2年前に東京都石商で問題委員会が発足した発券店値付けカードにしてもそうです。
発券シェアは元売子会社や大手特約店が占めていました。
地場零細は
逸失利益は月間48万円、年では約600万円にもなる。
という損害をずっと昔から被っていました。
しかし、組合でそれが問題になっても、その声は上に行くほど萎むという話もありました。
何故なら、組合上層部に“発券店”が多かったからです。
それが、自由化が進むとともにガソリンスタンドという施設を持たないリース会社等に発券シェアを奪われ出した。
自分たちの身が危うくなったから、問題委員会の発足ということになったのではないかと私は思っています。
組合施行部幹部役員でもある大手特約店の方たちは、「現卸格差は中小SS生存不能」などと表では言いながらも、
結果的には同じ業界の同業者である地場零細3者店をスケープゴートにし、又、踏み台にしてきました。
全量系列仕入れの3者店をスケープゴートにしてきたのは、業転玉を仕入れた系列販売店も同じです。
葛藤の中で背に腹は代えられないとしての販売店は別としてもー。
全量系列仕入れの3者店が“高値店”だから、大手特約店やPB等は“安値店”として存在できたのです。
それが今、コストコという異業種の参入で脅かされている。
私がコストコに全国津々浦々に出店してほしいと願うのは、
「発券店値付けカードの発券シェアを全てリース会社等のガソリンスタンド施設を持たない企業に奪われてしまえばいい」と書いた時と同じ気持ちです。
>「願いはただ一つ。仕入れの公平性。あとの努力はすべて自己責任で良い」
そう断言する、長く系列量販SS、PBと競合する地場業者。(前記事より)
現存している殆どの地場業者がそうだと思います。
そもそも仕入れ値の格差は以前からあったのです。2者店と3者店の仕入れ値が違うのは当然です。
それでも規制緩和以前は販売価格差が殆どありませんでした。
そういう市況の中では3者店だからといって2者店に負けるようなこともなかったのです。
当店にしても、進出してきた2者店が「これ以上は赤字で無理」と撤退を決めたり(現在はCAセルフ)、
その後に出店してきた大手広域業者にしても運営者は既に交代しています。
最近、「販売店さんには油外販売に目覚めてほしい」とおっしゃった特約店さんがおられますが、
仕入れ値の格差で疲弊させられる以前は、道路に洗車やオイル交換待ちの車が並ぶこともしょっちゅうでしたし、スタッフが「社長、今日はもうクローズしましょう」と音を上げるほど油外も販売していました。
キャンペーン等も自分で企画して催していました。
ついでに書いておくと、1,000円分や10リッターの給油でも窓ふきやゴミ捨てのサービスを提供していましたし、
定期的に関東方面から関西方面へ来ているという営業車(発券店値付けカード)の方からは、「スタンドはゴロゴロあるのに、何故かここに来てしまう」(接客が気持ち良い)とおっしゃって頂いていました。
目覚めるも何も、仕入れ値の格差によって眠らされたに過ぎません。
「業転を仕入れれば良いのに」「PBになれば?」「業転にも分析表は付いて来ますよ」
消費者だけでなく、同業者の中にもこのように言う方がいらっしゃいます。
当店が系列店として全量系列仕入れを貫く一番の理由はこれです。
高値と知りながら系列玉を仕入れる理由。
オイルショックの時に取引先企業の供給要望に応えるために大変な苦労を経験した店主(こうちゃん)が一番大事にするのが「供給責任」です。
だから阪神淡路大震災の時は夜中に自社ローリーを走らせて燃料油の確保に奔走しました。
「継続的に供給することを証明する」という、この証明書を発行しているのは経産省です。
にもかかわらず、そのエネ庁の課長さんが全石連に対して業転玉購入の推進云々とおっしゃるのですから開いた口が塞がりません。
又、この業界には多額の補助金が投入されています。
地下タンク改正法対応工事にしても1SS何百万以上もの補助金を国民の皆様の税金から頂戴しています。
“稼ぐ力”のために、洗車機購入にも補助金が出ます。
けれどもその補助金も全額ではありません。
助成を受けたくても受けられないのが、長期間にわたって疲弊させられてきた地場零細です。
そういった助成を受けられるのは、特約店などの大手企業です。
同じように考えておられる方が居て安心しました。
国の補助制度に不満の声
ガソリンスタンド過疎地を防ぐために投入される地下タンク改正消防法対応工事への補助金。
しかし、ガソリンスタンド廃業・閉鎖の根本的な原因は仕入れ値の格差です。
地域への小口配達という供給使命を胸に踏ん張っている地場零細業者が、価格競争の市場で、仕入れ値の格差によって敗退に追い込まれています。
補助金の恩恵を十二分に受けるのは、小口配達を不採算だと切り捨て、仕入れ値の格差を武器に安売りをして、地場零細を廃業へと追いやってきた大手です。
おかしいと思いませんか?
でも消費者にはこんな業界の事情は関係のないことです。
消費者は安い方が良いのです。
私だってそうです。
例えガソリンスタンド経営者の親族であっても生計を一にしていなければガソリンスタンド業界の事情は他人事なのです。
こうちゃんは、このぜんせきの紙面を見て、
「“ぜんせき”にこんなことを書く資格はない。組合の力不足の結果じゃないか」、と言いました。
私は「組合と新聞は別でしょう」、と言いましたが・・・
仕入れ値の格差は恐らくなくならないでしょう。
そして価格競争もまだまだ続くことでしょう。
店が営業を続けているのは、高値にも関わらず給油に来て下さる常連客のおかげです。
“他人事のなかで” 身銭を切りながらも顧客への供給責任を果たそうと踏ん張っている販売店にとって、残った望みは仕入れ値に格差があるが故の高値だと知って貰う事です。
地域の中に灯油難民になりそうな独居老人がいたとしても、その老人を救うために(この後で別記事にしますが)20円以上も高い灯油を地元のガソリンスタンドで買うという方がいるでしょうか?
結局のところ、しょせん他人事ではないでしょうか。
今日の燃料油脂新聞に「灯油配達に難色 救うのはもはや行政の領域」という記事があります。
https://blog.goo.ne.jp/m128-i/e/6a27682234b2cf18b5059e24c8f8b713
消費者の声でしかこの業界は是正されない、とは言え、しょせん他人事。
消費者の声は「安値が善」。
身銭は切れても借金までして続ける事は出来ません。
灯油難民を救うのはもはや行政の領域なのだと私も思います。