ホウジョウキ  ++ 小さな引籠り部屋から ~ ゆく川の流れは絶えないね

考えつつ振り返り、走りながらうずくまる日々。刻々と変わる自分と今の時代と大好きなこの国

桜がいつ咲くか、楽しみにしているのが日本人。

2011-03-30 10:40:38 | 日本文化
世の中にたえて桜のなかりせば 
    春の景色はのどけからまし
              ―在原業平

世の中に、桜の花というものが全くなかったなら、春に桜は今か今かと待ち望むこともなく
心安らかに春を迎えられるであろうに…(私の意訳です)


平安時代、いえそれ以前から、日本の人は、春の桜を楽しみにしていました。
桜は日本人にとって、特別な花なのです。

私も、やはり満開の桜を見るとその美しさに心震える思いをします。

こんな大災害に見舞われた日本列島にも、桜前線はいつもの年と同じように
北上しています。

今は関東が開花し、もう少ししたら、東北にも桜が咲くでしょう。
自然は、人間社会がどうあろうと、そんなこととは関係なく淡々と自分の命を引き継いでいくのです。
だからこそ、人間は自然を求めるのではないかと思います。

そうして、お花見シーズンが関東にもやってきました。

私は元々アウトドアの宴会が好きではありませんので、
夜、自家発電機を持ち込んで、大勢で(本当は寒さに震えつつ)桜の下で酒を呑み、
歌い騒ぐのが
どうなのかなあ~といつも思っていました。

桜なんか見ちゃいないだろう?と冷ややかに見ていました。

そんな私の毎年のお花見は、昼間の公園や霊園の桜の木の下で、手作りのお弁当を広げて
缶ビールと日本酒を少しのんでほろ酔いで桜の木を眺める
という、地味で少しさびし気なお花見でした。

でも、満開の桜の下で、お弁当を広げる心楽しさを、毎年楽しみにしています。

考えてみれば、夜桜の下の大宴会の人も、毎年それを楽しみにしているという点では
同じですね。
お花見は、年中行事です。
一種の祭りみたいなものです。

今年は、悲惨な大災害が起こったばかり、原発もどうなるかわからない不安の中にいます。
これから、日本は本当に大変な苦難の道のりが待っているのでしょう。
被災された方は、飢えや寒さや、トイレさえ我慢するという究極の状況にいます。

でも、桜は咲くんです。
桜を見て楽しい気持ちになることは、マイナスでも悪でもないはず。

今年の桜は、被災された方、福島で奮闘している原発の方を思いながら、
これからどうやって復興しようか?という話をしながら、前向きに楽しく酒を呑みたいなと思います。






白井晟一展@パナソニック電工ミュージアムで受けた衝撃

2011-03-27 16:16:34 | art
今日までだった。
お昼ころになってしまったが、入場すると、う~、混んでいる。
混んでいる美術展は、好きじゃない。

このところ、最終日駆け込みの展覧会が続いている。
単に私がグズグズしているからだ。
本人は少しの自覚しかないけれど、子供のころから「お前はグズだ」とよく言われた。
屑じゃないです、念のため、愚図です。

とにかくグズグズしていたら最終日に駆け込む羽目になり
ゆっくり見られなかったのはとても残念。

精緻な製図や、パース図に魅入りながら、
親和銀行東京支店は、何も知らない頃、実際に見た記憶を思い出した。
もう壊されてしまっている。
悲しことだ。

当時、なんだかすごい建物だな、と思った鮮明な記憶がある。
実際の建築物は 無知な通りがかりの女の子の目にも焼き付くほどの迫力だったのだろう。

原爆堂計画のコーナーで、ものすごい衝撃を受けた。
原爆のすべてを物語る、建築物だ思った。
こういう造形を生みだした白井晟一は、確かにすごい。

現実に進行中の核の恐怖と相まって、さらに衝撃が大きかったのかもしれない。

モノリス…も思い出した。(2001年宇宙の旅)

そんな衝撃のなか、とても気になったのが
親和銀行や、原爆堂の モニュメントの書体フォントの美しさだった。

オールドローマン体であることは分かった。
…パペチュアだろうか?

建築の直線と曲線の対比の様子と、この書体はものすごく共鳴しているように思えた。

書に造詣の深い建築家であるから、恐らくタイポグラフィにも造詣が深かったのだろう。
ドイツに留学しているから、尚更だろう。

墨で書かれた書と、タイポグラフィ。
文字というのはなんて美しいのだろう。そう思った。

写真は、浅草に現存する慈照寺(白井設計)


「不安」に克つ。

2011-03-26 23:00:47 | 日本文化
ツイッターで、糸井重里氏が福島県の相馬市長のメールマガジンを紹介していた。
http://bit.ly/h3GDwd
私自身、日々洪水のように押し寄せてくる「不安」と戦うことに疲労困憊だ。

もう事態がこうなってしまうと、情報を判別して自分なりに正しいと思う判断をするのも難しい。

「不安」を煽る情報の波の被害を被っている被災地の苦しみ。
よく考えれば、当事者とは遠いところにいる東京の私たちでさえ、「不安」の洪水の中でちゃんと立っているのが難しくなってしまっている。

ちゃんと考えるということを、自分で止めてしまっているみたいだ。


今試されているのは「日本」という国ではなく、個人個人の、思考能力だと思う。
「国」なんて曖昧なものに転嫁してはいけない。
試されているのは、自分自身だ。

正視することが、あまりに辛いと、見ることをやめてしまう
考えることに疲れてしまうと、思考停止に陥ってしまう
なんて弱い人間という存在。

自分というものの存在意義の根底をなしている、思考や価値観に
ちゃんと対峙すること、
それを試されているのだと思う。

誰に何と批判されても、自分で考え抜いて出した結論は、自信を持って行動に移すことができる。
そういう行動をしたい。
戦う相手は、やはり自分自身。




輪番支援

2011-03-24 11:12:53 | 生活改善プロジェクト
東京でモノ不足になってきたときに

関西方面の友人から「なくて困っているものがあったら送るから」
と連絡をもらいました。

我が家は少人数だし、子供もいないので、そんなに困ってはいなかったのですが
無くなりかけているトイレットペーパーと、どこにも売っていなくて困っていた
電池を送ってもらいました。

職場の方から、お米を分けていただいたり…

買占めばかり話題に上っていますが、おすそわけ文化も健在なのです!

支援はありがたくいただきました。

そうして、お返しは次の方へ…と思い

いよいよ宅配便などが東北の被災地へも配送可能になったと聞き
仙台で被災した友人に支援を申し出ました。

家が壊れた等の被害はないそうなので、今緊急に欲しいものを聞いて
小さな小包を発送しました。


受けた支援は、次の人への支援で。
そうやって支援の輪が広がっていけばいいと思います。

そうして、気持ちの輪が大きく広がっていけば日本中の勇気になると思います。

私は、関西から荷物が届いたときには、
忙しい友人が、
段ボールに自らいろいろ詰めて送ってくれた箱を見て、
その気持ちに涙が出ました。

元気をいただきました。

必ず、その気持ちを次の人へ渡します。

ありがとう。


活字の美しさ 「本の知と美の領域   白井敬尚の仕事」

2011-03-21 17:44:50 | 職人芸
白井敬尚さんと出会ったのは、京都造形芸大 通信部 情報デザインコースの授業だった。

それまで、タイポグラフィとは無縁だった私は「、MINIMIMON 」という文字のの文字組み、
という初歩の練習課題を
とても新鮮に、そして素晴らしい世界の入り口に感じてとても感激した。

もともと印刷活字がなんとなく好きだったせいもある。
そもそも「印刷」というものが好きだった。

その後、白井敬尚氏が、タイポグラフィに造詣の深い著名なグラフィックデザイナーであることを
知った。

白井氏は雑誌「アイデア」のエディトリアルデザインを担当するに当たって、「フォーマットをつくるかどうか?」を編集長に聞いたそうだ、しかし、毎号新たなものを作るという白井氏の方針で、毎号
違う誌面デザイン、組版に取り組んでいる。
そのお仕事の、裏話を聞いたことがある、毎号毎号徹夜の連続過酷なデザイン作業。
その渾身の仕事ぶりは誌面を一見すれば、よくわかる。

タイポグラフィの歴史や根源にのっとった、正統派デザイン。
端正で静かで、読み易さを突き詰め、美しい

小さな展覧会ですが、活字の美しさ、文字組、組版というデザインの美しさ

本というプロダクトの美しさ、改めて本はなくならないと思った。


月明かり

2011-03-18 22:38:34 | Weblog


停電への恐怖のせいで、町の夜は闇が深くなっています。

明りが少ないだけで、とても静かな感じがします。

昔から夜は闇だったのです。電気の普及でいつの間にか忘れてしまった「闇」への畏怖の気持ち。
停電が起きて急に思い出しました。
現代の夜は、異様に明るすぎたんです。

今日は、十三夜でした。
待宵月 だそうです。月の満ち欠けにも、それぞれ美しい名前があるのですね。
とても明るく輝く月でした。

町の闇が、忘れがちだった月の明るさを増したのですね。

か弱い光を見出すために、あえて自分自身の明るさを下げる。そういう光の見出し方があるんだ。
光は強いだけがいわけではないはず。

やわらかな光、か細い光、遠くからやっと届く光。
そういう光が、ちゃんと見える人類でいたい。民族でいたい。人でいたい。

今夜の月の光は、まるでこの街が今まさにうち震えている恐怖感を、大きく包むかのように思えた。

仕事をしよう!

2011-03-14 20:24:53 | Weblog
東北地方の未曾有の被害の様子、

関東では、原発事故の不安、

計画停電という、東電初めての事態、

まさかこんな未曾有の大災害だったとは…


私自身、動揺しまくりで、TVで宮城や岩手の被害状況を見て、

被災地の方の声を聞いて、がんばれの応援メッセージを聞いて、

そのたびに涙が溢れそうになります。


でも、
そんな弱いことじゃいけないのです。
日本は復興しなければならないのです。

日本全体の経済が落ち込めば、被災された方々への援助にも影響します。


だから、今被災しなかった私たちにできることは、仕事をすることだと信じています。
今まで以上に、効率よく、エネルギーを節約して効率よく
生産活動をしよう!





日本はモノづくりの国なのです。
作れるものは作ろう。
情報は流そう。

立ち止っているわけにはいかない。

日本始まって以来の大被害から立ち上がるには、長い時間がかかっても
粘り強く働く日本人の姿を、発信しようと思うのです。


祈り

2011-03-12 17:25:27 | Weblog
昨日は、とても平和に始まった日でした。

朝早く起きて、
普通に朝ごはんを食べ、
少し事務処理(確定申告の書類作成、今頃…)に没頭して、
銀行へ、
銀行でも比較的スムーズに用事は片付き、

次の仕事場へ行くには30分くらい時間が余ったので

下谷神社へ
このあたりでは比較的大きな神社、
昔勤めていた会社で仕事始めの日に全社員でお詣りに行く恒例の神社、何度も仕事始めに詣で思い出のある神社です。

お参りをして、意外と小さい境内をブラブラ。

いいお天気で、日差しも暖かく、春の気配をいっぱい吸い込んで、楽しい気分で
次の仕事場へ、

気分良く仕事をしていたら

地震が起こりました。

今まで経験したことのない揺れ、
思わず机の下へ潜り込んで、
いつまでも止まらない大きな横揺れに、心臓がドキドキしました。

怪我などは何もなく
でもその後世界が一気に変化へ向けて加速しました。

電話がつながらない、
仕事の電話も、大事な人への安否の確認も
つながらないことの恐怖を実感、つながることが普通のことになってしまって、慣れ切っていたことを実感しました。いつでもつながれる、いつもの安心感、それが吹っ飛びました。

帰宅困難者で溢れる町
家に帰ってテレビをつけると、延々と、刻々と未曾有の大災害の画像が流れて

余震がいつまでも続き、
余震が揺れているのか、自分の三半規管がおかしくなって目眩がしているのか
たぶんその両方だと思います。
ゆらゆら、ゆらゆら…

ほとんど寝ずに、よく朝を迎え

今、福島原発が、重大事故を起こしているらしいという
身の毛もよだつ情報が流れています。
チェルノブイリ…思います。
核へのいいようのない恐怖は、日本人なら誰でも持っている感覚だと思います。
ブラックホールに飲み込まれるような恐怖にゾッとします。

地震、津波の大被害そして原発事故…

加速度がついて世界が飛びまわて行くような感覚に陥っていきます…