象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

ガロアの最終論文(#8の2)〜素次数の既約方程式の可解性、第8節

2024年05月27日 05時26分27秒 | エヴァリスト・ガロア
 前回「#8-1」では、第6,7節でのガロアの主張である”素次数の既約方程式がべき根で解ける為の必十条件は、全ての根がその中の2つの根により有理的に表される”事を紹介しました。 ガロアは、”素数次既約方程式がべき根で解けるならば、その方程式の群はxₖ、xₐₖ₊ₑの形の置換のみを含む必要がある”としたが、その逆も示す事で、”素数次既約方程式 . . . 本文を読む

ガロアの最終論文(#8の1)〜素次数の既約方程式〜第6、7節

2024年04月29日 17時26分17秒 | エヴァリスト・ガロア
 ガロアの第一論文の中で最も重要なのは、「#7-1」と「#7-2」で述べた第5節にあり、第6、7、8節の内容が述べられる事は殆どない。 つまり、方程式をべき根で解ける事は第5節で完全に解明された訳であり、その後のガロア理論は方程式を離れ、群や体の理論として大きく発展する。故に、現代のガロア理論は方程式の痕跡すら残ってはいない。 方程式を解の置換に置き換えた、対称群としての研究はガロア以前にも成され . . . 本文を読む

ガロアの最終論文(#7の2)〜ガロア群と可解群〜第5節(後半)

2024年04月13日 03時54分37秒 | エヴァリスト・ガロア
 前回「#7の1」では、第5節の前半まで紹介しました。ガロアが[定理5]で述べた”上記の条件”とは、”ガロア群に正規部分群が存在し、その剰余類群の位数が素数”という事でした。 つまり、上記の様にしてラグランジュの分解式Eを作れば、Eᵖはこの正規部分群で不変となり、求める事が可能となる。 故に、そのp乗根を求める事でEが求まり、Eを元の方程式の基礎体に . . . 本文を読む

ガロアの最終論文(#7の1)〜正規部分群のその先に〜第5節

2024年04月05日 14時41分39秒 | エヴァリスト・ガロア
 前回「#6」では、ガロアは”体K(r)に群Hが対応する”事を主張した。 これは、ガロア理論の中核にある「対応定理」とも言え、”体Kのガロア群をGとすると、拡大体K(V)のガロア群は単位置換{ε}だけとなる。この時、体Kと体K(V)との間に中間体K(r)があれば、それに対応するGの部分群Hが存在し、またGの部分群Hが存在すれば中間体K(r)が存在 . . . 本文を読む

ガロアの最終論文(#6)〜正規部分群の定義〜第4節

2024年04月01日 02時51分30秒 | エヴァリスト・ガロア
 前回「#5」では、ガロア群の中に正規部分群の存在を示したガロアでしたが、今日紹介する第4節では”(元の方程式に)根の有理式の値を添加すれば、その値を不変とする所までガロア群が縮小する”事を述べている。 第8章〜ラグランジュの定理 第4節では、”ある方程式にその根の有理式の値を添加すればその方程式の群は、この有理式を不変にする順列以外は含まない様に、小さくなる。 . . . 本文を読む

ガロアの最終論文(#5)〜正規部分群の発見〜第3節

2024年03月29日 04時54分30秒 | エヴァリスト・ガロア
 前回「#4-2」では、Hの全ての置換に、τ⁻¹στの操作をすれば、H₁の全ての置換を得る事が判った。 つまり、K(r)のガロア群がH、K(r₁)のガロア群がH₁、K(r₂)のガロア群がH₂、…とする。但し、h(x.r)=0の根の1つをV、h(x.r₁)=0の根の1つをV₁、h(x.r₂)=0の根の1つをV₂、…とした時、τ . . . 本文を読む

ガロアの最終論文(#4の2)〜第2節の考察と正規部分群への道

2024年03月26日 18時58分06秒 | エヴァリスト・ガロア
 第2節の後半ですが、「前半」で述べたガロアの主張(1)を2つに分けて考察し、その後に正規部分群に繋がる、主張(2)を説明します。主張(1)を完璧にマスターすれば、難解とされる主張(2)は意外にも簡単に理解できそうです。 以下、長らくお付き合いください。(1)の考察 まず、主張(1)を2つの部分に分けて考える。 ①K(r)上でガロア方程式が因数分解された場合、群が縮小する。但し、補助方程式はK上の . . . 本文を読む

ガロアの最終論文(#4の1)〜ガロア群の置換と補助方程式〜第2節

2024年03月25日 16時19分58秒 | エヴァリスト・ガロア
 前回「#3」では、ガロアの第一論文の第1節を紹介しましたが、これから紹介する第2~4節は非常に厄介で”これらの証明を完璧にする為に必要なものがあるが、僕には時間がない”と殴り書きしてる様に、ガロア自身もかなり困窮している。 因みに、遺書の中には3つの論文が含まれ、第1論文は(フーリエとコーシーが紛失した)パリの論文を改定した有名な”ガロア理論”であ . . . 本文を読む

ガロアの最終論文(#3)〜ガロア群を作る(第1節)

2024年03月20日 16時47分15秒 | エヴァリスト・ガロア
 第1節に入る前に、「序章」で紹介した群の基本定理の3つは以降でも述べるので省略し、これまでの3話で紹介した4つ補題を簡単に振り返ります。 [補題1]は”有理多項式と既約多項式が共通根を持てば、有理多項式は既約多項式で割り切れる”は、多項式を整数に置き換えれば明らかである。[補題2]の”重根を持たない方程式の根をa,b,c,…とすると、根の置換によ . . . 本文を読む

ガロアの最終論文(#2)〜単拡大定理とガロア方程式

2024年03月18日 05時05分22秒 | エヴァリスト・ガロア
 前々回の「プロローグ」で紹介した[補題1]ですが、”既役な方程式は、有理的な方程式を割り切る時を除けば、共通根を持つ事はない”とガロアは述べてるが、f(x)=0とF(x)=0が共通根αを持てば、F(x)がf(x)で割り切れる筈であり、”a,b,c,…が全て共通根になるのでは?”と思った人も多いだろう。 だが、f(x)=0が . . . 本文を読む