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酒はしづかに飲むべかりけり @東京・八重洲 『ふくべ』


 東京に日帰り出張です。仕事先は東京駅のすぐ側。となれば「ふくべ」さんに行かないわけにはいかんよね。ということで、初入店しました。大丸デパートから徒歩2分です。これなら新幹線の時間の直前まで飲めますね(笑)

 店の入り口には この手の店の王道を行く「縄のれん」です。店内は黒光りするL字型のカウンターが右手に、その奥が厨房。カウンターの壁の右側と2Fにもテーブル席があるようです。

 店に入った瞬間、「ああ こういう店がまだあったんだ」という感慨に浸れます。昭和20年~30年代って こういう店があちこちにあったんだろうね。カウンターの後ろには全国の地酒の一升瓶が並んでます。おっ「五橋」があるじゃないですか。まずはこれをお願いしましょうか。

 大将(ですよね!?)が、一升瓶を棚から下ろし、まるで時代劇に出てきそうな小さな渋い徳利に、大きな漏斗をさしこんで、左手の逆手で持ちます。漏斗の中に一合枡を置き、もう右手で一升瓶から枡に酒を注ぎます。一合で満たした枡を漏斗の中で逆さまにします。徳利に酒が入り終えたら漏斗を外し、徳利を素早く燗つけ器に入れます。

 この一連の流れるような所作が、見事というほかないです。まさに日本の様式美です。まるで歌舞伎俳優をみているよう。これだけでも来た甲斐があるというものです。

 突き出しは昆布の佃煮です。渋いねえ~。店内を眺めながら、燗がつくのをまちます。おっ?奥には「菊正宗」の樽がありますねえ。次はこれにしよ。ほどなくでてきた「五橋」は、やや甘口ながらほんのりとした果実の様な香りがします。いい酒です。というか、きっと燗のつけ方が上手だからですね。

 酒肴は、刺身三種盛(950円)もあります(なぜかこの品だけ赤字で書いてます)が、今日はぬた(500円)にしましょうか。まぐろぶつとねぎとワカメと、短冊切リの細いのは大根??でしょうか。いい塩梅の味付けです。酒が進むねええ、あっ、もうお銚子なりました。じゃ今度は 樽酒お願いします。

 途中で、気が付きましたが、この店、BGMもテレビもありません。聞こえるのは客の話声と注文を通す大将の声だけです。でもそれがなんともいえない、古い酒場の雰囲気を醸し出しています。

 この日は、日本酒1合×2、ぬた×1で、〆て2430円でした。

 レトロスベクティブで推論すると 酒1合700円 お通し530円ってとこかな。これ、普通の店だったら、「おいおい ちと高いんじゃないの」となりますが、この店の雰囲気とこの料理の味からすると、全然OKです。(というか、これが普通ですよね。居酒屋チェーン店の低価格のほうが、むしろ異常です)

 場所柄か、この価格設定のせいか、はたまた酒飲み好みの渋い酒肴しかないためか?、客はスーツ姿の中年おじさんのみです。客の平均年齢63歳って感じ。でも、騒がしい団体客やカウンターでスマホをいじりまくる若者は皆無です。

 はやり「酒はしづかに飲むべかりけり」ですね。 いい店でした。またゆきます。
 




 
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