく、いくつもペンネームを使って作品を書いていたことがあって、自分のことだと気づかなかったらしい。その後発表した作品は立て続けに三作とも直木賞候補となるなど話題の人であったが、ほんの5年ほどで活動を休止して、文壇からは消えてしまう(その後2015年にまた復活したらしい)。この人そのものを映画にした方が、面白いかもしれない。
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