秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

野火

2009年04月25日 | Weblog
木立が喘ぎながら芽吹きはじめて年々見慣れた風景ではあるがわずか一年ほど
閑却にしたばかりに仏頂面をされ、生きていたのかと云わんばかりにわたしを
見ていたらしく、その気配に自分は生きているのかと思わず空を掴んだらしい

わずかな木立の空間に灰色に燃える薪ストーブを囲んでいる人々を見つけて
駆け寄り、この家の主人と思しき人にわたしも暖を取らせてくださいよと声を
かけると、ギョロリと目をむいでお前は死んでいるではないかと云われて
ギョッとしたが、いや!わたしは生きています、あなたこそ古に死んでいます
と云って図々しく野火に在りついたようでもあるらしい。

他愛も無い話の内容から、この古人は息子、娘の将来を考えて土地を捨てて
街の生活を選んだような感じだが、それが幸せだったかどうか未だに判らない
らしく、挙句に故郷まで舞い戻って考えたところで、埒もあかず切羽詰った顔を
何処へ置いたら様になるやら、辛抱強く経っているようであるらしい。
コメント
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