「数学は計算の上を飛ぶ」に寄せられたコメントに、ダイヤル数ってのがあった。 ダイヤル数とは、その数に2、3、4を掛けた時、その値が各桁の数を順序を崩さずに巡回させた数となる。 例えば、142857は有名なダイヤル数だが、”巡回数”とも呼ばれ、142857×a(a=1,2,...,6)の値は142857を巡回させた数になる。 事実、142857×2= . . . 本文を読む
前回「その6」では、エニグマ暗号の限界とチューリングによるエニグマ解読の歴史を紹介しました。そのチューリングですが、自身が発明した万能計算機によって、代数学における”計算の不完全性”を実証しましたが、”数学の不完全性”となると、そこには明確な矛盾と限界があった事は歪めませんでした。 その後、チューリングは自身の万能計算機で数学史上の未解決問題とされ . . . 本文を読む
前回「その5」では、イデアル類群Cₖ={Pₖ,P₀Pₖ}を2次体K=Q(√(−5))を例に挙げ、イデアル類群の前身となる「ラグランジュの定理」(1773)について説明しました。 因みに、イデアル類群Cₖの位数|Cₖ|を類数と呼びますが、イデアル類群の発見より以前に、2元2次形式に対する同値類(同値関係を満たす元の集合)の数として、その類数(イデアル類群の位数)は研究されて . . . 本文を読む
前回「その5」では、古代ギリシャのカエサル暗号から換字式暗号が生まれ、これに鍵語を加え、複雑にしたものが”ヴィジュネル暗号”の発明に繋がり、それを解読したバベッジについて述べました。 だが、ヴィジュネル暗号もその周期性に注目したカシスキーテストに突破され、更に文字の偏りを推測する”クリブ”攻撃により高度に複雑化したヴィジュネル暗号も姿を消す。 そこ . . . 本文を読む
前回「その4」はRSA暗号の仕組みと起源について詳しく述べましたが、今回は少し寄り道して、エニグマやRSA暗号以前の暗号について紹介します。 まずは暗号の前に、数表と計算機のお話からです。 4000年前の古代エジプトに始まる三角法の歴史は、三角関数表作成と共に発展した。 古代ギリシャのプトレマイオス(83-168)、15世紀ドイツの天文学者レギオモンタヌス(1436-1476)、16世紀オースト . . . 本文を読む
前回「その3」では、RSA暗号の秘密の鍵である2つの素数pとqからなるN(=pq)時間の時計計算機について、まず説明しました。 一方で、RSAアルゴリズムの起源となる「フェルマーの小定理」はオイラーが一般化した事で、「オイラーの定理」とも呼ばれます。 その後1977年に、RSA暗号の発見者の1人であるリヴェスト(R•L•Rivest)が、時計計算機を使ってRSA暗号を完成さ . . . 本文を読む
一時、大衆の間でもワイドショーを賑わす専門家被れが過ぎたせいか、リテラシーやエビデンスというウケのいい言葉が大いに流行った。更に、この2つの言葉を知らないと、SNSではバカにされるかの様な錯覚に陥ったもんだ。 まず、エビデンスとは元々医療用語で根拠との意味があったそうだが、今では、証拠や根拠や裏付けの意味で、SNS上を独り歩きする陰謀説やデマを検証する時に大きな武器となる。 一方で、リテラシーだ . . . 本文を読む
前回「その8」では、バーゼル問題の完璧な証明となる”オイラー・マクローリン法”の詳細を述べましたが、少し判りにくかったでしょうか。 1734年の最初の証明は、非常に画期的なものでしたが幾つかの問題があった。が、その10年後にオイラーは、無限解析を用いて完璧な証明を与えます。 この完全なる”バーゼル問題”の証明(1745、1748)では、オイラーはま . . . 本文を読む
イデアルの概念に慣れ親しんで頂く為に、前回「その4」の最後の補足とその続きを見ていきますが、イデアル類群Cₖ={Pₖ,P₀Pₖ}の計算をK=Q(√(−5))と言う2次体の例を使って説明しました。 更にその応用として、xとyの2元2次形式のx²+5y²で表す事のできる素数pについては、以下の「ラグランジュの定理」が有名でした。 つまり、”素数 . . . 本文を読む
偶然にも、この記事のタイトルと同じ著書「高木貞治とその時代:西欧近代の数学と日本」(高瀬正仁著、2014)があった。同じ様なタイトルに、「アーベルとその時代」(Aストーブハウグ著、2003)があるが、前者は”時代”をEraと書き、後者はTimesとしている。 例えば、Eraは元号などで区切られる時代を指し、江戸時代以前はPeriodを使ったという。一方、Timesは一般的 . . . 本文を読む