金沢に暮らし始めて40数年.。この街で「見たものは、見た」。最近は「軒端に冬の山晴れて見ゆ」って心境に。
金沢暮らしの日々 ~努力は時々 報われる~
年末に読んだ本 @『さみしさは彼方』 奥田直美・順平
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京都で子どもを育てながら古本屋「カライモブックス」を営むご夫婦の本です。石牟礼道子の文学に傾倒し、水俣に古本屋ごと引っ越したそうです。しかも石牟礼道子の旧宅に(驚)。
文末の写真にあるようにお若いご夫婦ですが、この本には、ご自身の「日常の哲学」が綴られています。はじめコタツで寝っ転って読み始めたのですが、直ぐに起き上がり背筋を伸ばして読み直しました。初っ端から心の奥底にズドーンと剛速球を投げこんできます。
「数値じゃなくて思いを伝えたい。数値をないがしろにしてはいけない。大切だ。だけど、魚や川で暮らす動物の水銀値を説明される前に、数値ではなく数値の奥にある思いに人に希望は寄り添う」
「3.11後、カライモブックスにいろんな人がやってきた、閑古鳥が鳴いてた店なのに大繁盛になった。原発、原爆、水俣、沖縄、在日コリアンなどの本が売れに売れた。だけどそのブームは3ケ月で終わった。もう逃げることをやめたのか。本に逃げることを。それが嫌になり、自分は水俣から逃げた。中南米に逃げた。本の中で、心の中で」
「そんな時、古本屋の常連のおばさんに「私らは年寄りやから水俣に行きたいけど、いかれない。でもみんな、原発事故が起きて、水俣のことが知りたいと思っているんです。学者や活動家の話ではなく、あなたのような普通の人の話が聞きたいんです。と、勉強会に誘ってくださった」
いや~深いよね。このご夫妻の感性がすばらしいよね。本に逃げ込むことはできるけど、同時に、本を踏切り台にして羽ばたくこともできる。そういう「魂を揺さぶる本」が、50年後も100年後も読み継がれてゆくんだな。きっと。
著者の直美・順平ご夫妻
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