10月19日~12月16日まで
横浜京浜電鉄「日ノ出町」から「黄金町」一帯の町を挙げて行われる
アートフェステバルです。
パスポート500円を購入し、それがあちこちの展示会場の入場券となります。パスポートは期間中有効。
「黄金町バサールは横浜市の初黄/日ノ出町地区で地域のまちづくりに取り組む「初黄/日ノ出町環境浄化推進協議会 と黄金町エリアマネジメントセンターが共同で開催するアートフェスティバルです。第5回目となる「黄金町バサール2012」ではまちの景観やまちの活動と関係を結びながら展開するさまざまなアートの形をご紹介します。作品展示の他、参加型のワークショップやトークイベント、多様な角度からまちの現在を捉え、豊かなまちの将来を考えるきっかけとなることをめざします。」
以上「黄金町バサール2012」カタログより
この紹介文から、十分察することができるけれど、このまちの歴史は暗い。
戦後の混乱期、GHQの支配により行政機関が立ち入る事が難しくなり、闇市が立ち並ぶと同時に麻薬と売春宿が密集し、関東一の青線地帯と言われた。
ごく最近まで、風俗街として在ったが、2005年に横浜市が一掃に着手、そして新しい町への変貌を、アートや若いアーティストへの支援に求めている。
実際訪れてみると、うっかり大岡川を渡った先にはごく普通の街の中に風俗店がいくつもある。昭和の香りが漂う崩れ落ちそうな長屋アパートや怪しげなビルもある。
しかし大岡川の河岸は遊歩道に整備されて、とてもこぎれいになっているし、小さなアパートの店子にアーティストのアトリエや可愛いカフェがあって、そういう目で見ると発見がたくさんあって楽しい。
私自身が、町のもつ暗黒の歴史に興味があるので、特に違和感無く、楽しく見て回ることができる。東京や大阪などの大都会のだいたいの町には、大なり小なり大きな声では言いにくいような歴史を持つ。今はすっかり過去を消し去りスタイリッシュ一辺倒の町よりも、未だに歴史を引きずっている町を愛しく思うのは、私自身が、そういう歴史とはあまり縁の無い札幌市で生まれ育ったせいだろう。
吉原も山谷も、浅草のはずれも、同じような歴史を背負い、似た香りを発している。
建築ユニット「みかんぐみ」が、この都市再開発に、関わった経緯も興味をそそられる。京急高架下文化芸術活動スタジオ黄金スタジオは「みかんぐみ」の曽我部昌史氏の神奈川大学曽我部研究室が設計している。曽我部氏の活動は、越後妻有の農村の再開発(農家の改修)で知られるとおり、地域や町そのものを巨大展示空間として位置づけ、地域に根付く再開発を建築アートとして構築している。私は、土地には歴史と情念のようなものが息づいていると思うので、そこに新しい建造物や新たな生活圏としての新生地域を造るという活動は魅力的に思う。
さて、この黄金町バサール、友人のアーティストが長期レジデンシー作家として滞在し参加している事で知った。
Robert Gutiersz アメリカに拠点を置くフィリピン人アーティスト
彼のアートの分野はPaintingだという事だけれど、今回の作品もインスタレーション的だね、と言ったら、でも瓶にペイントしている、と切り返された(笑)
なかなかクールでカッッコいい作品。
会期はまだあるし、会場は広い、日曜日には待ち歩きガイドをしてくれるので
もう一度行ってみるつもり。