山の辺の花に寄り添う大夏木
緑蔭にひとり沈めて汗の引き
梅雨に入り蒸し暑い日が続いて、気だるさを覚え、忘却の彼方に流されて
見知らぬ風景を嗅げば少しは鳥肌が立つであろう。
林道の端から山中深く入りこめば山の辺近くに、透明な草原がこじんまりと
浮かんで、あれはなんだたか、覚えのある花の風景によろよろと断りもなく
すっかり青みを増した樹を見上げて何も告げずに過ぎ去ってゆく影。
断定的に、明示的に翳を殺して外形を際立たせる花の運命は不幸せであろうか
孤独に絶えて、狂気を溜めて往くであろう。
緑が溢れんばかりの燦々たるありさまのなか、背後の尾根を掠めて照り盛る光が
流れて花の間を茫漠とと抜け、花がはらはらと散り、記憶の彼方に駆け去る。
刻々と死相を深めて、はなの気に触れて心の底がしずかに狂いおって、野のなかに
深く埋もれた狂騒を遠くに聞いて、溢れんばかりの花びらを暗い尽くすか。
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緑蔭にひとり沈めて汗の引き
梅雨に入り蒸し暑い日が続いて、気だるさを覚え、忘却の彼方に流されて
見知らぬ風景を嗅げば少しは鳥肌が立つであろう。
林道の端から山中深く入りこめば山の辺近くに、透明な草原がこじんまりと
浮かんで、あれはなんだたか、覚えのある花の風景によろよろと断りもなく
すっかり青みを増した樹を見上げて何も告げずに過ぎ去ってゆく影。
断定的に、明示的に翳を殺して外形を際立たせる花の運命は不幸せであろうか
孤独に絶えて、狂気を溜めて往くであろう。
緑が溢れんばかりの燦々たるありさまのなか、背後の尾根を掠めて照り盛る光が
流れて花の間を茫漠とと抜け、花がはらはらと散り、記憶の彼方に駆け去る。
刻々と死相を深めて、はなの気に触れて心の底がしずかに狂いおって、野のなかに
深く埋もれた狂騒を遠くに聞いて、溢れんばかりの花びらを暗い尽くすか。
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