秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

唐津再会 Ⅱ     SA-NE

2009年11月08日 | Weblog
従姉妹の手料理で、
三人で、昼食のテーブルを囲んだ。
長女様は、相変わらずに、話下手で、どちらかといえば、上品で物静か。髪は緩やかなウェーブのロングヘアー。長身にて、スタイル抜群。花に例えれば、白百合風。
対象的に、妹様は、 ショートヘアーの、超社交的。気さくで、人なつっこい話し上手。大きな瞳に、小さなお鼻。
好奇心旺盛で、表情ひとつとっても、飽きさせない。花に例えれば、ポピーの黄色。
37年前、私の感じた第一印象と、まったく変わらない、二人の従姉妹がそこにいた。

「今日のお兄ちゃん、よく喋ったね?あんなに喋るんだね」
妹が、姉の顔を覗き込んだ。
「えっ、普段無口なの?」
私が、問いかけた。
「結婚して、無口がひどくなったのよ~、昔からお喋りじゃなかったけどね」
「確かに、うん、お喋りではなかった!」
私と、妹が話していると、姉さんがアルバムを二冊さげて、テーブルに置き、私の正面に広げた。
白黒写真から、始まった、褪せかけた色が、昭和初期を、感じとれた。
アルバムは、見せて戴きたかった。私がそれをくちにする前に、彼女が差し出した行為に、不思議な感じがした。
妹が、話し出した。
「夕べ、数年ぶりに三人で飲みながら、〇〇〇さんの話になって、今までお兄ちゃんが、話さなかった、昔の話いっぱい聞いて、〇〇〇さんが今日、来る事なかったら、あんなに昔の話、お兄ちゃんしなかったと思う」
姉は、妹の隣で、ひたすら頷いていた。
「このおばあさんは、誰?」
私が、指指すと、
「あー、そのおばあちゃんが、〇〇〇さんのお父さんの、義理の母親!」
着物姿の、こけた頬。父はこの人と相性が、合わず家を出たのか…初めて見た、義理のお婆さんの写真。
一枚、一枚、確かめるようにアルバムを開く、私。
妹が、突然、私の左手を握ってきた。
私は、びっくりして、彼女を見ると、彼女は奇声をあげた。
「シゲじいの手~~、シゲじいの手と一緒!」
「シゲじい?って、お祖父ちゃんの事?」
「ウンッ!シゲじい!」
妹は、肩を竦めながら、思いきり、頷いた。
私が、お祖父ちゃんと呼んだ、祖父は、彼女達には、シゲじいなのだ。

「お祖父ちゃん、優しかったでしょう!」
アルバムを開く手を止めて、私が聞いた。
「なんで~、厳しかったよ~、いっつも叱られて、名前で呼ばれるなんて、滅多になかったよ!」

姉妹の話しの内容で、祖父の違った顔が、垣間見えた。
祖父は、一家の中で、絶対的権限を持ち、誰一人として、祖父には逆らえなかった事。
亡くなった、彼女達の父も、祖父には絶対に服従していた事。
『質実剛健』を地で行く祖父の姿。
兼業農家だった、彼女達の父母、そして子供達も、祖父の権限の下で、日が暮れるまで、みかん畑を、手伝わされた事。
「贅沢は敵、金は貯める物、満腹になればそれで良し!家の畑の作物で、腹を満たせ!」
彼女達は、クリスマスケーキを食べられたのは、祖父が亡くなってからだと言った。
「シゲじいが、死んだ時、やっと人並みのご飯が食べれる!って、ワクワクしたのよ~」
屈託なく笑う妹の表情に、私は感じた。
そんな祖父でも、それでも、大好きだったのではないだろうか…。
妹が、続けて話し始めた。
「初めてお父さんと、家にきた、おくんちの日、覚えてる?」
「うん、あんまり歓迎されてなかったのは、すぐにわかった!」
「〇〇〇さんが、お父さんと家に着く前に、シゲじい、私達に言ったのよ!」
「なんて?」
「おまえ達の従姉妹が、来るから、仲良くしろ!」って。
「何?従姉妹って誰?それ、何?何者?って私達、訳が判らなかった」
私は、微笑みながら聞いていた。
「裏口の土間から、お父さんと入って来て、シゲじい、入るなり〇〇〇さんの頭を、撫でたのよ!何回も撫でたのよ~、信じられなかったのよ~、私達が頭ナデナデされた事なんて、絶対になかったから!」
顔をクシャクシャにしながら、妹が話した。

私は、その場面の記憶が、全くない。

私が、玄関だと思っていた格子戸は、裏口だったのだ。
裏口が、道路に面していた為、誰もが格子戸から入って来てたと、従姉妹が笑った。

長女が、立ち上がった。
「お母さんのところに、行こう!」
私達は、玄関を出た。
私は家の写真を、娘に借りたデジカメで、写しながら、聞いた。
「11年前、新築だった家が、迷わないでわかったのが、不思議だったんだけど…昔の家とおんなじ感じしない?」
「そうでしょう!父が、大工さんに頼んで、昔の家と同じように、似せて建てて貰ったのよ!古い外観で、可笑しいでしょう!」

ひとつ、ひとつ、
心の中で、絡まっていた糸が、少しずつ、解れていく。
私達は、叔母さんの施設に向けて、丘の道へと車を走らせた。
窓の右方向には、地平線が輝いていた。
コメント
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