この作品の最大の魅力は、パリ中央市場の凝りに凝った詳細すぎる描写にある。 ゾラ御贔屓の印象派ではなく、"現代の美"を象徴する、貪欲な表現主義に凝り固まった絵画群を満喫するかの様だ。 ゾラはこの作品を通じ、”現代の美を描き切った唯一の作家だ”と、訳者の朝比奈氏は賞賛する。 ”野蛮と血生臭さ”が渦巻くパリ中央市場。 この巨大なパリの台所に、1人の貧窮な . . . 本文を読む
家族が亡くれば、遺産相続や不動産の名義変更が必要となる。 特に、土地の場合(宅地と異なり)売買の確率が高く、名義変更(登記変更)は必須となる。 しかし、この相続にまつわる名義変更は、初めての人にとってはハードルが高い。 故に、諸々の面倒な処理を司法書士などの専門の弁護士に頼む訳だが、これまた大変なお金(9万~13万ほど)が掛かる。 そういう私も、この不動産の名義変更でいきなり玉砕した。 法務局に . . . 本文を読む
”名作「居酒屋」の女主人公ジェルベーズの娘としてパリの労働者街に生れたナナ。 生れながらの美貌に、成長するに従い豊満な肉体を加えた彼女は、全裸に近い姿で突然ヴァリエテ座の舞台に登場する。 パリ社交界は、この淫蕩な“ヴィナス”の出現に圧倒された。高級娼婦でもあるナナは、近づく名士たちから巨額の金を巻きあげ、次々とその全生活を破滅させてゆく” タイトル . . . 本文を読む
4月末以来の、ゾラの”ルーゴン=マッカール叢書”です。 この「大地」はその第15巻にあたるが、単行本で624頁もある超のつく巨編である。 当時は散々な酷評に巻き込まれたが、時代はそれを許さなかった。 ”農村に巣くう因襲と旧弊を取り上げた問題小説で、19世紀フランスの農業を扱ったバルザックの「農民」と並び称される。 土地相続を巡り、農民の貪欲がついには親族殺しに . . . 本文を読む
”人生、悪い事ばかりじゃない!下を向くなジャン!いつかは終りが来る” 読み終わって、そう叫びたくなった。 「壊滅」は、ゾラの”ルーゴン•マッカール叢書”の中で最大の長編(第19巻)であり、ゾラのそれまでのイメージを一新させる戦争文学の巨編でもある。 このルーゴン•マッカールに賭けたゾラの情念を凝縮したかの様な大胆で繊細な描写の中 . . . 本文を読む
連日の様に、”広島と長崎原爆の違い”ブログにアクセ頂いた方どうも有難うです。
この「パリ」(エミールゾラ著、竹内のぞみ訳)に登場する主人公フロマン兄弟の、兄ギョームが開発する高性能の”火薬爆弾”こそが、爆弾テロや原爆のモデルとなってる(だろう)事は、少し皮肉にもまた驚きにも思える。
”チャーチル、その8”で書いた様 . . . 本文を読む
4/30以来のバルザックです。ゾラも含め、もっと投稿したいんですが。どうしても三面記事的なネタに成り下がる。ま、ブログとは所詮そんなもんですかね。
さてと、バルザックの最高傑作の1つと言われる「ゴリオ爺」ですが。傑作というよりコミカルな長編慢話って感じですかね。オチやツッコミ満載で、まるで出来のいい長編漫才と言った所ですか。
こういう作品を見る限り、バルザックが今に生きてて、彼が元々望ん . . . 本文を読む
私は本を読まない、いや本を読めない。敢えて言うならば文盲に近い。小さい頃本を読む癖をつけてない事もあろうが、絵が大好きだった事もある。 しかし、物語を頭の中で描くのが好きだったし、今でもそれは変わらない。 画家と作家の違いは、頭の中で描いた物語をカンバスに映し出すか、原稿に書き記すかの違いだけだと思う。 バルザックやゾラの小説を見てると、まるで絵画を見てる様な気になる。いや絵画を描いてる様な気分 . . . 本文を読む
あるブログ友の言葉に、”僕は妻に僕のマリア様を見出している”とあった。クリスマスにふさわしい言葉だと感動した。この言葉と全く同じ事が再現されてる小説がある。ここまで言えばピンと来る人もいるでしょうが。そうです、ゾラの『制作』です。 ゾラと言えば『居酒屋』ですが、この制作を読むと彼の別の一面を見たような気がします。クリスマス明けにはピッタリの一冊かもしれません。 もう一つゾ . . . 本文を読む
昨日は、マクドナルドと映画ブログのバックナンバーを読んで下さった方有難うです。あんまり人気のない”鏡張りの部屋”も宜しくです。
以前、『夫婦財産契約』の触りの部分を少し紹介したんですが。今回は、少し掘り下げて、レヴューを書きます。
因みに、バルザックといえば『幻滅』に代表されるように長編作家というイメージが強いが。私から言わせると、典型の中編作家の様が気もする。S . . . 本文を読む