実はnoteの方にもアカウントを作ってちょこちょこ記事を書いていますが、こちらはこちらでひっそりと、よりDeepにやって行こうと思っております。
先日詳細が発表になった氷艶シリーズ最新作について
氷艶2025〜鏡紋の夜叉〜
https://hyoen.jp/
元ネタとなった温羅伝説について、ストーリーの全体像がコンパクトにまとまった資料がありそうでないなと思い、需要があるんじゃないかとnoteの方に記事を書きましたので、こちらにも一応貼っておきます。
温羅vs吉備津彦命〜スペクタクル桃太郎〜
https://note.com/uroko64_/n/n39367733e107?sub_rt=share_sb
最初に公式アカウントから出た匂わせ写真が鬼ノ城だったので、これは「桃太郎」じゃなくて「吉備津彦命」の話かなと思い。「W主演」てとこで、大ちゃんが温羅の方を演じるんじゃないかとは予想していました。
大ちゃんが吉備津彦命なら、普通に単独主演になると思います。婆娑羅の義経様と同じヒーローポジションだし。そうではなくて大ちゃんが温羅だからこそ、対峙する吉備津彦命をもう一人の主演として立てることにも意味があるのではないかと思いました。
そうなると、単純な勧善懲悪の話にはならないはず。
「温羅」は桃太郎の鬼のような単なるやられ役ではないはずです。
大和勢力が日本各地の他の勢力を制圧し、王朝として統合して行く過程の物語で、「正義と悪」ではなく「歴史の勝者と敗者」の物語だと思います。
恐らく各地にこういう話は残っているはずで(出雲の「国譲り」とか、ヤマトタケルの熊襲討伐とか)、それが吉備では「温羅」というキャラクターに統合されて行ったのかなと勝手に考えております。
「真金吹く」が枕詞になっているくらい、古来吉備は鉄の採れる地として有名でした。古代の日本では鉄はそのまま軍事力につながるくらい重要なはずで、それを巡っての争いがあったであろうことは想像に難くありません。「温羅」の正体は製鉄技術を伝えた渡来人であったという説もあります。
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上に貼った記事は私の書いたものとしては桁違いにアクセスを頂いておりまして、やはり需要があったんだなと思いました。お役に立てて頂ければ幸いです。
実は元々同じような記事を2001年くらいに書いていたのですが、何分にも四半世紀くらい経っているためとっくの昔にデータが消えており、記憶を頼りに今回書き直した次第です。
当時の戦隊モノに「ウラ」という悪役が出ていまして、これが如何にも「名前だけ借りました」みたいな、名前以外に「温羅」要素はどこにもないキャラでして。当時私も若かったので短気を起こして、「本物の温羅を教えてやるよ!」とばかりに書き上げたのが実は当時の記事でした。
地元には温羅の伝承の残る場所が点在していますので、各地の伝承を時系列順に並べてみたところ、予想以上に面白いストーリーが浮かび上がって来てびっくりしたのを覚えています。
製鉄を背景に吉備が栄え、勢力を増し、やがて大和王権との争いに破れて統合されて行くその過程が「温羅」という人物に集約されて行ったのかなと思い、それだけ「温羅」という存在に強い求心力があったのではないかなと感じました。
そのくらい個人的な思い入れがある題材なので、それが「氷艶」の題材になる…大ちゃんが「温羅」を演じる…て正直まだちょっと現実として受け止め切れていないかもしれません。
これ私の願望が見せてる幻なんじゃないかな。
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脚本家の方は現地取材にも同行されているようなので、上に貼った記事のようなことは既にご存知だと思います。そして公式サイトを見る限り、そこからまたかなり大胆なアレンジを加えてるみたいですね。桃太郎が殺戮兵器って、その発想はなかったわ。若い人の脳みそって柔らかい。
そもそも「氷艶」シリーズ自体原作(というか原案)そのままだった事例がないので、ここからまたどんな新しいストーリーが生み出されるのか楽しみにしています。
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以下、とっちらかりそうだったので上記の記事には入れなかった、使えるかもしれない小ネタです。
◼️倭迹々日百襲姫命
やまとととひももそひめのみこと、と読むらしい。吉備津彦命の同母の姉と言われています。
こちらは奈良の大神神社に祀られている大物主神と縁が深く、巫女的な女性と伝えられています。
◼️稚武彦命
わかたけひこのみこと。吉備津彦命の弟。日本書紀には名前しか出て来ませんが、古事記の方では「若日子健吉備津日子命(わかひこたけきびつひこのみこと)」の名前で、兄と共に吉備平定に派遣された記録があるそうです。
◼️犬・猿・雉
モデルと言われている人たちには2説あるそうです。
(1)犬飼健命(いぬかいたけるのみこと)・楽々森彦命(ささもりひこのみこと)・留玉臣命(とめたまおみのみこと)
(2)犬養縣主(犬)・猿女君(猿)・鳥飼臣(雉)
メジャーなのは(1)の方ですが、(2)は地域の豪族とされているらしく、それぞれ所縁の神社があるとか。
(1)に関して言えば、楽々森彦命の娘が吉備津彦命の妻になった(高田姫命)説があるそうです。
そしてあの、5.15事件で知られる犬養毅が犬飼健命の後裔と称していたのだそうですが…これは多分ネタとしては使えませんね。
◼️たぶん使えないネタ・「吉備津の釜」
「雨月物語」の中の有名なエピソードですが、時代が違うので無理でしょう。鳴釜神事による占いを効果的に使っていますが、温羅や吉備津彦命は余り関係ない話だし。
しかしこの話は、私が知ってる怪談の中でもトップクラスに恐ろしい話です。
「四谷怪談」のお岩さんは実はそんなに怖くないんです。あれはむしろ、恨まれる方の民谷伊右衛門が非道過ぎるので。鶴屋南北先生は多分、「幽霊なんぞより生きた人間の方がよっぽど恐ろしいってもんでさあ(江戸っ子)」みたいな考えを持ってるんじゃないかなと思います。お岩さんが伊右衛門を恨む気持ちはよくわかるし、寧ろ応援したくなって来ます。
一方、上田秋成先生は全く別の考えをお持ちのようで。こちらの正太郎も確かに悪いんですが、だからっていくら何でも。と言いたくなるくらい、磯良の仕返しが怖すぎます。
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その他、音楽は元LUNA SEAのSUGIZOさんが担当されるそうなので、「うらじゃ」の歌(晴れバレ大空吉備の国〜)はまず不採用だと思いますが、梁塵秘抄(うしとらみさきはおそろしや〜)はどこかで使われる可能性はなくもないなあと思っています。
ていうか、使おうよ。みんな、好きでしょ梁塵秘抄。
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ひとまずここまで書いて「滑走屋」に行って来ようと思います。ありがとうございました。
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