AWA@TELL まいにち

南山大学で、日本語教育に携わる人材の養成を行っています。ホームページも是非ご覧ください。

「命令形」をめぐるちょっと切ない話

2009年12月14日 | 日本語教育
「命令形」というのがありますよね。

「食べます」だと「食べろ」、「行きます」なら「行け」。

この命令形を学習者に教えるとき、活用自体は、あっという間に教えられるんですよ。

で、どんなときに使う?と学生さんに尋ねると、多くの学生さんは「上の人からしたの人に」と答えてくれます。

じゃ、「上の人」って具体的に誰?と尋ねると、とたんに困るんですよね。

「会社の社長」が「部下」に.........言わないよね。
「学校の先生」が「学生」に.........言わないよね。
「おまわりさん」が「犯人」に........どうだろう。逃げてたら言うかな。

てな具体的な人間関係が思い浮かばないことが多くあります。教授マニュアルなんか見ても、口頭で使うのは男性に限られる、支持、叱責、命令をするときに使われる、男性の友人同士、緊急時の指示、スポーツなどの号令、応援、交通標識などがあげられています。

こういう場面のうち、どれだけがぱっと思い浮かぶかが、実際の教師の腕だと思うのですが、安直に考えている学生さんが多いようです。

しかも、上のような場合で学習者が自ら使う場面というのは限られていますよね。
そういった、学習者の状況も配慮しておかなければならないと思うのですよ。






なのですが、



先日、日本語学校に通っているという就学生に会っておしゃべりをしていたときのこと、「命令形」はいつ使うのか、という話になったのです。

彼女いわく、

「バイト先の店長が私に」

日本の学生からはこの答えは出てきませんでした。

同じようにバイトをしていると思うのですが。

店長さんは外国人と日本人とで言葉を変えているんでしょうか。

変えているとしたら、店長さんに言いたいことが二つ。

そのいち。
「命令形」は初級後半の学習項目です。通じないことのほうが多いです。「~てください」が一番よく通じると思います。

そのに。
どうして日本人スタッフと外国人スタッフとで指示する言葉遣いが違うのでしょうか。多分、一緒に働いている人たちみんな、気持ち悪いと思います。



と、こんな話をしていて、少し切なくなりました。

言葉遣い、誰に対しても代わらず丁寧なのがいいと思うのですが。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« U.Guru ~ United Go... | トップ | 空を見よう! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本語教育」カテゴリの最新記事