象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

”積分論は難しい”と嘆く日本人へ(中編)〜ルベーグ積分の定義と積分論の本質

2025年02月19日 13時34分39秒 | 数学のお話
 「前回」は、高校で学ぶ定積分から始め、リーマン=スティルチェス積分に触れ、積分論の本質を引き出し、それから測度論に向い、ルベーグ積分の大まかな概念を紹介しました。 寄せられたコメントにもある様に、平ペッた宅言えば、リーマン積分では定義域(X軸)が実数で、スティルチェス積分では単調増加関数で、ルベーグ積分では集合と理解すれば、誤解はないと思います。 こうした抽象的な積分論は、区分求積法に基づく単純 . . . 本文を読む

”積分論は難しい”と嘆く日本人へ(前編)〜リーマン積分とスティルチェス積分とルベーグ積分の違い

2025年02月06日 06時39分41秒 | 数学のお話
 ”定積分”と聞いて先ず思い浮かぶのが、高校で学習した∫[a,b]f(x)dxという形の積分(代数的積分)でした。 この様な形の積分を”リーマン積分”と呼びますが、リーマン積分は連続でない関数に対しても定義され、高校では連続関数のみを積分の対象としました。 一方リーマン積分は、スティルチェス積分と呼ばれる積分に一般化され、”リーマ . . . 本文を読む

数学と自然が美しくある為に〜オイラーを追いかけ続けたファインマンの夢

2025年01月27日 16時27分16秒 | 数学のお話
 ノーベル物理学賞受賞者のリチャード・ファインマンは僅か15歳の時に、オイラーの公式eⁱˣ=cosx+isinxを”世界で一番凄い式”と日記に書き記し、その証明をも記している。 青年(いや少年か)はまず、以下の様に指数関数と三角関数の級数展開に着目した。 eˣ=1+x/1!+x²/2!+x³/3!+x⁴/4!+x⁵/5!+・・・ sinx=x&minus . . . 本文を読む

数学は読む事で理解し、文学の様にあるべきだ〜数学嫌いにオススメの2冊

2025年01月18日 16時05分08秒 | 数学のお話
 文学にも純文学を始め様々なジャンルがあるように、数学も代数・幾何・解析などの昔ながらの純粋数学を始め、微分方程式論や確率論に解析学などの応用数学を含めると、恐ろしい程の雑多な領域に分かれる。が、これから文学の世界も同様で、推理小説やSFなどの大衆文学を含めると数多くのジャンルになる。 それによく考えると、数学と文学いや、公式と文法は非常に類似してるし、まるで数式は文法の上位互換の様でもある。 例 . . . 本文を読む

ナッシュJrの驚異”その5”〜不確実な時代と進化ゲーム

2025年01月08日 03時36分04秒 | 数学のお話
 前回「その4」では、展開系ゲーム理論と”ナッシュ均衡”について掘り下げて述べましたが、結論から言えば、この世の不合理な事は、核兵器開発競争・同業間の過当競争・労使抗争・恋愛関係や夫婦喧嘩まで、ゲーム理論の中の”ナッシュ均衡”でその多くが説明できる。 ナッシュJrが考案した非協力ゲームですが、その中には(戦略形の他に)時間や情報構造を加えた&rdqu . . . 本文を読む

ヒトは数と戯れる”その3”〜博士が愛した友愛数と社交数

2024年12月29日 15時43分17秒 | 数学のお話
 前々回「その1」ではナルシシスト数を、前回「その2」では、完全数について紹介しました。娯楽が少なかった古代ギリシャ時代では、数学と言うより、こうした”(自然)数のお遊び”が大衆の娯楽になりえました。 今で言う”数トレ”とか”脳トレ”と呼ぶのでしょうが、数学が非常に高度で難解な学問ではあるが、数字の神秘性やそのユニークさは時代 . . . 本文を読む

ヒトは数と戯れる生き物である”その2”〜博士が愛した”完全数”の神秘

2024年12月18日 13時45分04秒 | 数学のお話
 「前回」の冒頭では、江夏の背番号28という”完全数”について少しだけ触れ、その後は”ナルシシスト数”について紹介しました。 ナルシスト数が有限個存在する事は既に述べましたが、今回初回する”完全数”はそれが今未だ判ってなく、その研究は古代ギリシャの時代から今に続いてます。 ”自身を除く全ての約数の和が完全数になる& . . . 本文を読む

博士が愛した”ナルシシストな数”〜ヒトは数と戯れる生き物である”その1”

2024年12月11日 05時51分51秒 | 数学のお話
 私たちは日常を通じて、色んな数に囲まれて生きている。 よほど数字に興味がない限りは、そういうのを意識する事はないだろうが、じっくりと腰を据えて数字という神秘の世界に触れるのも実に楽しいもんである。 そこで今日は、映画「博士の愛した数式」に登場する数の神秘と愉快について紹介する。 「素数の不思議”その2”」に寄せられたコメントにもある様に、”江夏の背番号28は完 . . . 本文を読む

1/17の摩訶不思議な世界〜”素数の逆数”で遊ぶ数学”その2”

2024年12月03日 03時54分45秒 | 数学のお話
 前回「その1」では、1/7の巡回節である142857について書きましたが、この様な不可思議な性質を持つダイヤル数が1/7以外にも存在するのだろうか?との疑問が湧く。 前回に見た様に、”1/pの循環節がダイヤル数になる為には、1÷pの余りの列にp未満の自然数が全て現れる”事が必要でした。 そこで、7より大きい素数pの逆数”1/p”を順に . . . 本文を読む

わずか1組しかない三角形のペア〜現代の数論と古代ギリシャの幾何学はこうして結びつく

2024年11月19日 05時12分22秒 | 数学のお話
 「宇宙から来た変換理論・・」で、IUT(変換)理論での重要な復元ツールとなる”遠アーベル幾何学”の説明をしましたが、”遠アーベル幾何学”で検索すると、以下の記事に遭遇した。 慶應大学の研究グループは2018年9月、”辺の長さが全て整数となる直角三角形と二等辺三角形の組の中には、周の長さも面積も共に等しい組が(相似を除き)僅か1組しかない . . . 本文を読む