AWA@TELL まいにち

南山大学で、日本語教育に携わる人材の養成を行っています。ホームページも是非ご覧ください。

「わかりましたか」ほど無駄な質問はない、と改めて思った。

2016年06月25日 | 日本語教育
日本語の初級のクラス。

最初に、簡単な日本語でウォーミングアップをしつつ、学習者さんの日常生活から、授業のネタやら、生活の愚痴やら、危険なことにかかわっていないか、などを探るのですが、


先日のこと。

「朝ごはん、食べましたか?」

   「はい、食べました」

「何を食べましたか?」

   「パンと、卵を食べました」


という、ありきたりのやり取りをしていたのですが、学習者さんがみんな「パンと卵」と答えるので、面白くなくて、

よし、今日は卵の料理を少し語彙で加えてやろう、と心に決めて、

「卵は、どんな料理ですか? (イラストと動作で)フライド?  (イラストと動作で)ボイル?」

    「フライド!!」

「そうですか、フライドですか。それ、目玉焼きといいます」

    「目玉焼き」

「はい、そうです。繰り返して言いましょう。目玉焼き!」

    「目玉焼き!」

「わかりましたか?」

    「はい、目玉焼き!」


 という、ほほえましい授業風景。


 翌週のこと、

「朝ごはんを食べましたか」

   「はい、食べました」

「何を食べましたか?」

   「パンと目玉焼きを食べました」


 内心、教えたことが使えるようになっていて自己満足していたのです。



さらに翌週。

 「朝ごはんを食べましたか」

     「はい、たべました」

 「何を食べましたか?」

     「パンとポテトを食べました」

 「ポテトですか? 料理はなんですか?」

 と尋ねたら、予想を超えた返事が。


目玉焼き!


 ・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・

   ああ、「フライド」の日本語が「目玉焼き」だと思ったのね。

 フライドポテトか。なるほど。


 と、理解が追い付くまでの時間の長かったこと。

 「わかりましたか?」 「はい」 のやりとりほど、意味がないものはない、と改めて実感。


 誤解してたって、納得したら「わかりました」っていうもんね。



 今年のクラスは、とても楽しいです。こんなことばっかりだけどね。
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