AWA@TELL まいにち

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日本語教育推進基本法(仮称)の要綱が明らかに

2018年05月28日 | 日本語教育
「日本語教育推進基本法」の要綱が明らかになった、というニュース。

国内で生かうする外国人への日本語教育を「喫緊の課題」であるとして、国と地方自治体に、施策を策定し実施する責務があると初めて明記した、とのこと。

日本語教育に関わる人間として、諸手を挙げて歓迎したいところだけど、

若干、距離を置いて眺めています。

それは、戦前、日本が「国策」として日本語教育を推し進めてきたことを知っているから。

だから、諸手を挙げての賛成ができないのです

過去、どんな問題が生じていたのか、何が行われていたのか、それを学び、現在の問題を見て、将来を考えた方策を立てるのであれば、いくらでも協力したいと考えているんですが。

でも、過去の日本語教育が行ったことを、この基本法に携わった方達はどの程度把握されているだろうか。

歓迎一辺倒になれない、ちょっと冷めた目で今後の議論を見ていきたいと考えています。


国と地方自治体に責務がある、って、

昨日、何気なく見ていた某自治体のホームページ、交流提携している海外のある都市の大学に、職員を日本語教員として派遣していると、堂々と書いてあったんだけど、この職員の方が日本語教育を学んだ方であれば、私がいうのも変なことになるんだけど、単に「日本人だから」ということで派遣されているのであれば、上に書かれた「責務」って、なかなかしんどいことになる。

日本人だから日本語が教えられる、と誤解している人はまだまだ多く、

日本語は世界一難しい言語だと誤解している人もかなり多く、

そういった誤解をなくし、日本語教師の身分や収入を守るために日本語教師の資格の国家資格化はするべきと思いつつ、

国が関わるということが、その資格を持とうとしている人や持っている人をコントロールする力を国に与えてしまうような気がして、やっぱり距離を置いて見ちゃうんだよなー。



戦前、師範教育の中で、内地の師範学校ですが、外地で働く教員養成を文科省が進めたときも、手を挙げた師範学校は限られていて、そこで教えられた内容なども見ていましたが、

結局、年金を倍にするとか、給料の割り増しをするとかしないと、海外には出ていかず、給料の割り増しをしたら貯金しまくって現地の土地を買って地主化する、とか、まあ、ロクでもないことをしているわけだ。
内地にいられなくなるようなことをして、外地で一旗、という人たちも多かったようで。

話は逸れましたが、国や自治体の責務となった時、国や自治体はどうするのか、また対応できるのか、とてもとても心配です。

少なくとも、愛教大は、成人向けの日本語教員の養成は必要ない、と判断されて小学校の教員養成に移ったわけですから、成人の日本語教育に関わる人材の養成に、私は関わることがなさそうです。


こっちが先だったら、愛教大の日本語教育も、成人向けのカリキュラムが維持できていたでしょうけどね。


なんとも、ちぐはぐな感じ。中部地区って、日本語教員の数が絶対的に足りなくて、大変なんですけどね。

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