2010年3月15日 朝日新聞 「声」欄より
無職 浦野 栄次郎さん(81才)
「虐待事件で思う 継母の生涯」
悲惨な児童虐待死がまた起きた。
手を下したのは実の親で、何とも痛ましい。
私の継母の姿が脳裏に浮かんだ。
母は私を出産して間もなく、急性疾患で早世した。
父は3歳の娘と乳飲み子の私を抱え、途方に暮れた。
そして、当時29歳の継母を迎えた。
2人で家業のかまぼこ店を細々と営みながら、私たち姉弟を育てた。
だが、私が7歳の時、今度は父が病に倒れ、43歳で没した。
子のない37歳の継母は進退のはざまに心が揺れた。
思案の果てに、私たちを育てると決めてくれた。
手塩にかけた2人の子をどうして見捨てられようかと、男に交じり土木作業に従事し、糊口をしのいだ。
生活保護などの制度があったわけもなし、当時の実情は想像を絶する。
そして、私が18歳になる直前の師走、継母は47歳の生涯を終えた。
継母のおかげで、私たち姉弟は実の両親2人分より長生きした。
継母は、母の鑑である。
小学4年卒の継母の生き様に私が教わった事柄は尽きることがない。
・・・・・
私を含め、今の世代の女性にこんな真似が出来るでしょうか?
でも、昔の人はこういう人が多かったように思う。
自己犠牲というか諦念というか・・・
情け深い女性
極貧の中で生活している人間の方が、より情けが深いように思う。
豊かになれば成るほど、利己的になるような気がする。
我慢とか忍耐を「美徳だ!」と言い切るつもりは無いけど、
それでも利他の為の自発的な忍耐は美しいと感じる。
昔は掃除機や洗濯機などの電化製品も無いし、冬の炊事もお湯なんて無かった。
それこそ「家事」は重労働だったはず。
今は便利になって家事も楽になってるのに、私たちは「面倒くさい」だの何だのと文句を言う。
「昔はその生活が当たり前だった。だけど、時代が変わったんだ」
確かに。
だけど、便利さと引き換えに我慢強さを失くしたのかも
そのせいで、「子供より自分」みたいな「我良し」の 母性を失くした母親が増えているのかも知れない。
そしてそれは私にも言えることなのです。
無職 浦野 栄次郎さん(81才)
「虐待事件で思う 継母の生涯」
悲惨な児童虐待死がまた起きた。
手を下したのは実の親で、何とも痛ましい。
私の継母の姿が脳裏に浮かんだ。
母は私を出産して間もなく、急性疾患で早世した。
父は3歳の娘と乳飲み子の私を抱え、途方に暮れた。
そして、当時29歳の継母を迎えた。
2人で家業のかまぼこ店を細々と営みながら、私たち姉弟を育てた。
だが、私が7歳の時、今度は父が病に倒れ、43歳で没した。
子のない37歳の継母は進退のはざまに心が揺れた。
思案の果てに、私たちを育てると決めてくれた。
手塩にかけた2人の子をどうして見捨てられようかと、男に交じり土木作業に従事し、糊口をしのいだ。
生活保護などの制度があったわけもなし、当時の実情は想像を絶する。
そして、私が18歳になる直前の師走、継母は47歳の生涯を終えた。
継母のおかげで、私たち姉弟は実の両親2人分より長生きした。
継母は、母の鑑である。
小学4年卒の継母の生き様に私が教わった事柄は尽きることがない。
・・・・・
私を含め、今の世代の女性にこんな真似が出来るでしょうか?
でも、昔の人はこういう人が多かったように思う。
自己犠牲というか諦念というか・・・
情け深い女性
極貧の中で生活している人間の方が、より情けが深いように思う。
豊かになれば成るほど、利己的になるような気がする。
我慢とか忍耐を「美徳だ!」と言い切るつもりは無いけど、
それでも利他の為の自発的な忍耐は美しいと感じる。
昔は掃除機や洗濯機などの電化製品も無いし、冬の炊事もお湯なんて無かった。
それこそ「家事」は重労働だったはず。
今は便利になって家事も楽になってるのに、私たちは「面倒くさい」だの何だのと文句を言う。
「昔はその生活が当たり前だった。だけど、時代が変わったんだ」
確かに。
だけど、便利さと引き換えに我慢強さを失くしたのかも
そのせいで、「子供より自分」みたいな「我良し」の 母性を失くした母親が増えているのかも知れない。
そしてそれは私にも言えることなのです。