マーの手が動いた。
「キリング ユー・・・」
「マラマッド」の曲の歌詞を叫んだ。首を振り、目を覚ました。ハルに気づくと子供のように微笑んだ。身体を起こし、ハルにキッスしようとした。ハルはマーの肩を押さえた。
「マーちゃん、聞いて・・・・・・
私、マーちゃん以外の人を好きになっちゃった。」
ハルはマーの目を見ていなかった。ゆっくりと視線をマーに向けた。鬼がいた。マーの鉄拳が空を切った。鉄拳はハルの左目のあたりに直撃した。ハルの頭の中で、花火が炸裂した。正座するように座っていたハルの腰が浮いた。頭から床に落ちた。ハルは両親にも殴られたことはなかった。だから、痛みというよりもショックで気を失った。マーは焦った。身体を揺すった。心臓に耳を当てた。鼓動は確かなリズムを刻んでいた。動かないハルを抱きかかえ、敷きっぱなしの布団の上に寝かせた。今度は、マーが正座するように座り、ハルが気付くのを待った。台所に行き、タオルを絞り、ハルの頭と目の上に乗せた。ハルの言葉を頭の中で繰り返した。マーはショックだった。
どのくらいたっただろう。ハルは目を覚ました。ハルの視界は靄がかかっていた。その中央に心配そうにハルを見るマーがいた。
「マーちゃん、ゴメンね。」
そういいながら、頭の奥に痛みを感じた。起き上がろうとして、ふらついた。マーはハルの頭を支え、寝かせた。
「出てくのか。」
「違うの。」
「何が、」
「あのね・・・・・・」
二日間に起こったことを話した。同伴のことも、ペナルティーのことも、菊子さんのことも、話した。今まで、マーには何も話していなかった。マーがドラムを叩く姿を見たくて、ハルは金を稼いでいた。
マーが全部ハルの言葉を理解したかは、不明だ。マーは悲しくなっていた。マーもハルが初めてだった。女子と付き合うことなどなかった。だから、セクスを知らなかった。メンバーに見せられた裏ビデオで覚えたやり方しか知らなかった。セクスは素晴らしかった。ハルはマーの言うとおりに変容していった。
ハルがいなくなるかもしれない。
マーはうつむきつぶやいた。
「出て行くのか。」
「そうじゃないのよ。マーちゃん。私もどうしていいか。解らないの。
私って、みだらな女なのかもしれないわ。マーちゃんも、マサルも好きになっちゃったの。」
「キリング ユー・・・」
「マラマッド」の曲の歌詞を叫んだ。首を振り、目を覚ました。ハルに気づくと子供のように微笑んだ。身体を起こし、ハルにキッスしようとした。ハルはマーの肩を押さえた。
「マーちゃん、聞いて・・・・・・
私、マーちゃん以外の人を好きになっちゃった。」
ハルはマーの目を見ていなかった。ゆっくりと視線をマーに向けた。鬼がいた。マーの鉄拳が空を切った。鉄拳はハルの左目のあたりに直撃した。ハルの頭の中で、花火が炸裂した。正座するように座っていたハルの腰が浮いた。頭から床に落ちた。ハルは両親にも殴られたことはなかった。だから、痛みというよりもショックで気を失った。マーは焦った。身体を揺すった。心臓に耳を当てた。鼓動は確かなリズムを刻んでいた。動かないハルを抱きかかえ、敷きっぱなしの布団の上に寝かせた。今度は、マーが正座するように座り、ハルが気付くのを待った。台所に行き、タオルを絞り、ハルの頭と目の上に乗せた。ハルの言葉を頭の中で繰り返した。マーはショックだった。
どのくらいたっただろう。ハルは目を覚ました。ハルの視界は靄がかかっていた。その中央に心配そうにハルを見るマーがいた。
「マーちゃん、ゴメンね。」
そういいながら、頭の奥に痛みを感じた。起き上がろうとして、ふらついた。マーはハルの頭を支え、寝かせた。
「出てくのか。」
「違うの。」
「何が、」
「あのね・・・・・・」
二日間に起こったことを話した。同伴のことも、ペナルティーのことも、菊子さんのことも、話した。今まで、マーには何も話していなかった。マーがドラムを叩く姿を見たくて、ハルは金を稼いでいた。
マーが全部ハルの言葉を理解したかは、不明だ。マーは悲しくなっていた。マーもハルが初めてだった。女子と付き合うことなどなかった。だから、セクスを知らなかった。メンバーに見せられた裏ビデオで覚えたやり方しか知らなかった。セクスは素晴らしかった。ハルはマーの言うとおりに変容していった。
ハルがいなくなるかもしれない。
マーはうつむきつぶやいた。
「出て行くのか。」
「そうじゃないのよ。マーちゃん。私もどうしていいか。解らないの。
私って、みだらな女なのかもしれないわ。マーちゃんも、マサルも好きになっちゃったの。」