ぶらりと訊ねて山に入ればここかしこに初冬の匂いがたちこめて ああー、もう
冬に入ったんだという想いにかられる。
風景は一枚一枚と丁寧に葉を敷き詰めて木々が眠るときを待ち焦がれ、風の
ひんやりと、ときには冷たく突き放しては木々の間に漂いて過ぎてゆく。
茅葺き家がすべてであった頃には茅場であったのであろうとカヤ、刈る人たちを
待ち焦がれたカヤも今の世の刈る人もなく、人恋しい仕草にあわれにと想う。
秋すでに往きし風景に深く沁みてあてもない古道を、思索しながら歩くことが
すきな私は、しずかに木々が語りかけ、風が吼えて木の葉を巻き上げ、小鳥が
小さな声で囁き、小雪が舞いながら話しかけるこの季節がいいように思う。
凛として 冬めく木々の 黙示たる


冬に入ったんだという想いにかられる。
風景は一枚一枚と丁寧に葉を敷き詰めて木々が眠るときを待ち焦がれ、風の
ひんやりと、ときには冷たく突き放しては木々の間に漂いて過ぎてゆく。
茅葺き家がすべてであった頃には茅場であったのであろうとカヤ、刈る人たちを
待ち焦がれたカヤも今の世の刈る人もなく、人恋しい仕草にあわれにと想う。
秋すでに往きし風景に深く沁みてあてもない古道を、思索しながら歩くことが
すきな私は、しずかに木々が語りかけ、風が吼えて木の葉を巻き上げ、小鳥が
小さな声で囁き、小雪が舞いながら話しかけるこの季節がいいように思う。
凛として 冬めく木々の 黙示たる

