原子力発電に代わるベースロード電源は風力や太陽光、地熱、潮力などの自然エネルギーなのか
それとも核融合なのか
理科の実験で物質を変化させる「化学反応」は
原子や分子がくっついたり離れたりするものだが
その原子(核)そのものはなんの変化もしない
原発の「核分裂」は原子の核そのものが複数の小さな核に分かれる時に出る強烈なエネルギーを使う
燃料となるウラン235の1㌘は石油1.8トンに相当すると言われる
一方「核融合」は原子の核同士が衝突して合体する時に出るエネルギーで
燃料にする重水素とトリチウムの1㌘は石油8トンに換算される
両方とも「核」のエネルギーを使うのだが、その違いは決定的だ
核分裂は比較的容易に起こすことができ
いったん始まるとその連鎖反応を止めるのが難しいし
猛毒の放射性廃棄物で人間の生活環境が激しく汚染されてしまう
これはチェルノブイリや福島の例を見れば明らかだ
それに対し核融合は、炉の内部を1億度以上に保たなければ
反応がすぐに止まってしまう
ただし、その1億度という途方もない温度にするのが難しい
そしてその温度をずっと保つ為の方法がまた難しい
一昔前までは理論的に考えた装置を、実際に作る技術がなかったのだが
今はもう完成させる見通しがたっている
つづく
老婆は湖面をじっと見つめていた
その姿は散歩中暖かい日だまりで一休みするお年寄りの姿と
何も変わらないように見える
どの位そうしていたか
気がつくと、はらはらと散り落ちていた紅葉が一枚も降っていない
餌をもらおうと集まっていた鴨たちが一斉に飛び立った
湖面が音を立てて波打ち始めた
湖を囲むメタセコイヤの枝が小刻みに振動を始める
それはまるで大地震の前触れのようだ
人々は皆不安げな顔でお互いに見つめ合い
何かにすがろうと走り出したり、座り込んだりした
突然湖面が盛り上がる
とてつもなく大きな物が水の中からせり上がってくる
大声を上げて逃げ出す者
スマホを取りだして録画を始める者
泣きだした子どもを抱きかかえて動けずにいる者
それぞれが今目の前で起こっている出来事を理解できずにいた
しかし、老婆は身じろぎもしない
つづく…
宵の明星が美しい
これは金星だ
いま探査機「あかつき」が失敗からリベンジして向かっている
日本からは2年前に旅だったはやぶさ2も、小惑星「りゅうぐう」に向けて飛行中だ
火星については各国が次々に探査機を飛ばし
今現在多分7機の探査機が活動している
NASAのオポチュニティとキュリオシティは着陸してから
何十キロも移動を続けながら10年間・4年間も活動し続けている
本当にすごいことだ
探査機カッシーニは太陽系の一番外側の星
冥王星の写真を送ってきた
数年前にボイジャーは
太陽系全ての惑星が収まる写真を撮って最後のお別れをした後
地球のメッセージを乗せて太陽系の遙か彼方まで飛んでいった
地球の速度で秒速数十キロという早さで飛行しながら
今どこを飛んでいるのだろう…
SFがもうフィクションではない時代だ。
こんな大きな車(?)が火星を走っているのだ。。
かわいい風船の中に3つある、ハートが付いた種を集めることから始まる
「宇宙」と書いて「ひろし」と読む男の子と
「星見」ほしみ という女の子のお話です
※ブログのカテゴリーに有り
もちろん宇宙に行ってみたいと思います
っと言っても現実は、ほんの少し地球から離れるだけ
宇宙はもっともっとものすごく大きい
大きい、なんていう言葉では言い表せないくらい大きいんですよね
考えてみれば地球だって宇宙に浮かんでいるのだから
今だって宇宙にいるわけです
でも知りたい
地球が丸いって事を、この目で確かめたい
心の中の宇宙をはっきり見るために
まず今自分が立っている地球を全部
丸ごと見たいと思います
もう少し後の時代に生まれかわれれば
宇宙エレベーターに乗ることができるのかな…
ねぇ星見(ほしみ)
ん、なぁに宇宙(ひろし)
ノーベル物理学賞だって
うん、すごいね
だってアレってすごいものね
ニュートリノを見つけるためにあんな凄いもの考えたんだね
民主党の蓮舫議員が2番じゃダメなんですか?って言ってた頃だよね
小柴さんが頑張って予算を獲得したからできたんだったよね
そうそう、星見も怒ってたっけ
そうゆう宇宙だって神岡に行くんだって言ってたよね
ハートマンの仕事に大切なことを教えてもらったんだ
今度はダークマターよ
うん、分かってる
ニュートリノだけでは宇宙の質量は足りないんだものね
星見も現役に戻ったらいいんじゃない?
ダメダメ、もう子育てで手一杯よ
つづく
窓から見えるこの惑星は地球のようだ
宇宙(今はハートマンと呼ぶ方がふさわしいかも知れないが)は思った
戦いが終わり、奴隷達は解放された
それぞれの生まれた星に送り返す手続きを済ませ
今またハートマンは一人になった
自分の故郷は地球だ
何万パーセクも離れた場所にいて
バイオリストコンピュータに尋ねれば
いつでも地球の位置情報を知ることができる
その場所に帰るための方法も、その果てしない時間も…
宇宙も満たしているものは真空ではなく
ダークマターと呼ばれていたものは実は素粒子で
すべてのものに重量と速度を与えるものだということが分かってから
人間は光速を超えて空間を移動できるようになった
それでもなお故郷に帰るには地球時間で数年もかかる場所に宇宙(ひろし)はいる
ハートマンはミッションのコンプリートを告げるため
送信アンテナを故郷の座標に合わせた
宇宙では電波信号といえどもまっすぐには進まない
巨大な恒星の重力が進路をねじ曲げるからだ
それでもバイオリストコンピュータは
カイラスから受け取った膨大な情報を元に信頼できる方向を見つけた
ハートマンからの信号と分かるように
最初のパルスを送り始めてからもう2週間が過ぎた
帰還の準備を進めながら漆黒の空間を見上げて
宇宙(ひろし)は祈った
「星見ちゃんなら、この信号を必ず捕まえてくれるね」
直径13メートルのパラボラアンテナは
近くで見上げると巨大な傘だ
しかし宇宙から見るとそれは
針の先の点にもならない
たまたま研修に来ていた学生が
不思議な信号を捉えたのは偶然だった
彼女はハートマンの存在などまったく知らなかったのだから
JAXAは地球を回る8台の衛星と国際宇宙ステーションを行き来するコウノトリを運営している
鳩山町のひっそりとした山間にある地球観測施設の
通常のミッションとは数百メートル離れた目立たない建物の中で
セクションの解析が行われていることは誰も知らない
学生の発見した信号は良くあるバグとして処理されたが
データを受け取ったセクションの担当者は
それがハートマンからのものだとすぐに気づいた
大型シップで銀河間航行に出発してからもう数年が経過していた
ブラックホールの内側を跳ねていく屈折航行で進んでいる間は
まったく通信はできない
セクションは全員が突然忙しくなった
だが皆その表情は明るい
ある者はモニターに向かい
ある者は耳を澄ました
それぞれが自分の持ち場に集中する中
ひとり屋上から空をじっと見つめる女性がいた
「宇宙(ひろし)君、どこにいるの?」
「星見(ほしみ)ちゃん、僕が見えるかい?」
その夜、夕食の終わったテーブルで父は小さな指輪を取り出し子供に渡した。
指輪は周囲に奇妙な文字が刻まれておりセラミックのような乳白色をしていたが、
感触はまったく異なっていた。
触れると温かく、握りつぶせるほどに柔らかかったのだ。
手のひらに乗せしばらく見ていただけで小さなドーナツ型の跡を赤く残すほど発熱した。
それでも熱くて火傷してしまうという感覚は全くなかった。
手のひらを通してエネルギーが流れ込んでくるのを感じ、全身に広がるにつれて不思議な安らぎと癒しを感じるのだった。
「これはレベル7に行く選ばれた者だけが身につけるものだ。これにはお前のルーツが刻まれている。
出発の日の夜明け、太陽の光の中で指につけなさい。後は全てこれがお前を導いてくれるだろう。」
「何かすごいねお父さん。でもお父さんは何でしてないの?お父さんだってレベル7に行ったんでしょう?」
「ああ、確かに行った。だが、私にこの指輪は合わなかったらしい。」
「どうして僕がこれをするの?何かいいことあるの?」
「いいことばかりではないかも知れない。だが、全てはこのリングが教えてくれるだろう。
いいか、出発の日、夜明けにつけるんだぞ。わかったらもう寝なさい。」
半信半疑でリングを受け取ると、もう一度しっかりと見つめた。
周囲に刻まれた文字の一部がほんの僅か琥珀色に光り「チッ」と音を立てたが、
エアコンディションの吸気スイッチがONになった音に紛れて2人とも気が付かなかった。
このリングが少年の運命を激動に導くことになるとは、希望に満ちた本人はもちろん知る由もなかった。
リングの意味を知っている父親の想像をも大きく超えて、全てのドラマはここから始まるのだった。
つづく
老婆は洞窟に座っている。
どこにそんな力が残っていたのだろうか。
手に錫杖を握りしめ鉱泉のしみ出る岩肌に向かってなにやら意味不明の言葉ともうめきとも判別できない声を発している。
洞窟には数百本のろうそくがあった。
老婆が震える指でそのひとつを指し示すとジジッと音がして火がともった。
指が左右に揺れ動くと全てのろうそくに火がともり、彼女の顔を、深いしわをくっきりと照らし出した。
ナーマンサーマンペプシマン、ターバンカビサンイソワカサラナン、センダンミリンダマーカロシャーナスワ・・・・・
うめきにも似た老婆の呪文がしだいに熱を帯びてくる。
数百のろうそくが呪文に吸い込まれるように瞬き、揺れ動く。
初めの1時間がゆっくりと過ぎ、2時間、3時間、があっという間に過ぎ去ると
もう時間の感覚は無くなってくる。
そして、貨物ブロックのポッドに横たわるハートマンのうめき声と老婆の呪文が重なる。
なおも熱く呪文をはき続ける老婆。
髪の毛は逆立ち、その一本一本からホログラムのようなオーラを放っている。
介護ベッドで曲がったまま硬直していた体はてらてらと汗で光り、は虫類のようにうねる。
震える両手が一瞬空を彷徨い落ちた。
口から泡を吹き体をのけぞるように硬直させた後横向きに崩れる。
同時に数百のろうそくが吸い取られたかのように消え、白い煙が数百の揺らめく筋を描いた。
老婆の顔から深く刻まれていたしわが消え、ひび割れた口元には今、優しい微笑みが浮かんでいる。
数百万パーセク離れた空間に浮かぶ大型スペースシップの中、
ICUポッドに横たわるハートマンの体にフル充電されたプロトン電池のような凄烈な力がわき上がったのと同時だった。
その時老婆はCMS(セントラル・モニターシステム)のコードをそっと引き抜き、フルサポートベッドを起床介護にセットした。
ベッドはウィーンとわずかな機械音と共に老婆を優しくサポートし彼女を遊歩カプセルへと導いた。
遊歩カプセルは全自動の車いすのようなもので、介護なしでも安全に散歩が楽しめるものだ。
一時期自動車メーカーと家電メーカーが開発を競ったが、
結局イスラエルの町工場で作られたものが圧倒的な実用性を武器に台頭し
またたく間に世界中のユーザーを獲得した。
今では遊歩カプセルと言えばこのメーカーのブランドロゴを思い浮かべるほど有名になっている。
つい今までまるで植物のように眠りに就いていた老婆は、2つの目を異常なまでに広げ瞬きもせず何かを見つめている。
深いしわに包まれた彼女の手は絶え間なく震え、何かを指し示している。
遊歩カプセルは音もなく建物を離れ、ストリートの下を走るケーブルスペースを移動していった。
保安担当がCMSの異常に気付き老婆のベッドを確認しようと監視カメラを向けた時、
すでに遊歩カプセルはカメラの監視範囲から遠く離れたところを
老婆の指さす方向に向けて最高速度で移動していた。
それはコンソールパネルの一角から静かに始まった。
コマンダーが通常チェックを終え一息入れようとシートを離れた時、ひとつの小さなREDが数回点滅し消えた。
ちらっと目をやったコマンダーはパネルをコツコツとたたいてみた、が変化はない。
バグか、やれやれ、つまらん仕事がまたひとつ増えやがった。
ぼやきながらパネルのメンテナンスボックスに手を伸ばした時、小さなREDがまたひとつ消えた。
コマンダーの表情にかげりが見えたが、それはまだ、数分後に始まる嵐を前にせっせと穴を掘る砂浜の蟹のように、たいした意味はなかった。
貨物ブロック遮蔽システムのRED消え、通信コントロール、推進動力制御部へと異常が広がると
コマンダーの心拍数は一気に跳ね上がった。
今進行しつつある現実をコマンダーが理解するにはあとほんの少しだが時間が必要だった。
をいをい、何だこりゃ、今までこんな故障は起きたこと無かったぞ。
ってことは、ひょっとして故障じゃない?
ま、まさかサイバー攻撃か?
危機を理解したコマンダーがハザードボックスに拳をたたきつけると、
非常事態を知らせるアラームが鳴り響き大型スペースシップ全体を振動させた。
ハートマンのバイオリストコンピュータは幾重にもブロックされたセキュリティシステムにウイルスを送り込む。
それが成功すると、もうスペースシップはハートマンの意思通りに動くでかいだけの宇宙船だ。
計画通り反乱の実行プログラムが開始されたのだ。
GS-DSの大型スペースシップは圧倒的な武力にものを言わせ、宇宙各地から奴隷を狩っていた。
奴隷となるべき宇宙人達は飼育コンテナに監禁され、貨物ブロックに隔離されている。
コマンダー達は帰還コースへのワープを数時間後に控え各持ち場の最終チェックを行っていた。
飼育コンテナの中ではドラッグを投与された宇宙人達が無気力に、あるいは意識を失って
ICUポッド(生命維持装置が接続された低温ベッド)に身を投げ出していた。
まだ元気な宇宙人はミクロバギーに酔い、皮膚を冷たい汗で光らせ、血走った目をギラギラとさせている。
監禁の際抵抗を試みた宇宙人はその場で脳に簡単なロボトミー手術を施されたらしく、白く混濁した目に光はない。
監視役のアンドロイド達はギガトリップで完全にハイになっている。
人間に最も近いE・Tアンドロイド(合成脳細胞の発明でヒューマンアンドロイドの飛躍的進歩を実現させた、エイキチ・タチバナの名前からこう呼ばれる)は
監禁されている宇宙人達の悲惨な状況と自分に課せられた役割を心の中に整理する事ができず、トリプルチューンに手を出すものもいる。
彼らが監視している宇宙人達は、拉致される前まで自分のパートナーだったのだ。
単純作業向けの汎用アンドロイドと違い、新たな命令をプログラムされても完全に別のアンドロイドにはなりきれない自分を感じるのだ。
人間に近いが故に苦悩することもあるのがE・Tアンドロイドの特徴と言える。
トリプルチューンは合成脳細胞用の非常に危険な薬だが、とりあえず嫌なことは忘れられる。
一度その味を覚えるとその誘惑から逃れるのは難しい。ここではそのテのものは望めば何でもすぐに手に入れることができるからだ。
ミクロバギーに酔いうつろな目をした奴隷達に混じって、ポッドにぐったりと横たわるハートマンの姿があった。
希望を失った奴隷達と外見は全く区別がつかないが、ひとつだけ大きく異なっていることがある。
ハートマンの横たわるICUポッドが彼の生命を維持しているのではなく、
プラグインしたペプシマンのバイオリストコンピュータが
スペースシップの生命を、
今はまだ、
維持しているのだ。
横たわるコーラスガールの胸に鮮やかなFA(ファウンデーションアート)が浮き出ている。
FAはTATOOとは違い、外科的に皮膚を傷つけて描いたものではない。
DNAに組み込まれた色素が描く皮膚組織の変成だ。
浮き出たFAを見つめるハートマンの表情が変化していく。
不規則な模様に見えたそれはよく見るとデジタルな規則性を持っている。
何か意味のある情報をコード化したものだ。
すぐにバイオリストコンピューターに解析させてみる。
ほんの数秒で答えは出た。
それはGS-DSのサイバー攻撃を無効にする重要な鍵をもつ暗号だった。
遙か昔サイココスマーの研究に携わっていた科学者の一人が遠い将来の災いを予測し、研究課程に置いてDNAに密かに組み込んだフェイルセーフ機能だったのだ。
ハートマンのベースオフィスであるセクションにおいて早速対策グループが召集された。
そのメンバーには、北の海辺で人知れず孤独な生活を送る一人の老婆が含まれていた。
老婆についての詳細な情報は無いのだが、
彼女がまだ幼い頃、彼女の母は強力な「いたこ」として人々に崇(あが)められ恐れられていたことは知っておく必要があるだろう。
チタン合金製のスライドがゆっくりと後退する。
ファイアリングハンマーが起こされ、ダブルカアラムマガジンに一発だけ収まっていた32㎜の金属筒がチェンバーに押し出される。
トリガーに掛かった人差し指が、押しつぶすように静かに引かれた。
トリガーの圧力がしだいに高まり頂点に達すると、大きな爆発音とともに開放された。
瞬時に激しくブローバックしたスライドがリコイルバッファに激突し、チェンバーから焼けただれ白煙を引く金属筒を2mほど弾き飛ばした。
大きく目を見開いたコーラスガールのFA(ファウンデーションアート)が赤く染まっていく。
ペプシマンの腕に全体重を預け、コーラスガールは事切れた。
呆然と立ちすくむ少年に駆け寄り、両手で堅く握られた銃を慎重に引き離す。
旧式の武器だ。火薬による金属弾の発射装置。
バレルには5条のライフリングが施され、GLOCK 32Ti-P AUSTRIA の刻印が読みとれるが、シリアルNOは意図的に削り取られている。
ハンデイウエポンがビーム式に変わる直前に使用されていたオートピストルの最終モデルだ。
なぜこんな物が。
ピストルは博物館で保存されている物もあるかも知れない。だが、発射可能な45ACP実包があったなんて…
ハートマンはまだ温かい薬莢を手に思考をめぐらせた。
トリガーを引くにはかなりの力が必要なはずだ。こんな少年がどうして、何のために。
少年のうつろな目は彼が何者かのマインドコントロール下にあることを示している。
ステップの謎は残されたままだ。