白壁の塀が途切れると、その奥には、新しい本堂とそれに接続する建物も出来上がっていた。
新しい銅板葺きの屋根が、冬の陽に輝いていた。
周囲にはまだ柵があり、本堂には近づけない。
ふと見ると、右手に白い花が咲いていた。
十月桜のようで、ここで見るのは初めてだった。
桜は上の方まで良く咲いていた。
山門の外から本堂を見る。
急な坂道を下り始めると、下から1匹の猫が上ってきた。
猫は、坂の途中で座り込んだ。
坂を下りてから見上げると、その猫は向を変えて坂を上り始めていた。
山門の前は、やはり静かなままだった。
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