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やはりこの人 才能ある @ 田中慎弥 『ひよこ太陽』



で、早速読みましたよ。この本。田中氏の長編は、難しくて読み辛いですが、短編は初期の作品も、この新刊も、読みやすいです。
  
 がしかし、当の田中氏自身が、「読みやすけりゃいのか」と思い続けているんですね。純文学は、普通は読んで感動したり、人生について深く考えたりするもんでしょうが、田中氏は「読んで不安になる文学だっていいじゃないか」と考えているのでしょう。たしかに、田中氏の作品はそういう作品ですね。

 文芸誌には、「読みやすい」作品が毎号掲載されているとけど、田中氏に言わせると、そういう文芸誌って、「どのページも何も書いていない白紙のページみたいなもの」ということになる。

 まあ出版社にとっては 本って「商品」だから、売れる本をださねばならんのです、この『ひよこ太陽』だって、売れるように編集者から幾多のご指導があったに違いないです。

 しかし、だからといって、この作品の本質がいささかも損なわれるものではないでしょう。特に最終章の「丸の内北口改札」なんて、歴史上の文豪にも肩を並べる圧倒的な筆致です。

 読んだ後、「それで?」と、五寸釘でひっかき傷を読者に残すような そんな作品も あったっていいじゃないか。と思います。



 泉鏡花文学賞授賞式での田中慎弥、なかなかの「好中年」になりましたね。毒気が消えてほしくないけどね。








 
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