秋の森はとても静かです
毎日のように来てその辺をかき回していた子ども達が
学校に帰ったからでしょう
森の仲間達はちっとも変わらず
昨日だって今日だって明日だって
同じようにささやきあっているのですよ
ダメ、絶対!
麻薬じゃないわよ、入っちゃダメって事
どうしてでもだめなの
今日はね、特別な日だからよ
あっまた私の言うこと無視して入っちゃうのね
ほんとに困った人
じゃぁ、ひとつだけ言っておくわ
中で森の子ども達に話しかけてはダメよ
もしもお話しをして
返事が返ってきたら…
返事を聞いてしまったら
もうあなたは森の仲間
こっちの人になってしまうの
大丈夫?それでも行くのね
魔法じゃないのよ
まじないでもない
森の掟なの
マスオ君は今とってもナーバスになっています
どうやらケンキチ君に虐められたらしいのです
いいえ、殴られたわけではないの
「お前マンドリルみたいな顔してるな」って言われたんだそうです
マンドリルってマントヒヒの仲間のことですよ
ひどいじゃありませんか
家に帰ってお母さんに泣いて訴えると
お父さんに似たんだから仕方がないねって
笑われる始末
自分の息子が泣いてるのにそれはないでしょう
でもここだけの話
お父さんは、お父さんのお父さん、つまりおじいさんも
マンドリル似、そうゆう家系なんです
ケンキチ君は乱暴なことを言うのでみんなに嫌われています
でもケンキチ君は虚勢を張ってるだけ
いつもふくれっ面をしているのには訳があるんです
ケンキチ君はみんなよりちょっと成長が早いのか
顔中ニキビだらけで、当人はすっごく気にしているんです
誰にも見せませんがカバンの中には
ギャッツビーのあぶら取り紙とクレアラシルが入っています
小さい頃からアトピー体質で
一度ステロイド剤の治療をして失敗したことがあるんです
ねぇねぇ、今日は何しに来たの?
一緒に遊ぼうよ
虫がいるから取っちゃってよ
もっとこっちに来てよ
久しぶりじゃん
などと森の仲間が話しかけてきます
女神様の忠告はきっと守れなくなっちゃうでしょうね。。。
つづく
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