僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

心配な男…③

2009年08月30日 | ケータイ小説「パトスと…」
「お前がO型だなんてホント信じられないよ。絶対AかABだよ。調べ直した方がよくない?てゆうか、さっきああって言ったよな。まさか彼女できたの?」
「ああ」

「えーホントなの、まっさかぁ」
「でも別れた」

「えー?何それ」
「できたけど別れることにしたんだよ。その方がいいから」

「あっりゃぁ、いつかと同じパターンかぁ」
「ああ」

「ああ、じゃねぇよ。またやっちゃったんだ」
「ああ、だってあいつの顔見てたらつい」
「始まっちゃったんだ」


慎一は炙りささみに山葵をたっぷりと乗せて口に運んだ。

キイターっと涙目で顔をしかめるその横顔に寂しさが混じっているのを親友である辰雄は見逃さなかった。


「メラミン色素が紫外線からちゃんと肌を守ってるんだぜ」
「分かった分かった。今日は全部俺が聞いてやる」

辰雄は手を挙げて店員を呼んだ。

「そば焼酎、そば湯割りで下さい。あとワタのホイル焼きってありますか?」

イカの一夜干しもうまいが、新鮮なワタをそのままホイルに包んで焼いたものがこの店の名物だった。


「それでどうなるんだ?」
「合成界面活性剤ってのはなぁ要するに油と水を混ぜる為の薬だよな。それを肌に塗るとだよ、こう皮膚の細胞の隙間にどんどん染みこんでいくんだ…」

慎一は自分の手にクリームをすり込む真似をしながら説明を始めた。

辰雄はもう一品何かつまみを頼んでおこうと壁のメニューをを目で追っていた。


「おい、聞いてるのか?」
「あぁ、ちゃんと聞いてるって」












コメント
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