ホウジョウキ  ++ 小さな引籠り部屋から ~ ゆく川の流れは絶えないね

考えつつ振り返り、走りながらうずくまる日々。刻々と変わる自分と今の時代と大好きなこの国

アイロンのかけ方 教えます の店

2012-06-23 20:30:58 | 職人芸
私の生活圏は下町にすっぽり包まれているのですが、一口に下町と言っても墨田、台東、江東、足立、荒川のどっぷり下町から
中央区も半分くらい、文京区だって一部はまごうことなき下町です。

そう考えると、下町(庶民の住む商業圏およびダウンタウン)はかなり広いし、当然アソコの下町とココの下町では街の感じが違います。

朝から強い雨が降る休日の朝、私の住む町からは川を隔てて向こう側、江東区深川に遊びに行きました。
深川の商店街にある、昔ながらのクリーニング屋さんを見学しに行ったのです。

今や、街のクリーニング屋さんは、クリーニング工場の取次店のチェーン店がほとんどで
そこのお店1件でお仕事している町場のクリーニング屋さんというのは珍しいのだろうと思います。
私の家も下町なので、そのお店でお仕事をしているクリーニング屋さんが近所にあって、いつもお願いしていますが
そのお店の近所に大手クリーニング会社の取次店がたくさんあり、料金も安いので、個人のお店の商売は大変だろうと思います。
でも、実際に洗濯したりアイロンをかけたりしている職人さんがが接客もしてくれるようなお店の安心感は代えがたいものがあります。

見学に行ったのも、そんなお店でした。

ご夫婦で切り盛りされていて、旦那さんがアイロンかけを見せてくださったのです。
というのも、
「アイロンの掛け方教えます」という貼り紙が店頭にあったから。






私と友人がお店を訪ねた時は、ワイシャツを何枚も何枚も、アイロンをかけている最中でした。

重たいアイロンを使いこなしてワイシャツに向かいながら、私たちの質問に答えてポイントを教えつつ、世間話にも花が咲きます。
アイロンは体が覚えているから、気にしなくっても手が勝手に動くのですね。
職人仕事というのはそういうものだろうと思います。

手仕上げのクリーニング屋さんに出されるワイシャツは、お仕立てされた高級品が多くて、さすが…と思いました。
生地も縫製も立派なワイシャツの山。



こういうワイシャツを毎日着る人にためにも、機械プレスではない手作業のアイロン掛けのお仕事もやっぱり残ってほしいのです。
技術や文化は、川下からすたれていくものです。川下というのは「程度の低い」という意味では全くなく、下支えする末端の方面というような意味です。
洋服を取り巻く技術でも、川上は、天然繊維を育てる畑から、糸を紡ぐ、生地を織る、染色する、デザインする、縫製する~…そして
お洗濯をする、メンテナンスをする、リサイクルをする、と川下へ。

立派なテキスタイルや、デザインがなされても、それを洋服にする縫製、洋服として着続けるためにはクリーニングや修理が
安泰ではないと、衣服の文化として成立しません。
往々にして、デザインの技術が残っても、生地を織る技術、メンテナンスの技術が先に無くなってしまった、というようなことが
あらゆるモノづくりの現場では起こります。
どの末端や先端の技術が無くなっても、ぞの文化全体の崩壊につながるのですが、なかなか均等に維持することが難しい事情がいろいろあります。

このステキなクリーニング店も、後継ぎさんは居られないとのこと。
この高級なワイシャツはみな、いずれ行き場をなくしてさまよう運命なのでしょうか…
そうして、日本人はワイシャツをお仕立てすることも無くなっていくのでしょうか…

苧麻の刈り取りとお引き 真夏の麻と格闘!

2011-07-11 21:03:46 | 職人芸
彦根の新之助上布で、「麻の刈り取りと、お引きをしませんか?」と誘われて
滋賀県琵琶湖畔で、自生の麻を刈り取ってきました。

そう、梅雨が明けた直後です。
暑い!太陽がけんかを仕掛けていますよ。

地元の若者たち、稲枝の青年団の方達や、新之助上布を助けるブレインの若いパワーの面々、に交じって
いざ刈り取り。





上布は今は苧麻の繊維を糸につむいで織りますが、残念ながら、現状の糸は国内で
生産されているものではありません。
麻の植物ををどうやって麻糸にするのか、具体的にやってみたことがなかったので
その一部分を体験できるというのは、とてもいいチャンス!

いざ麻刈りへ…
といってもただ刈ればいいもでありません。
刈り取った麻の葉をその場で落として、表皮を剥ぐのです。葉と芯はその場に捨てて肥料に。

布も和紙もそうですが、植物の靭皮繊維を、糸や紙にしています。
靭皮繊維というのは、一番表面の皮と、中心の芯の部分の間にある「白皮」と言われる部分から
取った繊維です。
植物の一番丈夫な繊維部分です。







さてさて、この表皮を、後工程をやりやすくするために、長く広く剥ぐのは意外と難しい…

すぐにボロボロに…

そんなこんなをみんなで2時間くらい。
バケツに4,5杯の皮が取れました。



涼しいところに移動して

今度は「お引き」作業

剥いで水に浸けておいた皮から、表皮をはぎ取って白皮にします。













小さな小刀のような刃物で、するっと剥いでから、残った緑色の皮を丁寧にこそげとります。

最初みんな恐る恐る。小さな一本の皮の処理に、10分くらいかかって…

ボロボロの白皮が出来上がります…

いや、ボロボロじゃ駄目なのかも?でもこの後さらに繊維を細かく裂いて
それを撚って糸にするので、まあ多少繊維が細かくても許してもらおう…

最初は全然出来なかったのが、少しずつコツを覚えて、いい感じの白皮に出来るようになると
みんな面白くなって集中しだします・・・なんだか無言・・・












作業も段々早くなり

みんなでこれだけの白皮を収穫しました。




たったこれだけ?
いやいや、本当に大変だったんです。
みんな真剣にまじめに頑張りましたしね!
でもこれだけ…
織り物一反の糸を取るのが、どれだけ大変か
身に沁みました。


すっかり日も高くなり、一番暑い時間帯…
用意していただいた冷たいお茶を飲みすぎ、多少へばってきたことろで

バーベキューでビール乾杯!




楽しく近江上布の将来に様々な思いを語りつつ、梅雨明けしたばかり、あつ~い夏の休日は暮れました…

麻をまとう、涼の風「新之助上布展」

2011-06-21 06:45:50 | 職人芸
大西新之助商店 2011年の最後のイベントは

gallery園 での個展です。



護国寺、豊島岡御陵の裏手の静かな住宅街の中の築80年の古民家で
日本の作家のアートや工芸を企画展示する
gallery園

その静かな室内で、上布を涼やかに展示しています。








私の商品(新之助上布を用いた女性服)も特別参加で展示していただいています。
多くの方に、見ていただけたらいいな。
多くの人の日々の生活が「上布のある生活」になったらいいな、という思いを込めた洋服たちです。

私は、今回は販売には立っていないのですが、精一杯上布への気持ちを送っています!




先日のオープニングイベント
琵琶奏者の榎本百香さんに
新之助上布の着物と帯を着て、琵琶の演奏をしていただきました。
曲は
祇園精舎
レインドロップス
那須与一
でした。

なかなか触れることのない琵琶の演奏を静かな古民家のお座敷で聴いていただけました。
みなさん、琵琶の迫力や凛々しさを味わっていただけたようです。

可憐な榎本さんから発せられる、迫力のある演奏に触れて
薩摩琵琶にも、興味を持ってくださって、また演奏を聴きに来ていただけると嬉しいです。






しとしとと雨の古民家は、とても風情あるところです。





雨の季節ももう少しで終わり…暑い夏がやってきます!
蒸し暑い日本の夏、特に今年は色々暑い要素が多い様子

さらっと涼しい上布が活躍する季節到来ですね。

節電の効用のお櫃

2011-05-01 20:42:35 | 職人芸
私は炊飯器でご飯を炊いていますが、節電モードになってから、
ご飯は保温せずすぐに電気を切ることに。
まあ、ご飯も土鍋とかで炊いたら美味しそうですが、
台所でご飯が炊けるまで、つきっきりなわけにもいかず、炊飯器です。

家族が少ないので、いつも少量炊いていますが
混ぜご飯や炊き込みご飯のときは、ある程度多めに炊いたり

最近は、何食分かを炊いて置いたり。
ご飯は、少量炊くよりたくさん炊いたほうが美味しいですしね。

以前は、すぐに冷凍して電子レンジで解凍して食べていましたが
お冷ご飯を美味しく食べよう!と思い、お櫃を活躍させることにしました。

混ぜご飯用に使っていた、大館曲げわっぱのお櫃。

買って何年も経ちますが、まだ木のいい香りがします。
この香りには殺菌成分があるから、お冷ご飯の痛みも少ないのです。

今日は、筍ごはん。
たくさん炊いたので、お櫃の出番。
昨日も、出番でしたし、最近大活躍です。



曲げわっぱは、香りだけではなくて、造形としてもとてもきれいです。
このわっぱがあるだけで、日本の台所になるような気がします。
パンも大好きですが、私はご飯無くして食卓は成立しません。



丁寧な職人仕事のこのお櫃
決して安くはなかったけど、使い込むほど道具としての風格が出てくる、それほど丁寧に使えば長持ちします。

丁寧に長く道具を使う生活。
壊れれば修理してもっと長く使えれば、さらに嬉しい。

そういうことに価値観とお金を使いたいと思います。



活字の美しさ 「本の知と美の領域   白井敬尚の仕事」

2011-03-21 17:44:50 | 職人芸
白井敬尚さんと出会ったのは、京都造形芸大 通信部 情報デザインコースの授業だった。

それまで、タイポグラフィとは無縁だった私は「、MINIMIMON 」という文字のの文字組み、
という初歩の練習課題を
とても新鮮に、そして素晴らしい世界の入り口に感じてとても感激した。

もともと印刷活字がなんとなく好きだったせいもある。
そもそも「印刷」というものが好きだった。

その後、白井敬尚氏が、タイポグラフィに造詣の深い著名なグラフィックデザイナーであることを
知った。

白井氏は雑誌「アイデア」のエディトリアルデザインを担当するに当たって、「フォーマットをつくるかどうか?」を編集長に聞いたそうだ、しかし、毎号新たなものを作るという白井氏の方針で、毎号
違う誌面デザイン、組版に取り組んでいる。
そのお仕事の、裏話を聞いたことがある、毎号毎号徹夜の連続過酷なデザイン作業。
その渾身の仕事ぶりは誌面を一見すれば、よくわかる。

タイポグラフィの歴史や根源にのっとった、正統派デザイン。
端正で静かで、読み易さを突き詰め、美しい

小さな展覧会ですが、活字の美しさ、文字組、組版というデザインの美しさ

本というプロダクトの美しさ、改めて本はなくならないと思った。


絽刺し

2009-11-17 10:59:48 | 職人芸
絽刺しのお仕事をされている職人さんにお目にかかる機会がありました。

絽刺しというのは、刺繍のカテゴリーに入ると思いますが、

絽 という本来夏着物の生地に刺繍糸を絽目に沿って刺して絵柄、文様を表現する高度な手作業の技です。

一針一針刺す手法で、絽目に沿って刺すので、色々な色の糸を混在混ぜ合わせて刺すことができないので、配色や、形、グラデーションの表現がとてもち密に計算されたものになります。

今、刺繍糸の生産も減っており、刺繍糸とというのは、春繭からしか取れないものだそうですが、入手ができなくなってきているのだそうです。
原料、材料、用具から、途絶えていく、というのは、どの工芸品にも共通して言える深刻な状況なのです。

この、絽刺しを、生地(帯地)に埋め込んで縫いこむ高度な技術で、フラットにするところにこの職人さんの特異性があります。

日本の工芸、職人技というのは、分業体制が伝統で、
この方は絽刺しをされますが、帯地を織る職人さん、帯地に絽刺しを縫い混む職人さん、糸を染める職人さん、それを帯に仕立てる職人さん

それぞれの連携があって、初めて品物になります。

そられを総合的にプロディースをする方という役目が、また重要なのです。

日本の工芸や芸術の分野において、歴史的にプロデューサーの役目の人に
光が当たることが多いですね。

本阿弥光悦しかり、千利休しかり…です。

まだまだ、工芸の職人さんは生きています、それが途絶えないように、今私たちが頑張らねば。

ダビデ’s Bag その2

2009-09-18 20:08:08 | 職人芸
ダビデくんが、写真家の皆さんと工芸品のコラボの展示会に出展中

写真にとても関心がある今は、写真の作品も見られて、お勉強になりました。

フォトグラファーの方々は、和紙にプリントしている方が多くいて
惹かれました。

和紙の温かさと、モノクロ写真のクールな感じが、とても合うと思いますので
和紙プリントは好きです。
雲流の繊維の入った和紙にプリントしている方も。
繊維の粗さが、もっと掠れた感じとかになって出ているとよかったかな~と思ったり。


さてさて、ダビデ君のメッセンジャーバッグ

たくさん並んでいると、どれもデザインが個性的で、一点ものだと思うと
欲しくなります。
デザインや色遣いが、彼の作品は、あたたかい。
クールなイラストのプリントを使った作品も、なんだか体温を感じる。

彼にかばんを持ってもらったら、
あまりにもピッタリはまってカッコいい。
さすが作った本人は着こなしがうまいわけです。

バッグを背負って颯爽と自転車に乗ってたら、もっとカッコいいだろうなあ。

もう、バッグ作りに専念して3年になるとのこと。仕事は順調に増えているご様子。

彼にはぜひがんばってほしいけど、秘密の宝物にしたい気もする、ダビデ君のメッセンジャーバッグ。

ふつうのことを続けるために

2009-09-13 05:29:14 | 職人芸
ある職人さんが、ポロリとおっしゃたことが
ずーっと心にひっかかり、気になっている。

「普通のものを、普通に作ることでは、今の日本では生きられないんでしょうかねえ」

普通のものを日本人が作っても、コストの(人件費の)安い海外生産のものに負けてしまう、日本人がモノづくりをし続けるためには、とても難しいことや、先進的なこと、斬新なこと、ほかの国ではできないことをし続けないならない状況にある。

技術を習得するには、時間も労力も必要で、ましてや今の日本では、自分の手でモノを作るという仕事を選択したなら、机上やバーチャルな世界で書類を作ったりモノを売ったり買ったりする仕事よりも、モノ作りの職人として最低限必要なレベルの技術を取得することすら、大きなパワーを必要とする。

それだけ、「職人として必要最低限のレベル」が日本は高い、だから高品質のモノづくりができる。
でも、そういうレベルの高品質は、なかなか分かりにくく、簡単に「安い値段」に負けてしまうのも事実。

高い品質のモノづくりを維持していくためには、
冒頭の職人さんが溢したような
「普通のものを普通に作って、普通に生活できる」
ことが、とても大切なんだと、いまさらながらに気がついた。

モノづくりの光る日本でいるために
「まいど1号」を作ったり
世界でここしかできない、高細密な技術を持ったり
世界の最先端の研究をしたり
新しいアイディアを具体化したり

そういうことを続けることとが、日本がモノづくりで生きていく道だと。
それが成長であり健全な向上心だと、私も考えてきたけれど、

もっと足元を見るべきだった。
足元の普通のものを、丁寧に作る。
日用品を昔ながらの技術や材料や方法で作る。
普通のものを、連綿とつなげていくことも、とても大事なこと。

いまや、昔のものは品質が高かった。もう再現はできない。というのは、モノづくり職人の世界では当然の事実。

最先端の技術発展を引き換えに、そんな身近なもの技術のレベルを、今よりも更に落としていいのか…

どうしたらいいのだろう。
私のは何ができるのか、ずーっと考えているが、まだ何も答えらしきことは思い浮かばない。

ダビデくんのバッグ

2009-08-13 09:45:32 | 職人芸
若きバッグ職人 見城ダビデ くんに私の思い入れ素材 紙衣と紙布 でバッグを作ってもらいました。

ダビデくん と「くん」づけなのは、まだ彼が少年のような面立ちの若さだから。
でも、バッグはなかなか凄いです。

何が凄いか…

彼は現場の人で現場を知っているから。
彼のバッグは手作りの一点もの、バッグ作りも独学で体得したそうです。
そういう意味でも現場の人そのものですが
彼は、プロのメッセンジャーとして活躍していたので、メッセンジャーバッグの使い手としても現場のプロなのです。

メッセンジャーだった彼は、あるとき思いついて自分のメッセンジャーバッグを作ってみた。工夫や改良を重ねて自分で愛用しているうちに、仲間のメッセンジャーさんたちから欲しいといわれ作っているうちに、評判になってしまった、らしい。
すごいですねその心意気。

私は筋金入りの現場主義者。
作業場、工房、工場を見るのもそこで働く人も大好きです。
できることなら、興味のわくモノはできる工程からじっくり知りたい。
工場で工程を見せてもらうのは至上の喜びです。

私の仕事の原点は、伝統工芸の職人修行から出発しているのだから、それは刷り込まれているも同然。
手を動かし道具を使いこなしメンテナンスも工夫も…というのが現場です。
そういう現場から生まれたものしか、信じない。
そういう現場を知っているまたは知りたいと思っている人しか信じません。


使い手であり作り手でもあるダビデくんのバッグは、機能的で、小粋なデザインでありながらどこか骨太な感じを受けます。

温厚で華奢な彼が、ミシンに向かっている姿を想像する…かっこいいですね。


町工場で、職人のオジサンが汗を流して開発した素材を、こういう風に形にしてもらうと、とても嬉しい。
まだファーストサンプルですが、制作の背景や過程を話していると、もうそのまま鞄職人さんの思いを乗せて売ってもいいんじゃないかと…つい思ってしまう

…おいおい私のコンセプトはどこへ行った。しっかりせい。

それぞれの見方とそれを壊す勇気

2009-08-03 21:58:19 | 職人芸
仕事上で、いろいろな立場に方にお目にかかります。

町工場や小さい会社の経営者の方、職人さん、デザイナーさん、問屋さん
小売店を経営する方…

私がお近づきになりたい方々なので、皆さんご自分の信じる道を信念を持って
歩まれている方ばかり。

私の事業の理念に共感して下さるかどうか、というところが共通項と言えば言えなくはない。

基本的な理念では共通していても、それぞれの背景や立場によって
意見は様々。
一つの商品をいろいろな方向から眺めると、切り口や見え方が十人十色だということが、しみじみ身にしみる毎日です。

そこをどう共通を結びつけるか、が私の仕事なのですが

我ながら、難しい仕事を選んだな、と思います。

意見の異なるどちらの考え方もわかる。
こちらから見ると、こういう風に見え、そちらの方から見ると、そういう風に見え。
わかります。。。と思ってしまって、私が八方美人をやっていては進む物事も進みませんから、どこかを切りすたたり、説得したり、しつこく食い下がったりして
なんとか進めます。
なかなか一筋縄ではいかない作業です。
仕事というのはどんな分野でもそうだとは思いますが。
そういう意味では今、初めて仕事らしい仕事をしているのかもしれません。

難しいのは皆さんその道のベテランであって、自信や革新をお持ちなこと。
そこに一般素人の視点(私の立場)を入れてもらうには…
結局人の信頼感でしょうか。

私自身も信頼できる方という気持ちが働かないと、一緒に取り組むのは難しいです。相手の方から見ても同じでしょう。

信頼を得て、はじめて異なる意見も聞く耳を持っていただける、それは会社員時代から感じてきた実感です。
自分の意見を主張するのも、難しいことですが、もっと難しいのは自分の意見を壊すこと。誰でも自分の実績や成功を覆すような考え方には耳を傾けません。
でも、自分の成功体験の中にだけ真実があるわけではない、それも薄々分かっていながら、やはり認めない。
皆さんそうです。
私もそうです。

だから、人の意見は心して聞く。
大事なことなのにしょっちゅう忘れそうになるのですが、その都度思い出すようにしています。

心から敬意を表して聞けば、自然と相手の方も自分の殻を壊してくださる。
そう思います。