ホウジョウキ  ++ 小さな引籠り部屋から ~ ゆく川の流れは絶えないね

考えつつ振り返り、走りながらうずくまる日々。刻々と変わる自分と今の時代と大好きなこの国

善照寺

2009-06-25 06:38:54 | 職人芸
浅草界隈に、10年以上住んでいるが、まだまだ未知なるゾーンは多い。

雑多に、新旧、清濁ごちゃまぜの町だから、掘り起こせばひっそりと意外なものがうずもれていることが多い。

このところ、家の周辺をウロウロすることが多いので、ここ半年くらいで気づいていなかった発見がたくさんあった。

善照寺は、某建築家氏の「みてみるといいよ」で、探索に。

住所の周辺は、寺町である。
なぜか。
東京本願寺がでーんとある所だから。

東京本願寺の至近距離に住んでいたこともあったけれど、あの建物は、お寺としても建築物としてもあまり興味がわかなかったので、いつも素通りしていた。
築地本願寺の、隆盛ぶりと比較しても、ひっそり人気がないし、何かをやっている風でもない、ただ大きい本堂も、正直まあり魅力的ではな方から。

善照寺は、そんな東京本願寺のまさに参道に面して、ひっそり建っていた。
あまりにひっそりしていて、お寺があると気付かないくらい。

この本堂は
白井晟一という建築家の設計、と某氏から聞いていた。
まるで基礎知識無しで、見てみると…

あらーなんとなく教会みたい。が、第一印象。
そぎ落とした感じの造形が、寺院のイメージと重ならない。
どっちかというと桂離宮かしら。←無理やり、ぜんぜん違う。

白い壁と中央に走るガラスの黒さが印象的。

はあー、とても静謐な雰囲気。

小さなお庭もいい風情。と、庭好きの私は、庭に目が行ったり。


帰ってから、ちょっとだけ調べてみる。
白井晟一の代表作、という記述も。

白井晟一という建築家は、京都生まれ、モダニズム全開時代に異端の建築家だったらしい。ブラックジャックのモデルらしいという記述も見つけたが、本当か?これはこじつけ臭い気が。ただ、それほど異端で孤高な存在感だったということか。

もう二つ、彼の作品
渋谷区立松涛美術館と
ノアビル
は私も知っている建物だ。

松涛美術館は好きな美術館だから何度も訪れている。


それにしても、こんなにひっそりと、誰もやって来そうもないところに、名建築があるということが、いかにも浅草界隈らしい奥の深さというか、飾り気のなさだとつくづく感じた。

背景に、合羽橋ニイミビルの赤白の塔が見えちゃうところも、浅草のいかにも雑なところで笑える。

夏のよそおひ 近江上布

2009-06-12 22:50:31 | 職人芸
近江の新之助上布さんの展示会が
明日までとなりました。

私は、現場主義者です。
モノづくりの現場を一番信じています。
職人が、魂を込めて、信念を持って仕事をしていれば
胸を張って、生きていける世の中へ向かえばいいと
心から思います。

現実は、思うに任せないことばかりです。

自分がいいと思うものを、正直に作ること。
その仕事で、十分生活が成り立つこと。
いい仕事をしていれば、敬愛されること。
いい仕事を、使う人が分かること。

そんなことが、絵にかいたモチではなく
そんな些細な、職人の人生をかけた願いが
世の中に理解されればいいと
私もそちら側で、生きていきたいと願います。

しかし、今は数字のやり取りや、机上の理屈を並べて
カッコよく生きている人が、多いこと
また、そういう人がリスペクトされ、人が寄ってきて利権なんかが生じたり。


かっこ悪い夢を選んだことが
そんなにカッコ悪いのか。

泥臭く、地べたに足をつけて地道にものを作ることが
こんなに軽視されていいものか。

泥臭い仕事をいとわない職人さんたちと話すと
いろいろなことを必死に考えています。
その考えは、霞が関や六本木ヒルズで考えられていること
に比べて、レベルが低いのだと思う人がいたら、
まず、彼らと話して見て。
カルチャーショックを受けると思います。
価値観ひっくり返ります。

私は、どんな業種でも、泥臭い現場から新しい未来は生まれると信じています。

箒って、どう使おう?

2009-05-31 19:39:27 | 職人芸
スパイラルの若手クリエイターの祭典
SICSで、出会った箒職人兼アーティスト

2000円で、小さな箒を買いました。
もう一か月、机の横の壁にぶら下がって(下げて保管しておいた方がいい、というアドバイス)
手のひらに乗るサイズで、ほうき草をくくってある糸はピンク。
とっても、可愛らしいです。

机の上に溜まった埃を掃除するのにいいかなあ?

でも、そんなに机の上の掃除ってしませんでした。
鉛筆でスケッチやデッサンをすると、消しゴムのかすが溜まります。
木版画を彫っていると、彫くずがごそっと出ます。
そんな時にはいいけど、そうそうないよなあ。
大体は机の上では、パソコン作業ですよね。

いい使い道なばいかしら。

というのも、私の次の商品開発素材に入れたいのです。
その職人さんの、箒という工芸品の衰退を真摯に心配する姿に
同意したいのです。

しかし、箒とは…
メインの使い道である、部屋の掃除に使うには…
絨毯とフローリングのみになってしまって、和室が作られない現代住宅には
箒の出番はないですよね。
和室があれば、まだ提案のしようがありますが。

掃除という固定観念から離れてみなければ…

うーん、なかなか難問です。

今の私たちに必要な箒の使用方法、ないでしょうか…

パソコン掃除かなあ?それははたきの方がいいなあ。うーん。
発想の転換が、なかなかできません。

かわいいんだけどなあ。

水の麻布 近江上布

2009-04-18 21:58:24 | 職人芸
琵琶湖のほとり、滋賀県近江地方に近江上布の織元の職人さんを訪ねてきました。

大西新之助さん
http://www.shinno-suke.com/index.html

近江上布は、長い歴史と伝統のある織物ですが、いまや知る人は多くありません。

小さな工房をお弟子さんと二人で守っていらっしゃいました。
糸の処理から、染色、柄つけ、織、検反 を、全工程をお一人でこなします。

驚いたのは、織るまでの、織ることのできる糸にする作業が手間のかかかかること。

柄つけ、また糸の状態に戻して、そしてやっと織り機にかかります。

そこまでの工程は、緻密で論理的で膨大な作業です。

ですから、最後の織る工程で、傷が入れば、それまでの膨大な作業が水の泡です。
しかし、織る作業は、神経を使い、体を使い、毎日毎日同じ柄を見つめて。
「こんな仕事はあほにしかできへん」
そうおっしゃいました。
いえいえ、こんな緻密で忍耐力のいる仕事は、そうそうできません。

ですが、この職人さんは、大胆を絵にかいたような方でした。
もちろん、お仕事は綿密かつ繊細。
でも、お仕事に対するスタンスは、大胆で、やってみなければわからないから何事にも飛び込んでみる、とういう信念でした。

織りあがった反物が、着物になろうが、洋服になろうが、小物になろうが、ふんどしになろうが(!)、かまへん。
消費者に届くことが大事。
この織物のよさを、どんな形でも、知ってもらうのが大事。


手織りの織物は、織り手の個性が如実に表れます。

ピシッと寸分たがわず、の仕事をすれば、ピシッとした織物ができますが、
遊びがない。機械織りと変わらなくなってしまう。
余裕と遊びがある仕事をすれば、手織りの風合いのあるなんともふんわりとした織物ができます。
しかしそれは、長年の経験と、人生の蓄積がなければ、一朝一夕にして出来るものではありません。

職人仕事は、一生修行だ
すぐれた職人さんは、皆そうおっしゃいます。
まさにそうです。

近江上布を知ってもらうために、途絶えさせないために、
こんな田舎にじっとしていては、どんなにいいものを作っても誰にも知られることがない。それでは仕方がないから、外へ、消費者の顔が見えるところへ、出ていきます。リスクをしよってでも。


手織りの渾身の織物は、それはそれは美しく癒されるものでした。
それを身にまとえば、日本の衣服のよさを肌を以て知ることができるでしょう。

多くの人に、まだ近江上布を知らない人に、纏ってもらいたい。
こんな素敵なものだと、肌で知ってもらいたい。

私も、私なりの方法で、近江上布を皆さんへ届けることができるよう
努めていきます。






お誂えのカードケース@Leprotto

2008-01-05 21:16:22 | 職人芸
谷中の小さな手作りオーダーメイドの革小物

■ Leprotto[レプロット]
営業時間: 12:00 - 19:00

オーダーしちゃいました。
ブルーのカードケース。

革とステッチの糸の組み合わせを店内で悩むこと小一時間。
ブルーの革は使い込むともっと深い色になり
ステッチは思い切ってピンクに。
ブルーとピンクは私が最も好きな色合わせです。

コインケースだったのですが
私の大量に持ち歩くカード類を収納するのに、カードケースとして作ってもらいました。

かわいい麻の布ケースに入れてもらって

おまけに革ケースのボールペンをいただきました。
新年のプレゼントかしら?うれしいです。

職人の店主さんと、助手の職人さん?お弟子さんでしょうか?
かわいい女性とお二人でやっています。

今度はキーケースをカードケースとお揃いで作ろうか?
などど、散財の胸算用。

新年に向けて、ちょうどいい自分へのプレゼントになりました。
仕事がんばろう、勉強もがんばろう。
そんな気分。


染めのまち落合 お散歩しながら。

2007-10-21 15:32:04 | 職人芸
落合は、東京の中の染め物の町だそうです。
全く知りませんでした。
二つの川に挟まれた地形、
水で洗い流す作業が重要な、染め物業が集まったのだそうです。
染め屋さん、悉皆屋さん、染み抜き屋さん、湯のしやさん
いろいろな、染め物に関わる小さな工房がたくさんあるのだそうです。
看板はだしてい無いのだそう。
なんだか、密やかで、いいですね。

4件の工房の中や、実際の作業を見学できる
スタンプラリー。
江戸友禅から
江戸小紋、
湯のし
江戸更紗
と見ました。

江戸小紋では、染めに大量のおがくずを使うのでビックリ。
型紙で糊置きは知っていましたが、こんな風に染めるなんて、全然知りませんでした。
染め上がった後、型の継ぎ目を手作業で修正するんですって。
すごいですね。
本物の江戸小紋は、高い訳です。

湯のしも面白かった。
一人で作業出来る機械なんですね。
昔は二人ががりだったのですね。

帰りに川沿いのパン屋さんのカフェに寄りました。
スワンベーカリー。
すてきなロケーションと天井が高くて窓が大きくて気持の良い建物。

楽しかった。
勉強になることが、まだまだたくさん。