仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

お姉さんじゃないんだぞ。

2009年02月05日 16時37分35秒 | Weblog
「ヒーちゃん、下着持ってきた。」
「持ってきたよ。」
「じゃあ、行こう。」
「待って、バド頼んじゃった。」
「エー、飲んでるの。」
「うん。」
ヒロムは頭を掻きながら、ヒトミと向かい合わせに座った。店員がバドワイザーを持ってくると、直ぐ出るからと告げた。ヒロムはテーブルの上にのせられたバドを取り、ヒトミのグラスに半分注ぎ、瓶のまま一気に飲み干した。ヒトミも慌ててグラスのビールを一気に飲みした。レシートをつかむとヒロムは階段を折り始めた。ヒトミは立ち上がろうとして、膝をテーブルにぶつけた。グラスが転がった。両手で押さえた。
「フー。」
ゆっくりと体制を整えて、デイパックを背負い、ヒロムを追いかけた。階段を降りるとヒロムはもう外に出ていた。ヒトミはヒロムを追いかけ、左腕にしがみ付いた。
「どこに行くの。」
「お風呂、入りたい。」
「もー。」
ヒトミを拒むわけではなかった。二人は歩きなれた道を進んだ。いつものテルホの前で止まるとヒトミが言った。
「今日は違うとこにしない。」
「いいよ。」
ヒトミはヒロムの手を引っ張った。その日、ヒトミは初期の「ベース」のころよく利用したテルホを選んだ。和室のあるテルホで、部屋も和室を選んだ。部屋は入り口の横にユニットバスがあり、奥が一段高くなっていて、座敷があり、そのまた奥の部屋に布団が敷いてあった。当時は、間のふすまを取り払い、スペースという感じで使っていた。ヒトミは懐かしかった。
 部屋に入ると、ヒロムは直ぐに服を脱ぎ始めた。全裸になるとユニットバスのドアを開けた。ヒトミは脱いだ服を、片付け、デイパックを置いて、服を脱ぎ、ヒロムの服の横に置いた。
(もー。)
ヒロムはバスタブに腰を下ろし、シャワーを浴びていた。一瞬、漂う異臭。
「何日、お風呂、入ってないの。」
「この前、ヒーちゃんとはいってから・・」
「どうして銭湯行かないの。」
「連絡取れた。」
(人の話はきかないのね。)
「うーん。なかなかね。難しいわ。」
「マサルは。」
「一度、通じたけど、電話に出ないのよ。」
「マサルがいると便利なんだけどなぁ。」
「便利って・・・・お金ないの。」
「そういうわけじゃないよ。会費もきちんと徴収できてるし、経営にいってるやつがきちんとしててさ。」
「そうだ。ヒデオも、アキコも、もう来ないかも。」

電車はゆれてⅡ

2009年02月02日 15時21分18秒 | Weblog
わわ、どうしたの。
おばさん、重いよー。
あっ、あっ、着いたよ、着いたよ。
えへ、そんなに頭下げなくても。
そうだ。後ろから降りなきゃ。
ちょっと臭いんだよね。
よいショット、デイパックいっぱいだよね。

渋谷って、人が多いなぁ。
どうして昼間からこんなに人がいるんでしょっ、平日なのに。
あら、あら、君たち、まだ、学生さんなんじゃないの、だめよ、そんなところに入っちゃ。
あっ、こっち見た。知らない知らないよ。見ないでよー。
男の人ってどうして、女の裸見るの好きなのかしら・・・・やーねー。
着いたー。よかった、後ついてこられたらどうしようかと思っちゃった。
どこにしようかな。
一階はうるさいし、三階にしようかな。うー。二階でいいか、
たぶん直ぐ出るもんね。
ヒロム、ヒデオに教わったって言ってたけど、合わないよね。
よかった、あそこ開いてる。
三階の奥は暗いんだよね。
フイー。重かった。
コーヒーでいいかな。
待ってー、ビール飲んじゃおうか。
えへっ、バドワイザー頼んじゃった。
ヒロムどうして部屋に帰らないんだろ。
そんなに忙しいのかなー。
それとも部屋が嫌いなのかな。
「ベース」もねえ。ヒデオって凄いなって思ったけど。
慣れてくると、倉庫みたいだモンネ。
あそこで寝てるのは可哀想だよねー。
今度、話してみよっと。
みんなどうしてるんだろ。
変わったよねー。「ベース」も。
桜上水に・・・誰だっけ、エーと、泉美ちゃん、そう、泉美ちゃん。住んでるって言ってたよね。
会わないよね、同じ駅でも。
あっ、そうだ。
メモ、メモ。あったー。
電話、疲れるよねー。嘘つくのも。
うーん、ヒカルは連絡取れないよね。バツっと。
マサミのとこ、どうしよう。演劇部に頼んじゃぉ。
良し、おしまい。
来た。来た。
わー、綺麗な泡。
バドワイザーって他のビールに比べるとすごーく澄んでるよね。
薄いのかな。でもキレイ。
おいしいいいい。
幸せ。
なんか、昼間からビールなんておミズの人と思われるかな。
そんなわけないか、こんな格好じゃ。
ここの店員さんていいよね。顔合わせないし。
今日は・・・・
アラ、イヤだ。私ッたら、何を・・・・・
アン。また、どうしてそっちへいっちゃうの。
あっ、飲んじゃった。お代わりしようかなー。
ウフフ、ヒロム早く来ないかなー。
エヘ、頼んじゃった。
あっ、ヒロムだ。