大阪万博の悲しい未来と3000億円の愚行

　人は､余計をする生き物である。余計に余計が群がり､更に多くの余計を生む。
　入場料7500円の万博という(空騒ぎの)宴の後は､大阪市民や府民の税金(全国民も含む)がこうした余計に更に注ぎ込まれる。

　”今､恥を偲んで辞めたら1000億ほどで済む”との声も多い。
　事実､昨年は自民党と公明党が東京五輪をネタに公金(税金)を支持者に配り､今度は維新が万博をネタに公金を使う。”維新が自民党より自民党らしい”との噂は本当だった。
　国民はオリンピックで､そして万博でも税金を搾取される。因みに､全国民に600円､大阪府民に5000円､大阪市民は更に18000円あまりを負担するそうだ。
　大阪オリンピック誘致失敗の負の遺産であるゴミの埋め立て地だが､その地盤の上にIR(総合施設)を作るという(時代遅れの)維新の愚行に近い構想が故に､”夢洲”が候補地とされた。
　まさに､大阪にとっては夢洲というより､悪夢に近い”ゴミ溜めの州”である。

　結局は､大阪は維新一強で､国は自民一強で､野党が全く機能しないが故に､こうした箱モノ予算が暴走する。
　維新の票集めの為だけに､2300億円もの税金を使う万博なら､1000億円をドブに捨ててでも阻止する必要があるのかもしれない。

2300億円の愚行

　2025年大阪関西万博の会場建設費が､現在の1850億円から450億円上振れし､2300億円程度となる見通しになった。当初予算は1250億円だった為に､実に8割以上のアップとなる。”またまた負担が増えるのでは？”と国民からは心配の声があがる一方で､府政の関係者はこう語る。
　”万博会場建設費は木造の大屋根･8つのテーマ館･催事場の建設にあてられる。政府と大阪府･大阪市･経済界が1/3ずつ均等に負担し合う。経済界は経団連が中心になり企業からの寄付集めにハッパをかけ､現在割り当てられてる約617億円にプラス100億円以上が集まったようです”
　今後は万博を運営する日本国際博覧会協会が精査する事になるが､なぜこんなどんぶり勘定の様な事に・・・
　”資材価格や(人手不足による)人件費の高騰に業者(ゼネコンら)の受け手がいないなどが理由とされてるが今更です。単に､見通しが甘かっただけ。それと､最初から高額の予算を打ち出せば国民から<万博なんてムダ遣い>と開催に反対する声が上がる。穿った見方ですが､結果的に<後出しジャンケン>になった”(大阪在住ジャーナリスト)　
　ネット上ではこの“後出しジャンケン”に批判の声が集まり､万博を推進する日本維新の会への批判も多い。
　更なる問題は土壌汚染。”夢洲”は大阪湾や河川の摺接土砂や産廃物･建設残土などの最終処分場でもある。大阪湾の泥濘みからはPCB(ポリ塩化ビフェニール)が検出されてる。
　万が一､PCBが検出されたら膨大な浄化費用が必要となる。万博開催まで最終的にどの位の費用が必要になるのか？それは誰にもわからない(FLASH)。

　東京五輪の大失態を受けても､殆ど同じ様なミスをしでかす。
　今や日本国民は政府に一方的に搾取される。これも全ては2021年の東京五輪がきっかけとなった。
　そこで今更だが､東京五輪の負債額を検証してみる。以下､｢東京五輪の負担､都民は1人11万円超!? 赤字額は2.3兆円に｣より大まかにまとめます。
　

3兆円の愚行

　オリンピックの招致に東京都が動いてた頃は､大会開催にかかる費用は約7300億円と言われてた。が､東京での開催が決まり､本格的に道路整備などインフラのプロジェクトが決まると､開催にかかる費用は7300億円では収まらなく､倍近くの1億3000万円程までに膨らんだ。
　これは今の大阪万博の流れ(1250億→2300億)とほぼ同じである。
　更に､新型コロナウイルスの感染拡大により東京五輪は1年間の延期を余儀無くされ､仮設設備の一時撤去･再設置の費用･大会会場の延長使用料などが新たに発生し､追加の事務作業の人件費も嵩んだ。
　そして2020年12月､東京五輪組織委は最終予算を発表し､総額が1兆6440億円だとした。つまり､延期によって上乗せされた金額は約3000億円。
　但し､東京五輪の経費が1兆6,440億円のみと思ったら､大きな誤りだ。この予算には東京都が負担する経費が含まれていないからである。つまり､日本政府が負担する金額は約1兆3000億円で､東京都が負担する金額は約1兆5000億円に上る。これらを合計すれば､3兆円に近い金額が東京五輪に掛かった事になる。
　これを単純に日本の総人口(1億2530万人)及び東京都民の総人口(1404万人)で割ると､1兆3000億円÷1億2530万人＝1万375円(←日本国民の負担)､1兆5000億円÷1,404万人＝10万6837円(←東京都民の負担)となる。
　因みに､東京都民は日本国民でもあるので､実質的に両方の合計である11万7212円を負担した事になる。

　では､3兆円に見合う価値があったかどうか？は､1人1人の価値観によっても異なってくるだろうが。コロナ禍もあり､当初に期待された経済効果は得られなかった事だけは確かだ。
　事実､経済効果の分析の権威である関西大の宮本勝浩教授は､東京五輪での国と東京都､大会組織委の赤字総額は2兆3713億円に上るとの試算を発表している。
　今回､大会経費が嵩んだ一番の要因は､新型コロナウイルスにある事は間違いないし､これは不可抗力と言えなくもない。但し､コロナ禍に対し､国や東京都､大会組織委の対応策が適切だったか？は別問題であり､時間を掛けての検証が必要になる。
　勿論､掛かった費用は戻ってくる筈もないが､その検証が今後の国や東京都の危機対策に繋がる事が期待される。
　以上､THEOWNERからでした。

最後に〜箱モノ崇拝と日本人

　大阪万博では､”夢洲”の完成に更に350億近い予算が掛かり､最終的には3000億ほどになるだろうとの憶測もある。
　丁度､2年前に開催された東京五輪の1/10ほどの規模だが､経費予算の流れを見ると､東京五輪(7300億→1兆3000億→1兆6440億→3兆)に対し､大阪五輪(1250億→1850億→2300億→3000億)と､綺麗に焼き映したかの如く､全く同じ愚策を繰り返している事になる。
　つまり､東京五輪の大失態から日本政府も関係企業も何ら反省はしていない。結局､反省や検証ではなく､汚職と癒着と責任転嫁だけが残った形となった。
　多分､”運がなかっただけ､コロナ渦がなければ成功してた”と､検証も何も殆ど成されてなかったかもしれない。
　つまり､東京五輪の3兆円の愚行は大阪万博の3000億円(推定)に引き継がれていく。
　こうした空騒ぎの宴の後は､東京も大阪も落ちぶれた地方都市に舞い戻るのだろうか。
　アジア諸国の中でも貧相な国の1つとなった日本だが､自らその選択をしたのは日本政府であり､日本国民でもある。

　我ら国民は政府や企業ばかりを批判するが､そこにどれだけの本気度と覚悟が存在するのだろうか。東京五輪も都民の何％が本気で怒り狂ったのだろう？
　都民以外でも､”都の予算でやるんだからオイラには関係ねーべ”と高を括っていなかったか？
　勿論､暴動やテロ行為はタブーだが､具体的な行動を起こしたか？ひょっとしたら五輪がコロナ渦で落ち込んだ景気を払拭してくれると期待したのだろうか？
　そういう点では､都民も我ら国民も反省する所があるかもしれない。

　つまり､我ら日本人は気がついたら､自壊の道を自ら選択してるとしたら・・・
　悪い事は全て政治のせいにして､我ら国民は具体的で建設的な案が出せないのもある。結局､国民が最終的に選択する道は政府が選択する道と被さってしまう。
　オリンピックも万博も国民が本気で反対してたら・・・しかし､殆どの国民は表向きは反対しても､心の中では”今更反対しても既に決まった事だから・・”と諦めてはいなかったか？
　一方で､都民1人当たり11万円の損失が3兆円の愚行を生むと判っていれば､反対のしようもあったかもしれない。
　政府は国民の顔色を見て動く所がある。本気で国民が反対すれば､政府と言えども好き勝手には出来ない筈だ。つまり､我ら日本人は敢えて国民は本気で反対したのだろうか？ひょっとしたら政府に期待してた所もあったかもしれない。お祭り好きな日本人は､心のどこかで”箱モノ”に期待する農耕島民特有の偶像崇拝的な妄想癖があったのも確かであろう。

　もし､そういった妄想グセがあるとしたら､3000億円の負債と共に､大阪の海はゴミ溜め色に染まるのかもしれない。