先週末の日帰り出張の時に読みました。このくらいの量だと、登場を待っている時間と、飛行機に乗っている時間、だいたい3時間くらいで読めますね。もちろん、斜め読みに近いですが。
戦争中を知っている人が年々少なくなってくるのは仕方がありません。こうして書かれた記録を読んで当時を知るしか手がかりがなくなってきます。やっかいなのは、情報の共有ができていないこと。いいかえれば、当時を生きた人であれば、何の説明もいらない用語や習慣について、今の僕たちは、調べなければわからないと言うことが多いんですよ。で、手っ取り早く、当時の辞典や事典を当たろうとか思うんですが、古い辞書なんて役に立たないということか、結構廃棄されるんですよね。
今回、東京でアジア教育史学会に参加したときも、当時のことをリアルタイムでご存じの先生からいろいろとご指摘をいただきました。気がつきもしなかった点について質問を受け、とてもありがたく思っています。
私の祖父は私が生まれる前、私の祖母は私が中学校の時に他界しました。父も母も還暦を迎えてまだ間がありません。戦争中の話を聞ける人が実は近くにいないのです。ぶっちゃけた話というのが聞ける人というのが。祖母は若い頃、朝鮮半島ソウルの近くにある仁川(インチョン)で暮らしていたと聞きます。でも、祖母の口からそれを直接聞いたこともなく、まして、インチョンのどこにいて、どんな暮らしをしていたのかを今調べるすべを持っていません。祖母の叔父が総督府の役人だったというのですが、なかなかわかりません。
まだ100年もたっていない話なんですよ。
それにしても、僕の子どもの頃までも継続して行われていたことがちらほらあって、そういう臭いのする行事だとは思っていましたが、改めてそうだと知らされると複雑な思いがします。
昨今、学校教育の制度をいじることがはやっているようですが、いじったところで、その子どもたちが社会に出るには、少なくとも義務教育の9年はかかるわけです。最先端のことを扱うのもいいですが、時代が変わっても変わらない真理を教えることに力を注いだ方がいいような気がします。どんな技術もうわべだけ理解してもどうしようもないと思うのですが。
さて、この本の構成は次の通りです。
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まえがき
1 子どもにとっての紀元二六〇〇年とは
2 子どもたちは歌でも「八紘一宇」を学ばされていた
3 国民学校が発足したが、気がついたら物が消えていた
4 国民学校になってから、歩き方にまでやかましい注文がつけられた
5 朝礼も儀式も、みんな天皇をおそれかしこむ躾であった
6 一二月八日、またしても新しい戦争が始められた
7 最後のキャラメルとボールが配給された
8 「撃ちてし止まむ」と錬成はエスカレートした
9 都市の子どもたちは勇んで疎開した
10 教科書に墨を塗り、鬼畜アメリカからチョコレートをもらう
11 戦後の歴史をはじき飛ばして戦前に直結できるのか
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1986年11月20日第1冊
1990年6月5日第9冊
山中 恒 著
岩波書店 岩波新書黄色356
ISBN 4-00-420356-2
戦争中を知っている人が年々少なくなってくるのは仕方がありません。こうして書かれた記録を読んで当時を知るしか手がかりがなくなってきます。やっかいなのは、情報の共有ができていないこと。いいかえれば、当時を生きた人であれば、何の説明もいらない用語や習慣について、今の僕たちは、調べなければわからないと言うことが多いんですよ。で、手っ取り早く、当時の辞典や事典を当たろうとか思うんですが、古い辞書なんて役に立たないということか、結構廃棄されるんですよね。
今回、東京でアジア教育史学会に参加したときも、当時のことをリアルタイムでご存じの先生からいろいろとご指摘をいただきました。気がつきもしなかった点について質問を受け、とてもありがたく思っています。
私の祖父は私が生まれる前、私の祖母は私が中学校の時に他界しました。父も母も還暦を迎えてまだ間がありません。戦争中の話を聞ける人が実は近くにいないのです。ぶっちゃけた話というのが聞ける人というのが。祖母は若い頃、朝鮮半島ソウルの近くにある仁川(インチョン)で暮らしていたと聞きます。でも、祖母の口からそれを直接聞いたこともなく、まして、インチョンのどこにいて、どんな暮らしをしていたのかを今調べるすべを持っていません。祖母の叔父が総督府の役人だったというのですが、なかなかわかりません。
まだ100年もたっていない話なんですよ。
それにしても、僕の子どもの頃までも継続して行われていたことがちらほらあって、そういう臭いのする行事だとは思っていましたが、改めてそうだと知らされると複雑な思いがします。
昨今、学校教育の制度をいじることがはやっているようですが、いじったところで、その子どもたちが社会に出るには、少なくとも義務教育の9年はかかるわけです。最先端のことを扱うのもいいですが、時代が変わっても変わらない真理を教えることに力を注いだ方がいいような気がします。どんな技術もうわべだけ理解してもどうしようもないと思うのですが。
さて、この本の構成は次の通りです。
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まえがき
1 子どもにとっての紀元二六〇〇年とは
2 子どもたちは歌でも「八紘一宇」を学ばされていた
3 国民学校が発足したが、気がついたら物が消えていた
4 国民学校になってから、歩き方にまでやかましい注文がつけられた
5 朝礼も儀式も、みんな天皇をおそれかしこむ躾であった
6 一二月八日、またしても新しい戦争が始められた
7 最後のキャラメルとボールが配給された
8 「撃ちてし止まむ」と錬成はエスカレートした
9 都市の子どもたちは勇んで疎開した
10 教科書に墨を塗り、鬼畜アメリカからチョコレートをもらう
11 戦後の歴史をはじき飛ばして戦前に直結できるのか
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1986年11月20日第1冊
1990年6月5日第9冊
山中 恒 著
岩波書店 岩波新書黄色356
ISBN 4-00-420356-2