仙波跨道橋のスロープから、新河岸川を覗き込んだ。
梅雨の水を集めて、水が勢い良く堰を流れ落ち、白い波しぶきを立てていた。
今日も特に変化はないなと思ったが、なにか少し変な感じがした。
なにかなとと思ったら、堰の手前側に、大きな魚が横っ腹を見せている。
フナと思われる魚は黒い金網の上に乗ったまま、動く気配はない。
その下を水が勢いよく流れ下っている。
ネットは川幅全体にあり、堰の崩れを防いでいるらしい。
魚はどうしてこんな所に引っかかっているのだろうか?
下流からジャンプしたら、水は無く、網だけがあったのか。
それとも上流から流れに乗ってきたら、網に掬われてしまったか。
網の端までは、魚の身長くらいしかなく、何度か跳ねれば水に戻れそうな気がする。
ここに乗ったとき生きていれば、当然跳ねまわったはずだが、脱出するに至らなかったということだろうか?
スロープを少し上り、川の真上から堰を見ると、魚はネットからずり落ちそうに見える。
魚の目は、恨めしそうにこっちを見ている気がした。