ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

戦国ヤンキー川中島学園

2011-06-29 21:51:00 | 特撮
先述致しました「戦国鍋TV」で、かなり最初の頃にやってたコーナーです。

戦国時代を代表するライバル対決として名高い「川中島の合戦」を、何故か「ク○ーズ ゼロ」風にヤンキーの抗争に見立てたミニドラマ。
「川中島のテッペン、取ってやるよ…」
上杉謙信の仕切る川中島学園に、部下を引き連れ、風林火山ののぼりを立てて転校して来る武田信玄。二人の男の戦いの火ぶたが今切って落とされる。

当時はそんなに熱心に見てなかったので録画も残ってなかったのですが、ここに来て無性に見たくなり、DVD壱~参を衝動買い。
戦国鍋TV~なんとなく歴史が学べる映像~壱 [DVD]
戦国鍋TV~なんとなく歴史が学べる映像~ 弐 [DVD]
戦国鍋TV~なんとなく歴史が学べる映像~ 参 [DVD]
…この番組のスタッフに敬意を表して、どっかでお金を落とそうとは思ってたんですが、買って良かった。リアルタイムで見てた当時はユウスケや流ノ介が出てた「七本槍」の方に注目してましたが、川中島学園、改めて見ると記憶してたより面白かった。
(1)冷静に考えるとおかしいとしか思えないことを
(2)限られた予算と時間の範囲内で
(3)全力でかっこ良くやりきる。
超星神シリーズや風魔の小次郎にも通じるこのノリ、大好物です(ある意味シンケンジャーもか)。
全13話だけど一つの話が5分くらいなのでテンポよくさくさく話が進むし、ネタはおバカでも演出はちゃんとかっこ良さを追求したものになってるし。

中でもこのコーナーの上杉謙信はかっこ良すぎて卑怯だと思います。

このテの番組でのかっこいい=強いということ。
とりあえず立ってるだけでどう見ても強そうな武田に対して、ぱっと見は細こい普通の兄ちゃんである上杉を強く見せるのは工夫がいる。そして結果的に、役者はもちろん、演出や脚本含めて、全力で上杉が強くてかっこいいキャラになっている。ヤンキーで高校生。でもちゃんと義将で軍神で毘沙門天の化身でもあるという。

役者の見た目はもちろんかっこいいです。なんでエイベックスの歌手がこんなとこに?と思ったけど、「眉目秀麗」っていう古い褒め言葉が似合いそうな顔立ち。よくこんな人見つけて来たな。
で、その美形キャラがキレイな顔を歪めて吠えるのが見てて楽しい(笑)。
特撮だと、かっこいいお兄ちゃんの気の抜けたかけ声を聞かされることも珍しくはないだけに、気合の入った声でタンカ切って貰えるとそれだけで嬉しくなります。
ていうかこの役者さんのヤンキー演技が妙にナチュラルだったので、当初この人はよほど演技が上手いのかそれともリアルにグレてたかのどっちかだろうと思ってました(まあ、「鍋」で芝居が下手で気になった人はいない訳ですが)。

で、アクション上手い。役者がアクションできなくてもごまかす方法が色々あるのも知ってますが、やっぱり役者本人が動けると見栄えがいいですねー。ダンスやってるせいか動きがリズミカルでかっこいい。
最初の購買前の激突シーン、校内見取り図が前面に出て来てわかりにくいですが、よく見ると上杉さんが大暴れしてます。
アクションに不慣れな役者だと動くだけでいっぱいいっぱいだけど、上杉さんちゃんとケンカの場面で表情作ってますよね。見取り図の後ろで飛び蹴り決めた後のドヤ顔のアップが美し過ぎる(笑)。

***

ここから下、ネタバレありなのでまだ見てない人は注意して下さい。っていってもこのコーナー、

・次回予告で8割ネタバレ(たまに嘘予告が混ざってる)。
・冒頭の解説でほぼ100%ネタバレ。
・それ以前に、一応史実に沿って話が展開するので、史実を知ってる人に取ってはネタバレもへったくれもない。
そんな状態ではあるんですが。

上杉さん、琵琶弾きながら登場する場面があるんですよね。
琵琶。高校生が。しかもヤンキーな高校生が琵琶。

絵面だけ見るとツッコミ所しかありませんが、何故か超絶かっこよく見えます。
一つには、シンケンジャーの陣幕演出みたいな、「殿、御出陣!」的様式美を感じさせるから。
あと、ユーロビートで踊っちゃうファンキーな武田軍に対して、風流で古風な上杉さんっていう対比もかっこいい(一応、史実の上杉謙信が琵琶をよく弾く人だったらしい)。

それだけではなくて。
上杉さんが琵琶弾きながら登場する場面は2カ所あるんですが、この2つには共通点があって、どっちも武田軍の(ていうか山本勘助の)策が失敗に終わる場面なんです。
策を弄して上杉を填めてやった!と信玄&勘助が余裕こいてる所に、涼しい顔をした上杉さんが優雅に琵琶なんぞ奏でながら現れることで、作戦の失敗が見てる方に分かりやすく伝わると言う訳(琵琶の音を聞いた時の信玄さんのリアクションも効果的)。
特に2度目は、視聴者は既に1度目を見ているから、最初に琵琶の音が聞こえただけでもうどういう事か分かる訳ですよ。で、この場面は上杉さんがかっこ良ければかっこいい程勘助の失策が際立ち、それが次の山場へと繋がります。
故にこの場面、上杉さんが鳥肌が立つ程かっこいい。

体育館で余裕かます武田主従。そこへ静かに響き渡る琵琶の音色。「この音は?」
体育館の扉が蹴破られ、琵琶を手にしたシルエットが逆光に浮かび上がる。「何故上杉がここに?!」
狼狽する信玄と勘助に冷たい視線を投げかけながら、部下たちを従えて悠然と体育館に足を踏み入れる謙信。
「武田ぁ!…決着を着ける時が来たようだなぁ!」
あー…カッコいい♪BGMが琵琶の音からエレキに切り替わるのもたまらん。
この場面、一旦視線を逸らしてから再び武田主従を睨みつける時の、上杉さんの氷のような眼差しが素敵です。こういうちょっとした目線の動きで凄みが出せるんだから、男前は得だよね。
ちなみにこの後の乱闘シーンでは、上杉さんの華麗な回し蹴りも拝めます。

まあ他にも色々、見所もかっこいい場面もツッコミ所も山ほどあるので、皆さん良かったら見て下さい☆
6月からDVDレンタルも始まってます(今の所2巻まで=川中島学園は10話まで)。

***

で、このかっこいい上杉さんを演じてるのがAAAの與真司郎(あたえ・しんじろう)くん。ごめんなさい。「與」を「あたえ」と読めるようになるのに1年以上かかりました。「與」は「与」の旧字体らしいけど、分かってみれば強そうな名前ですよね。眠狂四郎みたいで。
本業歌手みたいだけど、この手のお仕事は他にもやるんでしょうか。アクションできるし、特撮に欲しいなあ…上杉さんがたまにすごく悪役っぽく見える場面があるんですが、ああいう美形悪役をライダー系で見たい気もする。

***

ていうか、よく考えたら個人的に史実のエピソードがかっこいいと思う戦国武将TOP3のうち1人が上杉謙信でした(ちなみに後の二人は伊達政宗と真田幸村。一応戦国BASARAの影響じゃないよ、と言っておきます)。
15歳の初陣から49歳で死ぬ迄一生のほとんどを戦に明け暮れて結果ほとんど負け知らず(その割に領地が増えてないけど/涙)。まさに軍神。精強を誇る武田騎馬隊が、まともに戦うのを躊躇したという相手(武田くん口では威勢のいいこと言ってる割に逃げ足早いよね/笑)。御旗盾無、ご照覧あれ。

***

ここまで書いて、鍋のエグゼクティブプロデューサーが超星神シリーズやライオン丸Gやった人だと気付きました。ああそう…そういうことでしたか…(遠い目)。

***

次は大ちゃんのネタ書きます♪本2冊入手しました!

戦国鍋TV

2011-06-26 22:44:00 | 特撮
…という番組をご存じですか?

簡単に説明しますと、関西ではサンテレビで深夜にやってる「なんとなく歴史が学べる映像でお送りする」戦国バラエティーです。
バラエティーと言ってもスタジオでフリートークやってる部分は全くなく、ひたすらネタ映像で繋いでいます。たまにスタジオトークっぽいコーナーもありますが、その部分も実はネタです。

主な内容は

■戦国武将がよく来るキャバクラ
活躍の割に知名度の低い戦国武将がお忍びでキャバクラを訪れ、自分の武功を自慢します。キャバ嬢・レイナちゃんの、大げさにリアクションを返しつつ、実際は全然興味ナッシング!なのが丸わかりな対応が見所。

■うつけバーNOBU
ひげとマントがトレードマークのオカマ・NOBUママがひっそり営むうつけバー。シーズン2では眼帯姿のオカマ・伊達ママと小十郎子ちゃんも登場。常連客・谷口のダメっぷりと妙に濃いメロドラマのような展開に困惑しつつ楽しんで下さい。

■戦国ヤンキー川中島学園&大阪ハイスクール
戦国武将の戦いをヤンキーの抗争に置き換えた学園ドラマ。川中島合戦がク○ーズに、大阪冬の陣&夏の陣がビー○ップハイスクールになってます。

■ミュージックトゥナイト
歴史上の有名な人物がユニットを組んで登場する架空の音楽番組。
・SHICHIHON槍(シズガタケの七本槍)
・天正遣欧少年使節(GO!天正遣欧少年使節)
・利休七哲(たぶん利休七哲)
・兵衛’Z(ベー・アンベシャス)
・堺衆(エブリディ儲かんでい)
・浅井三姉妹(アザイズム/アザイドロップ)※浅井三姉妹はチームAとかZとかいっぱいいる。今の所3人×6チーム登場。
・信長と蘭丸(敦盛2011)
・徳川15代将軍(BAKUFUって統べろう)
最初に七本槍見た時には腰が抜けそうになりました。あと、浅井三姉妹の歌2曲聴いとけば、今年の大河見なくてもストーリーがほぼ把握できます。

他にも戦国サポートセンターとか戦ハーフタイムとかお城が好きとかいろいろあるけど、人気があるのは多分このへん。特にミュージックトゥナイトは、今の鍋人気を牽引しているような気がする。

***

この番組、最初は独立UHF4局でひっそりスタートしたんですよね。徐々に口コミで人気が広まり、放送局も20局にまで拡大。まさかの舞台化・ミュージックトゥナイトのCD発売&ライブそして放送延長…と、1年前のマイナーっぷりからは信じられない展開でございます。
関連本も出てるし、結構色んな雑誌で取り上げられたし。

そのお陰でプロデューサーのインタビューなんかも読めちゃったりした訳ですが、この番組、業界大手の事務所とかスポンサーとかに内容に口出しされたりするのを避けるために、「敢えて」独立局に企画を持ち込んだみたいですね。

出演しているのは一般的には比較的マイナーな若手イケメン俳優と劇団系の役者さんたち。
ちなみに前者には特撮出身者とテニプリ系ミュージカルの出身者が多いです(そもそもこの2つのジャンルは両方掛け持ちでやってる人が結構多い)。
そしてここは、平成ライダーシリーズが始まって以降非ジ○ニーズ系若手イケメン役者の宝庫。知名度は低くとも顔面偏差値は高いと思うし、特撮ヒーローやるって事は子供番組とはいえ主役級で1年芝居して演技も鍛えられる訳だし、ミュージカルに出てれば歌やダンスも経験済み(個人差はあるけど)。
そんな若手イケメンくんたちが前面で頑張り、普段あんまりテレビとかには出ないけど演技力の確かな劇団系の役者さんががっちり脇を固めるという布陣でございます。

私は基本的に特撮オタクなので特撮出身者目当てに見始めたんですが、よく考えたら時代劇(含む戦国モノ)も大好物だったので見事にハマりました。
一見バカバカしいネタの宝庫に見えますが、実はなにげに史実に忠実に作っているので、意外とほんとになんとなく歴史が学べます。結構細かい部分まで作り込んでたりしますしね。

それにしても、プロデューサーの「大手事務所に口出しされたくなかったから敢えてローカル局に持ち込んだ。これはキー局では見れない番組」っていう発言を聞いて、「そうそう、こういうのが見たかった!」と思うのと同時に、確かに今のキー局の番組ってなんかなあ…と思っちゃいますね。
ドラマのキャスティングの話をするのに、「ここはあの事務所の枠で、番手的に○○クラスの役者で…」みたいな所から話をするのって。実際にそういう風に決められている現実があるんだろうけど、本質的には「この役のイメージに合うのは誰?」って所で決めて欲しいよね。見る側としては。NHK大河も「時代考証って何それおいしいの?」状態になって久しいし。

マスコミを動員して宣伝攻勢かけたり、「数字持ってるタレント」を使わなくても、しっかりいいものを作れば客(視聴者)は付いて来るって事を示そうとしてる…のかなと思うと、そういう意味でもがんばって欲しいと思います。
最近ネタが江戸時代に及んでるのを見ると、戦国はそろそろネタ切れなのかなと思わないでもないけど。
マイナーな所を掘り起こせばまだまだイケそうな気もするんですけどね。今でこそトップクラスの人気の伊達政宗なんて、「独眼竜政宗」以前は西日本ではほとんど知られてなかった気がするし。

番組公式サイト
http://www.tvk-yokohama.com/sengokunabe-tv/

キバからディケイドへ

2009-02-13 23:56:29 | 特撮
日曜朝の特撮ヒーロー交代特集(?)第二弾は既に交代を終えて新番組が走り出している仮面ライダーから。…って言っても、私キバは最初の三話くらいで脱落してそれっきりですが。

とりあえずディケイド見て、白倉Pはやっぱりタダ者じゃないなと思いました(ていうかこの人栄転したんじゃなかったのか)。
第一話冒頭から、惜しげも無く過去ライダー一挙投入でいきなり掴まれます。白いお姫様ドレスをボロボロにしながら戦場に立つ少女も意味深で気になるじゃないですか。夢だったけど。でもあの夢を見てることからして、夏海もただ偶然に巻き込まれたという訳ではないんでしょうね。

主人公の士が、世界に取って異質な存在であることをマトモに映らない写真で分かり易く表現。
この番組では「カメラ」が象徴的に使われていますが、これはカメラのファインダーを通すことで世界をどこか外側から見ているような士の視点そのものを表現しているのかも知れないと思ったり。
士自身、基本的に正義感はあるものの、どこか一歩引いて遠い所から物事を見ているような印象を敢えて作っているみたいだし。

・士が自分自身の過去と正体を知らないこと。
・しかしディケイドに変身し、その武器や能力を使いこなすことはできること。
・9つの異なる世界(それぞれに別の仮面ライダーがいる世界)を旅し、世界の滅亡を防がなければならないこと。

などの基本設定が、1話できっちり説明されています。
戦隊の方にも書いたけど、話の基本的な設定はやっぱり2話以内に見る方が把握できるようにして欲しい。仮に謎で引っ張るにしても、主人公が何を知ってて何を知らないか位は教えて貰わないと話に付いて行けません。
キバはその点がさっぱりダメでした。
この世アレルギーとか、ストーリー上何の意味があるのか分からない。ビルから恐竜の首と手足が生えたヤツとか、突然何の説明もなく出て来るから変な幻覚でも見たのかと思ったし。
主人公が何で変身してるのか、何で敵と戦ってるのかとかいつまで経っても説明されないし。
個人的な好みの点で色々と不快な部分も多かったけど、それ以前に話に全然付いて行けなかったので見るのやめました。

ディケイドに話を戻します。士の口グセ「大体わかった」は、自分の過去も知らず、突然放り込まれた世界で、少ない情報の中でも何となくカンを働かせて行動できるキャラクターである事も表現しているかなと思いました。何せ2話毎に違う世界へ行くみたいなので、テンポよく話を進めて行かないと大変です。

2話と3話はクウガの世界。過去の作品を見て来た人も、一条刑事ポジションに女性刑事が出て来た時点で、「これは自分の知っている『クウガ』とは違うんだ」と分かりますね。
個人的にクウガは苦手というか、高寺Pの作る世界が私はダメなんですが、新しい『クウガ』ではその苦手だった部分が解消されていて良かったです(しかもクウガに変身するのは、『風魔の小次郎』で主役の小次郎を演じた村井良大くん。風小次ファンとしては、また会えて嬉しいです)。
人間として未熟な、成長するユウスケ。自分に自信がなくて、誰かに認めて貰いたくて、憧れのきれいなお姉さんである八代刑事に誉めて貰えるのが嬉しくて、危険な戦いに身を投じる。
一方八代刑事は、警官として人々を守るために、ユウスケのそんな気持ちを利用していることに罪悪感を抱いている…。
ディケイドが介入した事件を経て、ユウスケは八代の意志を受け継ぎ、人々のために戦う事を決意する。

士がグロンギに襲われてる所、なんかゾンビ映画みたいでしたが、あの絶対絶命のピンチに階段をウイリーで降りて駆けつけるクウガは正に燃えの王道って感じでかっこ良かったですね。クワガタに変形したのはちょっと笑ったけど。ユウスケなんか楽しそうだったよね。
あと、何か音楽が好きですディケイド。フラメンコ調でかっこいいし、どこか軽妙さもあるのが番組のカラーに合ってる感じ。しばらく楽しませて貰えそうだと思ってます。

ゴーオンジャーからシンケンジャーへ

2009-02-13 23:55:36 | 特撮
日曜朝の特撮ヒーロー番組、毎年恒例の交代の時期が来ておりますので、去るヒーロー&来るヒーローについてここらでざっくりと語っておこうかと思います。

まずは戦隊ヒーローの方から。

■ゴーオンジャー
最近悟った私の持論。
「特撮ヒーロー番組が物語として成功するかどうかは、2話見れば大体分かる」
特撮ヒーロー番組ってある程度パターンが決まっているから、物語として成功するかどうかはその話の構造が見えると大体予想が付くんですよね。そして成功する話は、大体2話くらいでその構造が見えて来る。というか、2話で話の基本構造が説明できてないと大抵失敗する。

そういう訳でゴーオンジャー。
いやすごい安定感でした。
公式サイトに日笠プロデューサーの手記がありますが。
http://www.toei.co.jp/tv/goonger/story/1188116_1188.html
ここにある通り、意図的にシンプルで分かり易い構造にしたことがまず一番の勝因でしょうね。
基本構造をシンプルにした事で余裕が生まれ、遊びの要素を詰め込んだり、メカや武器がどんどん追加されてもそれほど無理なく消化できたのかなと思います。
相棒パロディだのG3プリンセスだの無茶なお遊びをやっても、次の回には又何事も無かったようにいつものゴーオンジャーに戻るんだろうなあという妙な安心感があったので、バカネタも安心して笑って見ていられたというか(唯一見てて辛かったのがウイングス登場の頃ですね…あれはもうちょっと早く和解して欲しかった)。
敵の三大臣が予想外に魅力的なキャラになってしまったのが一番の誤算だったみたいですね。
そのために、実は言うほど単純な「勧善懲悪」ではなくなりかけてました。
三大臣が目指したのは、「蛮機族みんなが楽しく暮らせる理想のゴミ世界」。蛮機族の立場から見れば、彼らは国民がよりよく暮らせるために力を尽くす立派な政治家だったのです。残念な事に、蛮機族の理想の世界は私たちにとってのそれとは真逆だった訳ですが。一見悪逆非道な行いも、立場が違うだけで相手に取っては実は正義だったりすることもある。
…そういう難しいテーマにもうちょっとで行きそうだったんですが、「これはそういう話じゃないから!」という訳で分かり易い絶対悪・ヨゴシマクリタイン登場。「その物語にどんな役割を持つのか」「そのためにどんなキャラクターであることが必要か」をきちんと計算して投入されてたキャラだったと思います。「デウス・ハグル・マギア」という、「デウス・エクス・マキナ(機械じかけの神)」をもじったガジェットが最後に登場しましたが、実はヨゴシマクリタイン自身がデウス・エクス・マキナとして機能していたと言えないこともないような。

最後まで、肩の力を抜いて笑ったり燃えたりできました。
玩具もすごく売れたみたいですが、これは「炎神ソウル」というガジェットのアイデアが出た時点で勝ちだったかも知れないですね…。ハードウェアとソフトウェアを分離して様々な組み合わせで楽しめる。
炎神たちとも、メカに搭乗するだけでなく、武器に入れて攻撃したり変身グッズに入れて会話したりすることで、コミュニケーションの量が増やせますしね。
前年の電王の成功に上手く学んだのは、実はキバではなくてこっちだったかなあとも思います。
電王のイマジンたちは、それぞれの口癖で各自の個性を分かり易く表現していたのも成功の一因だと思うんですが(小林さんは、こういうキャッチフレーズ的なキメ台詞を考えるのが本当に上手いと思う)。
ゴーオンでは、「ドルドル」「オンオン」と言った口癖に加えて、べらんめえ調、関西弁、歌舞伎口調などの特徴的な話し方で、数の多い炎神キャラクターを小さい子供にも分かりやすく書き分けることが出来てたかなと思います。キャリゲーターとか出番少なかったけど、あの喋り方が強烈で忘れられなかった…。
あと、ロボットの合体バリエーションが豊富だったのが印象的でした。全員一カ所に揃うことが意外に少なかったような気がするんですが、その場にいるメンバーだけでも結構色んな合体ができるのが面白かった。

個人的には、各所に鏤められたレースネタが面白かったです。
基本的に私は寒色系のキャラを好きになることが多いんですが、今回は珍しく走輔がイチ押しだったかも。職業:レーシングドライバーって所でもうかなり(笑)。
タイムレンジャーのアヤセは、きっとセナやミカみたいなナイーヴな天才肌ドライバーなんだろうなあと妄想してましたが、走輔は絶対和製マンセルだと思います…。
和製マンちゃんであるが故に、何にも考えずにガンガン押しの一手で突き進んでも、きっと走輔ならなんとかしてくれるんだろうなあ…と妙に納得していました。
スピードルとのコンビも良かったですしね。ていうか、スピードルが錆びた話とか、ゴローダーに入ったスピードルが走輔をぶん殴る話とか、走輔のためにスピードルが古代炎神を説得する話とか、この2人(?)の友情話はどれを見てもスピードルが健気過ぎる。走輔がヨゴシュタインにやられた時とか、大きな目をウルウルさせて今にも泣きそうになりながら走輔への想いを語るスピードルが余りにも可愛くてどうしようかと思いました。

■シンケンジャー
侍戦隊って割と最近見たような気がするんだけどなあ…と思ったらジャスティライザーだった。
東映だから時代劇は得意そう、と思ってたんですが、カクレンジャーもハリケンジャーも忍者であって、侍ではなかったんですね。
スーツのデザインは圧倒的にジャスティライザーの方がかっこいいですが(カゲリスーツは戦隊枠では絶対無理だと思いますが)。メイン脚本が小林さんみたいなのでストーリーには期待してます。
久々の小林戦隊。楽しみー♪

ケータイ捜査官7で泣いてしまった

2008-08-07 14:43:24 | 特撮
夏によくある戦争ネタだと思ってたんですが、脚本が良く出来ていたのと、若き日の清一さんの演技が悲壮感に溢れてて真に迫っていたもので…。

***

ケイタは当初、太平洋戦争当時の日本を遠い他人事だと感じている現代の高校生として登場する(最初に書いていたレポートの場面でそれが示されている)。
しかしその後、ハツエさんと出会う。六十年以上経った今でもハツエさんに取っては「終わっていない」出来事だと分かる。
そして電波を遮断する実験の最中、過去から電話がかかって来る…。

若き日の清一さんは、ケイタとほとんど同世代の「少年」に見えます。だからケイタも、自然に感情移入して行ったように見えます。
ドラマ全体を通して、ケイタは「優しい」=「他人の気持ちがよく分かる子」として描かれていたから、彼が清一さんの気持ちも、その後何十年も夫を想って一人で生きて来たハツエさんの気持ちもよく理解していたことも分かる。だからこそなりふり構わず清一さんを助けようとした。その結果…。

一連の出来事を経たケイタに取って、最早戦争は他人事ではない。それが最後の「レポート書き直すよ」に繋がる訳ですね。

***

タイムパラドックス的な観点から言うと、「過去からの電話」というのはSFでは割と定番なネタなのかな、と思いました。「敵は海賊・海賊課の一日」にも出て来たし。
その「海賊課の一日」を参考にして考えると『人間が直接認識できる時間は「現在」だけ。「過去」は記憶に過ぎず、それが本当に現実だったのかどうかは誰にも分からない』ということになります。
『清一さんが生きていて、ハツエさんと共に沢山の子供や孫に囲まれている』という「現在」があり、ケイタとセブン以外はその「現在」に矛盾しない過去の記憶を持っている以上、それが正しい「現在」ということになる…のかな。
過去に歴史の改変が行われていたとしても、それに合わせて「記憶」が書き換えられてしまえば何の矛盾も起こらないということかと思いました。
今回は例外的に、ケイタとセブンだけには『夫を戦争で失くして一人で生きて来たハツエさん』という「記憶」が残ってしまいましたが…。
それはきっと、清一さんがかつて自分を生かしてくれた「未来からの不思議な通信」を「現実」として認識していたからではないでしょうか。ラスト近く、言葉は少ないけれど、清一さんが確かにケイタのことを覚えていたことが分かる場面が良かったです。
今となっては、ケイタとセブンだけが覚えている『夫を戦争で失くして一人で生きて来たハツエさん』の記憶は、清一さんの中にある「あの時、あの不思議な声が自分を引き止めてくれなかったら…」という「仮定の未来」となっているのでしょう。

***

30分という短い時間では書き切れなかった事もあると思うし、実際には戦闘機で戦ってる最中にあんな延々長電話するのは無理だろうとか色々ありますが、良い話でした。

そして最後に。ドラマの清一さんは生きて帰って来て幸せになったけれど、実際にはそうでは無かった人も大勢いること、そして歴史が変わる前のハツエさんのような女性も決して少なくはなかったことを、私たちは覚えておかなくてはいけないんじゃないのかなと思います。