ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

百鬼夜行抄10巻(文庫版)

2008-12-29 00:49:55 | 漫画
この前久しぶりに堂島のジュンク堂に行ったら百鬼夜行抄の新刊が出てました。
百鬼夜行抄 10 (ソノラマコミック文庫 い 65-14)

【お話】亡き祖父から『普通の人には見えないものが見えてしまう力』を受け継いだ飯島律。現在、大学在学中。その力故に、妖怪やら幽霊やらが絡んだ不思議な事件に毎度毎度巻き込まれる日々。

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正直、9巻が今イチ分かりにくくて、そろそろ潮時かなあ…と思い始めていたのですが、10巻は面白かったです。
何だろう、8巻とか9巻辺りは晶ちゃんと三郎さんとか、青嵐の分裂ネタとか、中途半端に続き物っぽくなってすっきりしない話が多かったような。10巻はそういう過去のキャラクターたちを再登場させつつ、ひとつずつの話はちゃんと完結してて読み易かったです。

今回、開おじさんがやけに活躍してましたね。26年間神隠しに逢ってたので、社会復帰には苦労するだろうと思ってたんですが、今の不動産屋の仕事は上手く行っているようで。
ていうか、霊能力(?)にあんな使い道があったとは。不動産屋さんのワケ有り物件ってそんなに多いんでしょうか…。
主役の律は巻き込まれるまでほとんど自分からは行動を起こさない、というキャラなので、自分からガンガン顔を突っ込んで行く開おじさんは使いやすいキャラなんだろうなあ、と思います。
でもおじさんの式神は描きにくそうだ。可愛くないし。
あと、近藤くんのおばあちゃんはいいおばあちゃんですね。ほのぼのします。

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この人の漫画は、2度目に読むのが一番美味しいという印象。
最初は話がよく見えず、暗闇の中を手探りで進むように読み進んで行く訳ですが、オチが分かった所でもう一回読み返すと「ああ、そういうことか」と話が見えて来るという感じです。

もうひとつ特徴的なのは、怪奇モノであるけど退魔モノではない所ですね。
主人公の律は幽霊や妖怪が見える体質だけど、別にそれで悪い妖怪をやっつけようとか思ってないし。寧ろ「関わるな、深入りするな、見ないフリをしろ」というお爺ちゃんの教えを忠実に守ってるし(でも向こうからトラブルが寄って来るから、中々そうは行かないんですけどね)。
このマンガのキャラクターたちはヒーローでもヒロインでもない普通の人たちで、みんなそれぞれ、自分の人生を自分なりに行きている。なので、普通のマンガのように、「ヒーロー」「ヒロイン」「敵」「味方」という区切りでキャラを見ていると違和感があるかも知れません。
よく考えると結構人が死んでたり悲惨なことになってたりするんですが、何故かそんなに怖くない。そして最後はなんとなく丸く収まったような気分になる。不思議なマンガです。


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