金沢に暮らし始めて40数年.。この街で「見たものは、見た」。最近は「軒端に冬の山晴れて見ゆ」って心境に。
金沢暮らしの日々 ~努力は時々 報われる~
「骨はききたかった」 竹内浩三陸軍兵長(23歳)の叫び
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岡部伊都子の随筆集『賀茂川のほとりで』を読んでいて、『松阪市戦没兵士の手紙集』について書かれていた。「おお~ この本 たしかあったぞ」と思い出し、部屋の本棚の隅から「発掘」しました。
↓これです
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これ 松阪市が編集した、同市出身者の戦没者の手紙集で、『ふるさとの風や』とのタイトルです。ただし僕が持っているには、復刻版す。
冒頭、竹内浩三さん(1945年4月2日 比島で戦死)の「骨のうたう」という詩が掲載されています。本に載ってるのは、友人が手を入れたもののようで、ネット上では オリジナルの詩を見ることができます。
骨のうたう
戦死やあはれ
兵隊の死ぬるやあはれ
とほい他国で ひょんと死ぬるや
だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
ふるさとの風や
こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や
苔いぢらしや あはれや兵隊の死ぬるや
こらへきれないさびしさや
なかず 咆えず ひたすら 銃を持つ
白い箱にて 故国をながめる
音もなく なにもない 骨
帰っては きましたけれど
故国の人のよそよそしさや
自分の事務や女のみだしなみが大切で
骨を愛する人もなし
骨は骨として 勲章をもらひ
高く崇められ ほまれは高し
なれど 骨は骨 骨はききたかった
絶大な愛情のひびきをききたかった
それはなかった
がらがらどんどん事務と常識が流れていた
骨は骨として崇められた
骨は チンチン音を立てて粉になった
ああ 戦死やあはれ
故国の風は 骨を吹きとばした
故国は発展にいそがしかった
女は 化粧にいそがしかった
なんにもないところで
骨は なんにもなしになった
・・・・・・・・・・
この詩を読むと、戦争体験者が戦後に書いた詩のように錯覚するかもしれませんが
戦後に書かれたものではありません。書いた本人が、1945年に戦死してるんです。
まるで、自分が戦死した後の 故国日本の行く末を預言しているような詩ですね。
身震いがしてきます。
戦死した男の骨は 聞きたかったんだね。
その願いに答え得ているだろうか。僕らは。
この故国は その名に値しているのだろうか
今日5月3日に 改めて思い起こしたいです。
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