日経ビジネスオンライン 2013,8,13号「CCCがITで武雄市図書館を”改造”。3ヶ月で26万人が利用」
「事の起こり」(2012.6.29 記事)からずっと気になって追いかけている
「佐賀県武雄市図書館CCC業務委託」
の運営開始その後現状報告が、日計ビジネスの記事に上がっていた。
武雄市長の「強引、傲慢」とも受け取られる発言がクローズアップされて、報道されていたが、
結局利用者大幅増で「結果オーライ」の風潮になるのか・・・?
私が気になっていたのは、「図書館」の貸し出しデータが、CCCという一民間企業が一手に独占出来ることだった。「誰が何の本を借りたのか?」という図書館の貸し出しデータは、その人の思考や思想、行動パターンに直結する、とてもセンシティブなデータだと思っている。
歴史的に「図書館」には、貸し出しデータを究極の個人情報として扱い、漏らさない、という鉄則があったのだけれど、現在、多くの公共図書館が民間の「図書館運営会社」に業務を委託している実態を考えると、そんなことはもはや「建前」かもしれない。
図書館貸し出し履歴を気にする私も、某WEB書店で買い物をするのだから、いつどのような本を購入しているか、しっかりデータに組み込まれているのに、利便性を優先しているのだった。本や物品以外にも、生活上の様々なデータが、意識無意識の別なくマスデータとしてどこかへと集約されている。時には個人情報として流出したりさえしている。
「図書館」のあり方だけを守り続ける意味はない、という問題提起だったのかもしれない、と思えて来た。
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貸し出し履歴提供せず 武雄市図書館、ツタヤ委託(佐賀新聞 2012/6/12付け記事)
図書館論争終わった感じ(武雄市長物語 2012/6/12付け記事)
http://hiwa1118.exblog.jp/16040067/
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TUTAYAのTカードが「貸し出しカード」とされることで、利用者の貸し出し履歴データが、CCCという企業に
集約され利用されることを、日本図書館協会(JLA)等が危惧していた。
結局は、「貸し出し履歴は提供されない」ことで決着しているが、この論争時に
武雄市長が「貸し出しデータが守るべき個人情報とは思わない」旨の発言をしている
私の拒絶感はそこにあった。そして、Tカードを利用した場合は「貸し出し履歴」以外の情報はTUTAYAに提供される。
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図書館とはなんだ?という疑問がわいた
◆ユネスコ公共図書館宣言 1994年採択
◆図書館の自由に関する宣言 1954年採択 74年改訂 日本図書館協会採択
図書館というものの、長い歴史という観点からはとても勉強しきれないので後に回すとして
「市民が建設的に参加して民主主義を発展させるために十分な教育が受けられ、知識、思想、文化および情報に自由かつ無制限に接し得る」ための施設である、と定義されている。
日本国やユネスコの基本思想は「民主主義」でるから、当然ではあるが、20世紀の大戦でのファシズムや軍事力による人権弾圧、共産主義等の情報統制、への反動を感じる。
そもそも「知」の世界は限りなく個人的に自由である、という基本的概念がある。
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日本は「民主主義国家」であると同時に「資本主義、自由経済国家」であるので
民間企業が運営をするには、収益を「どこかで」上げなければならない。どこで「収益を上げるのか」をきちんと広報し認識し承知の上で利用するのだろうか。
一方、武雄市は多くの地方公共団体がそうであるように、自治体として余裕があるとは思えな過疎の地方都市。
そこでいかにして「図書館サービス」を充実させ経費を削減するか、という経営感覚も必須であることは理解出来る。「図書館」のような大きなハコを利用者が少ないまま維持して行くことほど、無駄なことはない。
武雄市に「代官山蔦屋」のような、施設があることで、市民の満足も大きいはずだと思う。
公共と収益のバランス。
気になるのは
図書館の「娯楽性」の面が強調されていくこと
運営の収益のシステムが知らない間に変わって行くこと
実際の「武雄市図書館」を見てみたい、と思った。近いうちに訪れてみたいところです。