ホウジョウキ  ++ 小さな引籠り部屋から ~ ゆく川の流れは絶えないね

考えつつ振り返り、走りながらうずくまる日々。刻々と変わる自分と今の時代と大好きなこの国

関係者でもない医者は、黙ってくれ。

2013-08-29 15:34:21 | 気になる出来事記録メモ
現代ネットより
 
<精神科医の和田秀樹氏が診断>
「彼女はとても長い間、精神の病に苦しめられていました」――。宇多田ヒカル(30)がブログに書いたコメントで、自殺した藤圭子(享年62)が心の病にかかっていたことが明らかになった。
 ヒカルは「(藤が)現実と妄想の区別が曖昧になった」と記し、夫の宇多田照實氏(65)は「ヒカルと僕もいつの間にか彼女にとって攻撃の対象となっていきました」「心当たりのない理由で罵声を浴びせられる」時もあったと明かしている。
 気になるのはその病名だ。精神科医の和田秀樹氏は藤の病気を「統合失調感情障害」ではないかと分析する。統合失調症と躁鬱病の合併症だ。和田氏が解説する。
「ヒカルさんが言う妄想症状は“私はバカにされている”“誰かが私を殺そうとしている”などと被害妄想を口にする統合失調症を物語っています。この病気の人は、自分は正しいと信じているため他人を攻撃するのです。その一方で、藤さんは『ゴメン』と謝ることもあったとか。これは躁鬱病の特徴です。藤さんはギャンブルに凝っていたそうですが、おそらく刺激が欲しくてギャンブルを始め、依存症になったのでしょう。躁鬱病の人は躁状態のときに“自分は何をしても成功する”と思い込み、大きな賭けをして破産したりします」
 この病気は脳内伝達物質のドーパミンやセロトニンのバランスが悪い人が強いストレスを受けて発症することが多いということ以外、はっきりした原因は分かっていない。
 日本での治療法は投薬が中心だ。
「投薬でセロトニンなどの量を増やせば症状が改善します。藤さんは治療を拒絶したそうですが、それはいけません。最近の研究では、病気を発症したのに放っておくと脳がダメージを受けて神経細胞が正常に機能しなくなり、ますます気分が落ち込むことが分かっています」(和田氏)
 照實氏が8月14日に電話で話したとき、藤は明るい口調で元気そうだったという。しかし、2週間後、突然、自殺をはかった。和田氏によると、鬱病は元気になりかけているときが危険という。躁鬱病の人がいたら、周囲が気づかったほうがいい。
 
++++
 
昨日も、精神疾患患者の立場に付いて書きました。
「有名人 精神科医の和田先生」
なんだ?「診断」って? 度肝を抜かれましたよ。
あなたはこの方を診察したDr.なのですか?
精神疾患って、なんだかわからないうわさ話程度の情報で、診断や投薬の正誤がわかるものなんですか?
 
そして気楽に
>藤の病気を「統合失調感情障害」ではないかと分析する。統合失調症と躁鬱病の合併症だ。和田氏が解説する。
なようなことをするのは、Dr.として正しいのでしょうか。
ご自分で診察したわけでも問診したわけでも正確なデータをお持ちな訳でもない。
 
こういう情報がネット上やマスコミに流れると、「統合失調感情障害」という病気は、この自殺した方のような病気、という共通認識が世の中に出来るのです。この方が有名人で、いろいろマスコミに取ってネタに事欠かない方なら、尚更のことです。
だって、「統合失調感情障害」って病名があった方がインパクトがあり、そういう病気と無縁な世界に生きていると思っているひとに取っては、非常に面白く興味深いでしょうから。
 
Wikipediaで統合失調感情障害を見てみると
http://ja.wikipedia.org/wiki/統合失調感情障害
さすがに、私ですら書いてある意味がよくわからない。というか、まだこの辺のところって不透明ではないのでしょうか?諸学説あって、解明中。学説や会派によって解釈が違うというような。
 
そういうことも含めて精神疾患に「今現在」縁遠い方々に取っては、面白い話題(ネタ)ではあるけれど、理解する気持ちも起きない程度のことでしょう。
だってややこしいし、厄介なことですし、経験も興味も無いことは基本的に理解出来ないものです。
 
単に面白いネタとして、世の中に振りまくのは止めて下さい。
当事者は、Dr.患者両方ともに、苦労しているのです。
 
 

<世の中はいつも忘れっぽいから>精神科医、診療室で患者に刺されて死亡

2013-08-28 19:30:07 | 気になる出来事記録メモ

精神科医、診療室で患者に刺されて死亡

21日午前11時15分頃、北海道三笠市宮本町の市立三笠総合病院から「外来患者が刃物を持って暴れている」と、道警三笠署に通報があった。

署員が駆けつけると、精神神経科の診察室で医師の宮下均さん(53)(同市本郷町)が胸から血を流して倒れており、間もなく死亡が確認された。同署は、宮下さんを包丁で刺したとして、同市内の患者の男(55)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。男は容疑を認めており、同署は殺人容疑に切り替え、包丁を用意した経緯や動機を調べる。

 発表によると、男は精神疾患で同病院に通院していたといい、この日も午前11時頃から宮下さんの診察を受けていた。7、8分後、異変に気づいた看護師がカーテンを開けると、宮下さんがうつぶせに倒れ、男が包丁を持っていたため、看護師ら数人の職員が男を取り押さえた。同署では男の刑事責任能力についても調べている。

(2013年8月22日01時35分  読売新聞)

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ただただ悲しい事件で、お亡くなりになった医師のご冥福を心よりお祈りします。
そして、ご本人の無念さもさることながら、病院の現場の動揺とか、他の精神科医の先生の受け止め方とか、ご家族の思いとか、患者のご家族の思いとか、考えるとしばらく眠れなくなった。

精神疾患にはいろいろなものがある。
人の性格が違うように、同じ病名の疾患でも、その人の個性と病気の質やタイプ、生育歴や環境など様々なことが入り組んで、症状が表に出る。

「精神疾患」というと、=犯罪を犯す人/迷惑をかける人/世の中で生きてはいけない人
という認識の人が驚くほど多い。
これだけ「鬱病」が取りざたされて、「心のカゼ」とか言われて(アナタもかかるかもよ?とか)いるのに
「なんだかわからないけど、厄介なことになっちゃった人」レベルの認識が、ごく普通だ。

表面に見えない疾患というのは、本当に厄介で、周囲の人が理解しようと努力してくれていても、理解はかなり困難だ。
ましてや精神疾患は、患者としても説明不能、なんと言って説明すればわからない、ようなことが症状だったりする。本人が説明困難なんだから、周囲の人は更に何がなんだかわかったものではない。

精神科医というのは、その「通訳係」なのではないかと思うことがある。

この医師の亡くなり方は、警察官の殉職のようなものだろうと思う。それだけリスキーな職業だと言うことなのだ。
そして、自分はおそらく病気のせいで犯罪に手を染めることはないと思っているが
周りがどう判断するかはわからない。いろいろな判断をいろいろな場面でされて来たし
犯罪レベルでなくても、病気のせいで周囲に迷惑をかけてることも事実であるから。

ただ、みんな同じで一括りにくくらないで欲しい。
みんな状況は違う。
そして、症状も、本人のいい分も、何もかもが違う。
人間は、個々みんな違う。そこを安易に一括りにするのが、世の中(最近得に)好きなようだ。
怖い。


【世の中は、いつも忘れっぽいから】武雄市立図書館とCCC その後

2013-08-10 06:48:19 | 気になる出来事記録メモ

日経ビジネスオンライン 2013,8,13号「CCCがITで武雄市図書館を”改造”。3ヶ月で26万人が利用」

「事の起こり」(2012.6.29 記事)からずっと気になって追いかけている
佐賀県武雄市図書館CCC業務委託」
の運営開始その後現状報告が、日計ビジネスの記事に上がっていた。

武雄市長の「強引、傲慢」とも受け取られる発言がクローズアップされて、報道されていたが、

結局利用者大幅増で「結果オーライ」の風潮になるのか・・・?

私が気になっていたのは、「図書館」の貸し出しデータが、CCCという一民間企業が一手に独占出来ることだった。「誰が何の本を借りたのか?」という図書館の貸し出しデータは、その人の思考や思想、行動パターンに直結する、とてもセンシティブなデータだと思っている。
歴史的に「図書館」には、貸し出しデータを究極の個人情報として扱い、漏らさない、という鉄則があったのだけれど、現在、多くの公共図書館が民間の「図書館運営会社」に業務を委託している実態を考えると、そんなことはもはや「建前」かもしれない。

図書館貸し出し履歴を気にする私も、某WEB書店で買い物をするのだから、いつどのような本を購入しているか、しっかりデータに組み込まれているのに、利便性を優先しているのだった。本や物品以外にも、生活上の様々なデータが、意識無意識の別なくマスデータとしてどこかへと集約されている。時には個人情報として流出したりさえしている。

「図書館」のあり方だけを守り続ける意味はない、という問題提起だったのかもしれない、と思えて来た。


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貸し出し履歴提供せず 武雄市図書館、ツタヤ委託(佐賀新聞 2012/6/12付け記事)

図書館論争終わった感じ(武雄市長物語 2012/6/12付け記事)
http://hiwa1118.exblog.jp/16040067/

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TUTAYAのTカードが「貸し出しカード」とされることで、利用者の貸し出し履歴データが、CCCという企業に

集約され利用されることを、日本図書館協会(JLA)等が危惧していた。

結局は、「貸し出し履歴は提供されない」ことで決着しているが、この論争時に

武雄市長が「貸し出しデータが守るべき個人情報とは思わない」旨の発言をしている

私の拒絶感はそこにあった。そして、Tカードを利用した場合は「貸し出し履歴」以外の情報はTUTAYAに提供される。

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図書館とはなんだ?という疑問がわいた

ユネスコ公共図書館宣言 1994年採択

図書館の自由に関する宣言 1954年採択 74年改訂 日本図書館協会採択

図書館というものの、長い歴史という観点からはとても勉強しきれないので後に回すとして

「市民が建設的に参加して民主主義を発展させるために十分な教育が受けられ、知識、思想、文化および情報に自由かつ無制限に接し得る」ための施設である、と定義されている。

日本国やユネスコの基本思想は「民主主義」でるから、当然ではあるが、20世紀の大戦でのファシズムや軍事力による人権弾圧、共産主義等の情報統制、への反動を感じる。

そもそも「知」の世界は限りなく個人的に自由である、という基本的概念がある。

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日本は「民主主義国家」であると同時に「資本主義、自由経済国家」であるので

民間企業が運営をするには、収益を「どこかで」上げなければならない。どこで「収益を上げるのか」をきちんと広報し認識し承知の上で利用するのだろうか。


一方、武雄市は多くの地方公共団体がそうであるように、自治体として余裕があるとは思えな過疎の地方都市。
そこでいかにして「図書館サービス」を充実させ経費を削減するか、という経営感覚も必須であることは理解出来る。「図書館」のような大きなハコを利用者が少ないまま維持して行くことほど、無駄なことはない。

武雄市に「代官山蔦屋」のような、施設があることで、市民の満足も大きいはずだと思う。

公共と収益のバランス。

気になるのは

図書館の「娯楽性」の面が強調されていくこと

運営の収益のシステムが知らない間に変わって行くこと

 

実際の「武雄市図書館」を見てみたい、と思った。近いうちに訪れてみたいところです。

 

 


「制度を改正するために個人を攻撃する必要はありません。」

2012-07-14 05:40:20 | 気になる出来事記録メモ
7月12日 毎日新聞の朝刊 全国版 16面 15段(一面)にこの意見広告が載りました。
広告主は #CIVILACTIONJAPAN(シビルアクションジャパン)

事の起こりは5月に、センセーショナルに報道された
「芸人河本氏の親族が、河本氏が高給を得ているにもかかわらず扶養義務を果たさず、生活保護を受給している」
事件でした。
人気芸人である河本氏は、涙の謝罪記者会見を開くに至り
大物政治家が、この顛末を煽り、
政治の場での生活保護受給資格の改正論議となりました。

私は、この河本氏一連の報道からおきた「ざわざわした動き」「様々な意見や価値観のぶつかり合い」がtwitter上で激しく飛び交うのを見ていました。

そのうち、煽った政治家やマスコミに対して『こういう下衆いやりかたはおかしい』(この広告を企画実行した匿名の「twitter上では#oiehoie氏」の言葉によると)という意見を発しよう
ネット社会の対岸にある報道機関である「大新聞社」に意見広告を載せよう
広告費を募金で募ろう
という発案がされるさまを、twitterのタイムラインで、見ていました。

その後、募金の為の口座が開設され、募金が開始され、次々と募金が入金がされ、批判や新手の募金詐欺だという意見が多く発せられ、開設されたHPはロクに運用されず、広告案をデザインする(ボランティアの?)デザイナーが手を上げ、広告代理店との交渉が始まり、新聞社の選定と交渉が行われ…ているらしい様子を日々twitteri上で、かなりつぶさに見ました。

「ているらしい様子」というのは、すべてtwitterでの当事者のツウィートを読んで知る、というだけで、本当に実際何が行われているかを、確かめる術は何もないからです。

ただ、すべての証明が、「意見広告が大新聞社の15段に載る」というの最後の結論一点のみによってされる、という図式でした。

そして、7月12日毎日新聞15段の意見広告が出たのです。

私自身は、
主宰の#noiehoie氏について
何者だかはっきりしない、けれど自らを右翼と称し(本当にその思想が右翼かどうかは疑問)、反原発デモ等の先頭に立って活動している、ある種の市民政治活動家の部類の人だろう
tweet内容を見ている限り、賢そう(知識水準が高そう)だし、発言に一貫性はあり筋は通っている
という印象を持っていて、
賢い彼の活動キャリアの一端をまんまと担がされたくはないし、頑なに自ら匿名を貫くことに違和感を持っていたし、
なにしろこういうお祭りのような流れに乗じることへのある種の違和感を持ちつつ、でも相当な興味を持ってことの推移を見ていました。
「制度を改正するために個人を攻撃する必要はありません」という意見に対しては同意していたからです。

結局参加しないで傍観しているのもなんだか高みの見物的で嫌だし、きっと私自身が後からなんやかや言いたくなるのだから参加しないのはたぶん卑怯だろう、と思い募金に参加したので広告主の一人でもあります。

多くの実名著名人(文化人・知識人)アカウントは、ほとんど沈黙を守っていました。
賛同、応援の態度を示しつつも傍観を守っていました。
私も、自分が参加したことを公開しなかったので、彼らの気持ち(危惧や保身)はわかる気がします。
フォロワーの多い著名人アカウントが、せっせと協力したならば、また違った活動になり結果も違ったかもしれません。
#noiehoie氏も、ここまで著名人アカウントに「無視」の態度を取られるとは、予想外だったのかもしれません。

広告が掲載された後、一連の活動と広告趣旨を評価する意見があちこちで見られました。
著名な文化人の方々にも。

意見広告がでたことで、この動きは終息するのか、それともwebの発信力が従来のマスメディアを動かしたということが
何かを起こすのか、引き続き見続けて行きたいと思っています。
web上では、匿名、実名入り混じり、様々な価値観や意見が存在し、ぶつかり合っています。そのさまは、テレビ・新聞・雑誌のような従来マスメディアが捨て去ってしまったことのように思います。目を覆いたくなるような誹謗中傷や自分にとって受け入れがたい意見も、否応なしに目に入ります。そこに世の中がある、気がします。

【世の中は、いつも忘れっぽいから】厚生労働省調査へ「胆管癌」

2012-07-11 09:02:44 | 気になる出来事記録メモ
ほんとうに小さな扱いで始まった「胆管癌」事件
中小零細の印刷業の現場をたまたま知っていたので、これは重大なことなんじゃないかという気がしていて、気になっていた。

日本は欧米と違い零細企業の町工場に勤務する人の割合が高い。
大企業を頂点とするサプライヤーチェーンの巨大ピラミッドが社会構造に組み込まれているから。

同じ作業の現場といっても、大工場の現場と零細工場の現場は、何もかもが違う別世界だ。
いまどき「女工哀史」のようなことも、普通に起きていておかしくない、と思っていた。
そんな現場で働く人も、自分の置かれた環境やポジションをよくわかっている。

何もわかっていないのは、常に恵まれた環境にある「大手」の人の方だ。お王の中小零細の現場に比べて、自分たちの環境がどれほど特殊なのか、何も知らない。まあ知る必要もなく生きていける、のかもしれないが。

そして、これは「町工場vs大手工場の現場」に限ったことではない。

「現実を知らなきゃいけない」のは、「持たざる人」のほうではなく、「持っている」方の人なのだし、そちら側からしか物事を解決できないのも現実社会というものだと思う。


◆7月11日 時事ドットコム

600の化学物質分析へ=患者の職種調査も-印刷会社の胆管がん・厚労省

 大阪市の校正印刷会社の元従業員らが相次いで胆管がんを発症した問題で、厚生労働省は11日までに、発がん性物質による職場の健康被害を防ぐため、10年かけて約600の化学物質について調査する計画をまとめた。
 職場で規制されず使用されている約6万の化学物質のうち、年間の製造・輸入量が1トンを超えるものについて発がん性を検討。文献などで危険性を絞り込んだ約600の化学物質について、発がんの危険性を調べる。危険性が確認されれば、防毒マスクの着用や排気装置の設置といった規制措置を取るとしている。
 また、印刷会社以外にも胆管がんを多く発症する職種がないか、病院を通じて患者の職種も調べる。(2012/07/11-05:35)

【世の中は、いつも忘れっぽいから記録メモ】フィルム映画の行方

2012-07-08 06:38:10 | 気になる出来事記録メモ
映画のデジタル化は2013年に完了する、らしい。
デジタル化の完了とは、イコールフィルムプリント映画の終了 を意味しているのだろう。

技術の進歩には、必ず光と影両方の側面がある。

マイナーな単館系ミニシアター、アート系、名画座と言われる映画と映画館をずっと愛してきた(わりには足を運んでいないのが罪だとは思う)映画好きとしては、負の面の心配で、心がいっぱいだ。

フィルム映画は、どうなっていくのか。
ミニシアターは激減するのか。
地方の単館系映画館は消滅するのか。
実は、デジタルよりもフィルムの方が、長期保存に適しているということであればフィルムアーカイブはどうなるのか。

以下、あちこちの記事 備忘録 ***************************************

☆東宝株式会社 公式HPより

映画館のデジタル化

○映画=テクノロジーの進歩
「2010年、3D元年」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょうか。

映画は、常に時代の最先端技術とともに進化します。一般的に映画の誕生とされる、フランスのリュミエール兄弟によるシネマトグラフの一般公開(1895年12月28日)から1世紀以上が経ち、テクノロジーの進歩とともに数々の名作が誕生。そして現在、日本では急速に映画のデジタル化の動きが広まっており、それをさらに加速させたのが3D大作映画の公開でした。

3Dについてご説明をする前に、まずは映画館のデジタル化について触れておきたいと思います。


○映画館のデジタル化とは


従来、映画館で作品を上映する際には、アナログフィルムを使用していました。このフィルムを一切使用せず、デジタルデータであるDCP(※)を素材とし、デジタル・プロジェクターで上映する方式のことを「デジタル上映」といいます。

デジタル上映が普及すると、デジタルカメラで撮影した映像をコンピュータで編集し、データ形態で映画館に配信しプロジェクターで上映することが可能となるため、製作・配給・興行のそれぞれの段階で作業の効率化が可能となります。

この動きは、2005年のハリウッドメジャースタジオによるDCI標準化(※)の発表を契機に、アメリカを中心に進んできました。一方、日本では映画興行側(映画館)が受け持つこととなる、サーバーやプロジェクターへの高額な設備投資の関係上、慎重な姿勢が保たれてきました。

しかし、2009年から現在にかけての3D映画の大ヒットを受け、2006年に96スクリーンと言われたデジタル上映可能なスクリーン数は、2010年末時点で763スクリーンと増加し、映画館のデジタル化は一気に進むことになりました。
※DCP(Digital Cinema Package):暗号化・圧縮化された映像・音声・字幕データ等全てを含む上映用ファイル。
※DCI(Digital Cinema Initiatives):デジタルシネマの映写及び配給に関する技術仕様を制定することを目的に、2002年にハリウッドのメジャー映画制作スタジオ7社が設立した業界団体


○デジタル化のメリット

映像品質向上映像や音声がデジタルデータ化されているため、フィルムにおけるテープ表面の磨耗による品質劣化がなく、鮮明な画像を常にお客様に提供することが可能。様々な上映形態の実現1本のファイル転送で複数スクリーンでの上映や、オンライン配信によるスポーツやライブの生中継が可能。字幕版と吹替版の切り替えも簡単に。コスト削減撮影費用、フィルムを扱う人件費、発送・保管にかかるコスト等が削減可能。

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☆シネマトゥデイ映画ニュース 2011年11月24日記事

 24日、現在開催中の第12回東京フィルメックスで公開シンポジウム「デジタル化による日本における映画文化のミライについてPart 2」が開催され、瀬々敬久監督、村上淳、大分県のミニシアター「シネマ5」の田井肇氏、日本大学藝術学部映画学科の古賀太教授らが参加し、活発な議論を戦わせた。

 冒頭、まず田井氏がミニシアターが置かれている現状を解説。それによると、映画が音声を得た「トーキー」、そして色彩を得た「カラー」に続く映画の革命といわれる「デジタル化」。シネコンを中心にデジタル化は着々と進んでおり、2013年にはすべての映画館のデジタル化が完了予定。それに伴い、35ミリフィルム上映がなくなってゆくことが予想されているという。今回のシンポジウムは、それによりアート系などマイナーな映画が上映の可能性が狭まる「映画文化の多様性の危機」が心配されるというテーマで開催された。

 デジタルシネマの設備投資は1,000万円前後。しかし、ミニシアターがその設備を導入するのは困難が伴う。そこで考え出されたのがVPF(バーチャル・プリント・フィー)というシステムである。これはつまり、これまで約20~30万円程度かかっていたフィルムの現像代・輸送コストなどが、デジタル化によって実質ゼロになるため、その分配給会社が浮いたお金をVPFサービサー(現在、日本にはソニー系、ブロードメディア・スタジオなど3社がある)に支払い、映画館からデジタル上映機器の利用料を徴収することで、映画館のデジタル化を推進しようというもの。

 現在、アート系と呼ばれるような小規模公開の映画は2~5本程度のフィルムを現像し、それらを全国に巡回させている。たとえば1本のフィルムが5か所の映画館で巡回上映されるとしたら、VPFのシステムでは配給会社が一か所で上映するごとに7~9万円を払わなければいけなくなる。シンポジウム内では、これが、芸術性は高くてもヒットの見込みが低い作品は配給会社が供給を躊躇(ちゅうちょ)するようになり、アート系映画が観られなくなる、というのがこの問題の本質であるとも指摘された。

 田井氏は「2013年には日本の映画館のデジタル化が完了するといわれているが、それはつまりデジタル化しきれなかった地方単館系の映画館を苦しめ、廃業させるということによってもたらされるもの」と指摘する。また、仮に現像代20万円を稼ごうとする場合、1週間で160~170人程度を動員しなければならないといい、地方ミニシアターの場合、年間上映される作品の中で興収20万円を超えなかった作品は半数近かったという。さらにわかりやすく解説するために、「キネマ旬報ベスト10」「映画芸術ベスト10」に選ばれた作品で、地方のミニシアターで興収の低かった作品が挙げられると驚きの声が。そこに挙げられた主な作品は『エグザイル/絆』『愛のむきだし』『SR サイタマノラッパー』『チェイサー』『イースタン・プロミス』『ヘヴンズ ストーリー』などなど……。「今までは(1館あたり)10万円すれすれで採算を度外視してでもやってきた映画がゴロゴロある。でもVPFによってデジタル化を遂げた場合、半分以上の映画は配給会社から断られるようになり、上映ができなくなる」という警鐘に言葉を失う会場内。

 もちろん日本でも経済産業省がデジタル上映の設備投資に支援金を出すなど、公的な援助も行われている。決してデジタル化は悪の権化というわけではなく、「フレキシブルな上映プログラムが組める」「地方都市でもロードショー作品を早い段階で観ることができる」「オペラやライブ上映といったこれまでにないコンテンツを観ることができる」といったメリットがある。田井氏も「デジタル化という映画史上最大の革命が起きているのに、革命実感がない。デジタル化によって、地方でも東京と同時にロードショーを開始できる。メジャーとマイナーの差が埋められる本当の革命ができるはず。何でデジタル化したのに、映画の入場料が下がらないのかとか、もっとフランクな声が出てきてもいいはずだ」とコメント。いまだ解決策の見えないデジタル問題であるが、日本の映画文化を守るため、これからも活発な議論を期待したい。(取材・文:壬生智裕)

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☆「フィルム映画を捨てないで!」
国際フィルムアーカイブ連盟 70周年記念マニュフェスト 国立近代美術館フィルムセンターHPより

映画フィルムは、わたしたちの文化遺産の欠くことのできない一部であり、また、わたしたちの歴史と生活のユニークな記録ともなっています。フィルム・アーカイブは、公的なものも私的なものも、そうしたフィルムを収集し、安全に保管し、文書化し、現在の人々と未来の世代とが、研究のためあるいは楽しみのために、それらを利用できるようにすることに責任を負っている機関です。

 現在、65を越える国々から130以上の加盟がある国際フィルム・アーカイブ連盟(FIAF/フィアフ)とその会員機関は、過去70年にわたって200万以上の映画フィルムを救済してきました。その一方で、特定のジャンルや地域、映画史の時代区分については、その映画作品残存率が10%を大きく下まわっているという事実も知られています。

 FIAFはその70周年を機に、世界に向かって新たなスローガン「映画フィルムをすてないで!」を提起します。もしあなた自身のところできちんと映画を保管しておくことができないのなら、FIAFとその会員機関は喜んでそれができるアーカイブを探す手助けをいたします。映画フィルムは、文化的にかけがえのないものであり、それが特に専門家の手にあれば、長期にわたって存続できるものなのです。

 今日の映像技術が、デジタルの分野で達成される発展を力にして前進していることは十分に認めつつも、しかしFIAF会員は、今後も映画フィルムを収集しフィルムとして保存し続けることを決意しています。この方針は、デジタル・ボーンの映像遺産を保存するための効果的な方法の開発に対して相互補完的な関係をもつことになります。映画を作りまた保管する、プロとアマチュアとを問わないすべての人々に、また、世界の映画遺産を安全保護することに責任をもつすべての政府関係者に対して、FIAF加盟機関は、強くこの使命遂行への協力を求めます。

 「映画フィルムをすてないで!」というスローガンは、フィルムの所有者が、そのフィルムを、より安定したフィルム・キャリアに転写することによって、あるいは明らかに重大な情報欠損を引き起こすことがない解像度でデジタル・ドメインにスキャンすることによって、フィルムのコンテンツを適切に確保し得たと考えたとしても、当のフィルムを投棄・廃棄してはならない、ということを意味しています。フィルム・アーカイブやミュージアムが映画フィルムをフィルムのまま保存することを決意しているのには、次のような理由があります。

●映画フィルムは、映画作家の直接的な監督のもとに創造されたもの、あるいはカメラマンによって捕らえられた歴史的瞬間の記録です。いずれのタイプであれ、それらはますます重要となる可能性を秘めた人造物であり、世界の文化遺産の一部です。フィルムは手で触れることができ、目で読み取ることができるモノであり、美術館・博物館が所蔵する作品や歴史的文物と同様に、慎重な取り扱いを必要とします。

●映画フィルムは物理的・化学的に脆弱であるとも言えますが、適正に保管され怠りなく扱われれば何世紀にもわたって存続できる安定した素材であるとも言えます。その寿命は、のちに開発されたビデオテープのような映像キャリアなどよりもはるかに長いということがすでに証明されています。一方、デジタル情報は、機械的な読み取り/翻訳がなければ価値をもたず、また、デジタル情報が載っているキャリア素材は、物理的・化学的な劣化に対して十分な耐久性を持たず、さらに読み取り/解釈に必要なハードウェアやソフトウェアは陳腐化を免れません。

●映画フィルムは現在のところ映像にとって最良の長期保存メディアです。それはわれわれが手にすることのできる製品のなかでもっとも標準化され国際化されたものの一つであり、今も高解像度メディアとしての可能性を秘めています。フィルムに含まれる情報は定期的な移し替え(マイグレーション)を必要とせず、また、その操作システムの頻繁な更新を必要としません。

●アーカイブの倉庫に保管されているさまざまなフィルムは、そこからあらゆる複製物が作られる原版素材です。それらから複製物の完全さ不完全さが判定されます。デジタル技術が進歩すればするほど、映像の内容に手を加えたり、恣意的に改変することが容易になってしまいます。しかしながら、不正な改変や不当な歪曲が行われたとしても、もとのフィルムが適切に保管されていれば、比較することによって、いつでもそうした違いを見つけだすことができます。

 映画フィルムを決してすてないで!――たとえ、あなたが何か良い新製品が現れたと思ったとしても。将来、どんな映像技術が現れたとしても、今あるフィルムのコピーこそは、わたしたちを過去の業績と確かな何かとに結びつけてくれているのです。フィルム・プリントは存続します。フィルムをすてないで!

【世の中は、いつも忘れっぽいから記録メモ】武雄市図書館CCC委託条例可決

2012-06-29 15:13:03 | 気になる出来事記録メモ
今の世の中は、情報があっという間に伝わる超スピード社会なので、
ひとつの事件や出来事が拡散するのも早いけれど、忘れられるのもとても早い。

私個人でも、毎日毎日いろいろなことが起きて、いろいろな情報を見聞きして、処理しきれないうちにどんどん忘れて行ってしまう。
忘れてしまうことは、それだけの意味しかなかったんだ。と昔は思っていましたが
最近のスピードを考えると、忘れてはいけないことも、どんどん忘れて行くのです。
そんな自分自身と世の中に危惧を抱いたので

気になったことは、こまめに記録しておこうと思いました。
そして、気になった私にとって大事なことは、ずっと追いかけてみようと思いました。
現代は情報を自分の意思を持って自分で取りにに行かないとダメです。
意識して取りに行かないと、ただ怒涛のような潮流に流されてしまうことに気づいて戦慄したのです。

少し前からの報道で気になっていること

☆武雄市が、市立図書館の運営をTUTAYAを経営する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)」に経営を委託する条例案が武雄市議会で可決

佐賀県武雄市図書館に指定管理者制度を導入する条例改正案が可決
Posted 2012年6月22日


2012年6月21日の佐賀県武雄市議会で、武雄市図書館に指定管理者制度を導入する条例改正案が可決しました。7月の臨時議会でカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)株式会社を指定管理者に選定する議案が提出される予定と報じられています。同館の構想については、樋渡啓祐市長から、利用者は従来の図書館カードと「Tカード」を選択できること、Tカードを選択した場合でも利用者が借りた本のタイトル等の貸出履歴はCCC側に提供されないことが示されています。

条例改正案を可決 武雄市図書館ツタヤ委託計画(佐賀新聞 2012/6/21付け記事)
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2231397.article.html

貸し出し履歴提供せず 武雄市図書館、ツタヤ委託(佐賀新聞 2012/6/12付け記事)
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2222748.article.html

図書館論争終わった感じ(武雄市長物語 2012/6/12付け記事)
http://hiwa1118.exblog.jp/16040067/

参考:
日本図書館協会(JLA)が「武雄市の新・図書館構想について」を公表
http://current.ndl.go.jp/node/20984

図書館問題研究会、佐賀県武雄市に対する要請「新・図書館構想における個人情報の扱いについて」を公表
http://current.ndl.go.jp/node/20969

佐賀県武雄市とカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が同市図書館・歴史資料館の企画・運営に関して基本合意を締結
http://current.ndl.go.jp/node/20784


武雄市は私個人的にも思い入れのある土地なので、余計に気になりました。
家族の実家の隣の市です。有名な温泉地ですがのどかな農村、いわゆる田舎の町です。私は何度も訪れています。

そして、CCCはTUTAYAを経営していますが、最近「代官山蔦屋」が大変話題になっていて、多くのマスコミやWEB上で文化の薫り高い取り上げられ方です。単なる書店の一業態がっちょっと目新しいだけなのになんなの?という気持ち悪さを感じていたのです。

何より、図書館の貸し出し履歴が、商用利用される可能性があることに不気味さを感じます。
最近WEB上の「読書メーター」を使いだしました。読みたい本を探したり、興味があると思った本の備忘録にいいかな?
と軽い気持ちで使い始めましたが、多くの人が自分の読書履歴を公開している様を見て、空恐ろしくもなりました。
どんな本を読んで、どんな本が好きか、というのは、とてもプライベートで知的水準や思想傾向、考え方、価値観などがすぐにわかってしまう、恐ろしい情報で、それを集積して大きなデータにすると…

そこで、現在超速スピードで社会が向かっているビックデータ社会についても、恐ろしくなったのです。